圧巻の強さでジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスを制したポガチャルが、休息期間を経てレースに戻ってきた。北米カナダを舞台とするワールドツアー2連戦、GPケベックとGPモンレアルをポガチャルのコメントと共にプレビューする。



グランプリ・シクリスト・ド・ケベックのフィニッシュ前の丘を登る選手たち photo:CorVos

ツール・ド・フランスからパリオリンピック、そしてブエルタ・ア・エスパーニャと続いたビッグレースが終わり、ヨーロッパのロードレースはスイスで行われるロード世界選手権(9月22日〜)に向かう。シーズン後半戦の大一番を前に多くのトップ選手たちが臨むのが、グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(GPケベック)とグランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(GPモンレアル)だ。

グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(9月13日)

グランプリ・シクリスト・ド・ケベック2024 image:Grands Prix Cyclistes de Québec et de Montréal

本日行われるGPケベックは、例年と同じくセント・ローレンス川に面したケベック市内に設定された12.6kmを16周回する201.6km。ポイントとなるのはコース後半に登場する3つの登りで、特に1つ目のコート・デュ・ラ・モンターニュは登坂距離こそ375mだが平均勾配10%(最大13%)の急勾配だ。だが昨年はアルノー・デリー(ベルギー、ロット・デスティニー)が優勝していることから、スプリンターに近いスピードマンが有利なレースとなる。

グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(9月15日)

グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル2024 image:Grands Prix Cyclistes de Québec et de Montréal

2日後のGPモンレアルは一転、獲得標高差4,573mのクライマーズレースとなる。舞台は同じカナダのモントリオール(現地の公用語フランス語の読みはモンレアル)の市内中心部、モンレアル大学とモンロイヤル公園を取り囲む209.1km。4つの登りを含む12.3kmコースを17周するタフなレイアウトだ。

昨年はアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) が現チームメイトであるパヴェル・シヴァコフ(フランス、当時イネオス・グレナディアーズ)を退けた。そして今年の優勝候補はタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だ。



休息期間とトレーニングを経て、自信を語るポガチャル

ジロとツールを連続総合優勝したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今年1998年以来となるジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランスを連続制覇したポガチャルが、約2ヶ月間の休息を経てレースに戻ってくる。

出場を期待されていたツール直後のパリ五輪には出場せず、休息とロード世界選手権に向けたトレーニングを選択したポガチャル。「”出れば簡単にメダルが獲れるだろうからオリンピックに出場するべきだ”という声を多く受けたが、快く思っていなかった。五輪というレースであることはもちろん、あのようなコースは簡単に勝てるわけじゃない。またツールの後身体はボロボロだったので(不出場という)判断は正しかった」と語った。

「脚は疲れ、ストラーデビアンケからツール・ド・フランスまでの期間は本当にハードだった。ずっと全力かつ最高のコンディションを保つことができた。だがツールの後に身体のスイッチが切れ、完全にシャットダウン状態に陥った。最初の1〜2週間は気分も落ち込んでいた」。

2022年のGPモンレアルで優勝したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:gpcqm.ca

GPケベックも十分狙うことのできるポガチャルだが、本命となるのは2022年に一度優勝しているGPモンレアル。「長いトレーニング期間を経た直後のレースは調子が出ないのが普通だ。しかし今年のストラーデビアンケではとても良い走りができた。だからケベックでも良い走りができるだろう」と、レース直前のポガチャルは自信を伺わせている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos