ミラノ〜サンレモ優勝やツールのマイヨヴェール獲得など、輝かしい成績を残すワウト・ファンアールト(ベルギー)がヴィスマ・リースアバイクとの契約を更新。「選手キャリアが終わるまで」という異例の契約を結んだ。



逃げを逃したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

「(引退までの契約という)アイディアに合意することに、長い時間は掛からなかった。このチームは最良の人たちと最高の機材が揃っている。またここは本当に居心地がよく、これまで過ごした5年間で相性の良さを感じることができた。だからこそずっとここにいることを決めた」と、ワウト・ファンアールト(ベルギー)はプレスリリースで語った。

シクロクロスで世界タイトルを3度獲ったファンアールトがユンボ・ヴィスマ(当時)に加入したのは2019年のこと。それ以来、個人タイムトライアルや集団スプリント、また2021年のツール・ド・フランスでは山岳ステージで勝利を飾るなど、規格外の走りを披露してきた。そしてこの度、チームは2026年までだったファンアールトとの契約を「プロキャリアを終えるまで」という異例の内容で更新した。

区間3勝目を手に入れたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

チームのリチャード・プルッヘGMはこの契約について「他に例のない契約だが、互いに長く考える時間は必要なかった」とコメント。また「ワウトはもちろん輝かしい成績を残している素晴らしい選手。だが彼はそれだけでなく(自転車ロードレースを)牽引する選手であり、我々のチームには欠かせない存在だ。彼はリーダーであると共にチームプレイヤーでもあり、その洞察力とカリスマ性でチームメイトを活かしてくれる」と語った。

今年のファンアールトは3月のドワルス・ドール・フラーンデレンで落車し、鎖骨と肋骨、胸骨などを骨折。その後僅か2ヶ月で実戦に復帰して臨んだツールでは、勝利こそ逃したものの区間2位に2度入るなど活躍。パリ五輪の個人TTでは銅メダルを獲得し、初出場したブエルタ・ア・エスパーニャは区間3勝をマークした。

しかし第16ステージの落車によって膝を負傷し、リタイアする不運に見舞われた。そのためファンアールトは9月22日(個人TT)と29日(ロード)への出場を見送り、このまま2024年シーズンを終えると伝えられている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos