逃げ集団から残り600mで飛び出し、初勝利を掴んだエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)。反対に敗れたベネットやオコーナーからタイム差を奪い返したログリッチなど、ブエルタ11日を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)

残り600mで仕掛け、勝利を手に入れたエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

自分でも奇妙だと思う結果だよ。この大会には総合順位を争うためにやってきたのだが、序盤にタイムを失った。良い準備をしたつもりだったがそのための脚がなかった。目標をステージ優勝に切り替え、今日は逃げに乗ろうと試みた。そこで脚を使ってしまったが、幸運にも人数の多い逃げ集団に入ることができたんだ。逃げ集団はとてもスマートに走り、本当にこの勝利が信じられない。

このような戦いのレースは久しぶりで、自分の経験を活かすことができた。勾配の厳しい最終山岳では遅れ、フィリッポ(ザナ)が先頭にいたので僕は後続でチャンスを待った。そして最後はギャンブル(アタック)したんだ。

今日のようなハードな展開のスプリントは得意で、ロングスプリントを仕掛けようと残り600mという遠い距離から踏み込んだ。それしか僕が勝つ方法はなく、上手くいったなんて本当に信じられないよ。

怪我を乗り越え、ブエルタ初勝利を手に入れたエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

―ジロ・デ・イタリアでは落車するなど、ここまで不運が続いた。

そうだね。(落車リタイアした)昨年のブエルタ以来、7〜8回の落車に見舞われている。身体はもちろん、精神的に辛い時期を過ごした。何度も「もう選手として終わりなのかもしれない」という考えが過ぎった。特にジロでLCL(膝の外側副靭帯)を損傷した時は選手キャリアが終わったと思ったよ。でもガールフレンドが常に側で支えてくれ、素晴らしい家族や友人、チームがサポートしてくれた。ここまでくるのに時間がかかったが、今日の勝利で恩返しできただろう。

ステージ3位 マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)

マックス・プール(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) photo:CorVos

落車した初日を経て、ようやくレースに復帰できたよ。またその後体調不良に陥っていたんだ。チームメイトと逃げに乗ることができ、楽しいレースだった。最終山岳で先頭の2人に追いついたのだが、後続に追いつかれた。そして最後は戦術的な争いになった。

上手く走ったエディ(ダンバー)を祝福したい。適切なタイミングから力強いアタックを見せた。協調して追う様子がなかったので、自ら飛び出し前を目指した。最後は抜かれて3位になってしまったが、それもレースだ。

ステージ12位&総合10位 ジョージ・ベネット(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック)

勝てる展開に持ち込んだと思ったのだが、エディが勝った。彼のしたことはまさに僕がやろうと思っていたこと。チームメイトが素晴らしい走りで僕をアシストしてくれたので、本当に落ち込んでいるよ。逃げ集団は僕らがレースの98%を牽引していた。その走りに勝利で報いることができず残念だよ。

逃げでは誰も僕らに加勢してくれなかった。本当に酷い状況だった。それは総合タイムを稼ぎたいチームが僕らしかいなかったからだろう。最終山岳の手前で飛び出されてしまい、登りをハイスピードで進み追いついたのに勝利を逃してしまった。総合タイムを6〜7分ほど稼ぎたかった。あと10ステージの中でチャンスがあれば狙いに行く。

オコーナーから37秒を取り戻したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

プロトンで走るプリモシュ・ログリッチ(スロベニア) photo:CorVos

何度も言っているように、失うよりも得る方がいい。まだ(オコーナーとの)タイム差はあるが、自分の調子やチームメイトの走りなど良い日だったと言うことができる。勝つ日もあれば負ける日もあるが、僕らが作戦を実行すれば、それは勝利と呼ぶことができる。

マイヨロホ ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)

ログリッチなどから31秒遅れでフィニッシュしたベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:Unipublic

パンチのある山岳が最後に設定された辛いレースだったよ。だが最悪の展開になることはなかった。ライバルとして危険な存在は何もログリッチだけではなく、彼らに食らいつかなければならなかった。

これから臨む長い山岳の方が僕には適している。良い日と平均的な日(悪くない日)の繰り返し。できればそれを毎日”良い日”にしたいところだね。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos