2024/08/25(日) - 09:01
最大勾配20%の3級山岳にフィニッシュしたブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージ。総合首位オコーナーを振り落としたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が大会2勝目を飾り、総合3位だったアルメイダは総合争いから脱落した。
8月24日(土) 第8ステージ
ウベダ〜カソルラ 159km(山岳/山頂フィニッシュ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージはウベダから東の山岳地帯を目指し、沿うように南下してカソルラに向かう159kmの山岳ステージ。コースの獲得標高差は3,000mにも満たないが、最後の3級山岳シエラ・デ・カソルラ(距離4.8km/平均7.1%)は登り口に最大勾配20%が登場。フィニッシュ手前も平均13.5%に跳ね上がる。大きなタイム差がつくようなステージではないものの、総合上位勢による登坂バトルが予想された。
その理由は明かされなかったものの、この日はエリー・ジェベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)が未出走。またスタートを切ったブライアン・コカール(フランス、コフィディス)は途中でバイクを降り、未勝利のままレースを去った。引き続きスペイン南部ウベダを出発した選手たちは、序盤から逃げを目指す激しいアタック合戦を繰り広げた。
逃げを狙った選手の中には前日勝者でマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)の姿も。しかしいずれの動きも決まらず、最初の1時間は平均速度50km/hに迫るハイピードで展開。そして残り110kmでようやくマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)ら3名がレース先頭に立った。
その後ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)など後続集団が追いつき、逃げは8名となる。一方のメイン集団はリーダーチームであるデカトロンAG2Rラモンディアルがコントロールを担当。前日の終了時点でマイヨロホを着るベン・オコーナー(オーストラリア)は4分45秒のリードを保つなか、総合2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)など総合上位勢はオコーナーからタイム差を取り戻す機会を伺った。
残り60.9kmから始まる1つ目の3級山岳に入った時点で、逃げとプロトンとの差は4分36秒。ハイス・レイムライゼ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が脱落し、7名となった逃げではマティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)を振り切ったスイスロード王者のシュミットが頂上をトップで通過。メイン集団では激坂が得意なマイケル・ウッズ(カナダ)を擁するイスラエル・プレミアテックが牽引に選手を送り、この山岳で1分の差を詰めた。
約26kmに及ぶ長い下りではシュミットが飛び出し、アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン)が追いつき先頭は2名となる。それを3分半の差で追うプロトンではファンアールトが落車し、素早くバイクに跨り集団に戻るシーンも。レース先頭では先頭2名に後続が追いつき、再び7名のまま細かなアップダウンを進んでいった。
中間スプリントでは争うことなくテハダが先頭通過し、後続との差は2分半まで縮小。プロトンでは引き続きイスラエルが先導し、ブエルタ初出場を決めた昨年パリ〜ツール覇者ライリー・シーアン(アメリカ)を中心にその差を縮めていった。
そしていよいよ逃げ集団は3級山岳シエラ・デ・カソルラ(距離4.8km/平均7.1%)に到着した。急勾配区間が登場するその序盤にテハダが仕掛け、オイエル・ラスカノ(スペイン、モビスター)以外を振り落とす。1分遅れで突入したプロトンではダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が一気にペースを上げた。
しかし同時に集団前方で大規模な落車が発生する。登り区間だったため選手たちに大きな怪我はなかったものの、セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)などが遅れる。落車に加え最大20%の急勾配区間をハイペースで進み、人数を絞ったマルティネスが仕事を終え、先頭に立ったログリッチに追従したオコーナーやリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)など、8名の精鋭集団が出来上がった。
39秒差まで追いつけられた先頭では、テハダとラスカノにルーカ・ヴェルガリート(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が合流して3名に。ログリッチ・グループでは緩斜面で後続が追いつき一時EFが集団のペースを作るなか、大人数のままフィニッシュまで行くことを嫌ったログリッチが加速。総合3位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が早々と遅れるなか、ここにオコーナーはなんとか食らいついた。
フィニッシュまで残り2km、先頭と20秒差まで迫る精鋭集団ではログリッチが再び踏み込む。オコーナーが遅れたのを確認したログリッチはハイペースを維持し、そこには唯一エンリク・マス(スペイン、モビスター)が食らいつく。最後まで粘ったテハダが残り900mでログリッチとマスに捉えられ、遅れたオコーナーはマイペースで頂上を目指した。
残り200mを前にマスがログリッチの前に出たものの、ログリッチは横に並ぶとフィニッシュ手前75mで先頭へ。そして激しく争うこともなく、ログリッチがフィニッシュラインを先頭通過。第4ステージに続く今大会2勝目を手に入れた。
「勝利を狙っていたわけではなく、チャンスだったので掴みにいっただけ。僕に適した厳しいレイアウトで暑さもあった。また幸運にも今日は脚の調子が良かった」と勝因を語ったログリッチ。また3つの1級山岳を越える翌日の第9ステージについて聞かれると「ベストを尽くすだけ。いまだ感じる身体の痛みがどう影響するか次第だろう。でもいまはこの勝利を喜びたい」と答えた。
ボーナスタイム-10秒を獲得したログリッチは、46秒遅れ(17位)でフィニッシュしたオコーナーとの差を3分49秒まで縮めることに成功。総合3位だったアルメイダが4分53秒遅れで総合争いから脱落するなか、落車によって足止めされたクスは1分7秒遅れの21位でフィニッシュ。タイムロスを最小限に留めた。
8月24日(土) 第8ステージ
ウベダ〜カソルラ 159km(山岳/山頂フィニッシュ)
ブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージはウベダから東の山岳地帯を目指し、沿うように南下してカソルラに向かう159kmの山岳ステージ。コースの獲得標高差は3,000mにも満たないが、最後の3級山岳シエラ・デ・カソルラ(距離4.8km/平均7.1%)は登り口に最大勾配20%が登場。フィニッシュ手前も平均13.5%に跳ね上がる。大きなタイム差がつくようなステージではないものの、総合上位勢による登坂バトルが予想された。
その理由は明かされなかったものの、この日はエリー・ジェベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)が未出走。またスタートを切ったブライアン・コカール(フランス、コフィディス)は途中でバイクを降り、未勝利のままレースを去った。引き続きスペイン南部ウベダを出発した選手たちは、序盤から逃げを目指す激しいアタック合戦を繰り広げた。
逃げを狙った選手の中には前日勝者でマイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)やマルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ)の姿も。しかしいずれの動きも決まらず、最初の1時間は平均速度50km/hに迫るハイピードで展開。そして残り110kmでようやくマウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)ら3名がレース先頭に立った。
その後ヨン・イサギレ(スペイン、コフィディス)など後続集団が追いつき、逃げは8名となる。一方のメイン集団はリーダーチームであるデカトロンAG2Rラモンディアルがコントロールを担当。前日の終了時点でマイヨロホを着るベン・オコーナー(オーストラリア)は4分45秒のリードを保つなか、総合2位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)など総合上位勢はオコーナーからタイム差を取り戻す機会を伺った。
残り60.9kmから始まる1つ目の3級山岳に入った時点で、逃げとプロトンとの差は4分36秒。ハイス・レイムライゼ(オランダ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が脱落し、7名となった逃げではマティス・ルベール(フランス、アルケアB&Bホテルズ)を振り切ったスイスロード王者のシュミットが頂上をトップで通過。メイン集団では激坂が得意なマイケル・ウッズ(カナダ)を擁するイスラエル・プレミアテックが牽引に選手を送り、この山岳で1分の差を詰めた。
約26kmに及ぶ長い下りではシュミットが飛び出し、アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン)が追いつき先頭は2名となる。それを3分半の差で追うプロトンではファンアールトが落車し、素早くバイクに跨り集団に戻るシーンも。レース先頭では先頭2名に後続が追いつき、再び7名のまま細かなアップダウンを進んでいった。
中間スプリントでは争うことなくテハダが先頭通過し、後続との差は2分半まで縮小。プロトンでは引き続きイスラエルが先導し、ブエルタ初出場を決めた昨年パリ〜ツール覇者ライリー・シーアン(アメリカ)を中心にその差を縮めていった。
そしていよいよ逃げ集団は3級山岳シエラ・デ・カソルラ(距離4.8km/平均7.1%)に到着した。急勾配区間が登場するその序盤にテハダが仕掛け、オイエル・ラスカノ(スペイン、モビスター)以外を振り落とす。1分遅れで突入したプロトンではダニエル・マルティネス(コロンビア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)が一気にペースを上げた。
しかし同時に集団前方で大規模な落車が発生する。登り区間だったため選手たちに大きな怪我はなかったものの、セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)などが遅れる。落車に加え最大20%の急勾配区間をハイペースで進み、人数を絞ったマルティネスが仕事を終え、先頭に立ったログリッチに追従したオコーナーやリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)など、8名の精鋭集団が出来上がった。
39秒差まで追いつけられた先頭では、テハダとラスカノにルーカ・ヴェルガリート(イタリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が合流して3名に。ログリッチ・グループでは緩斜面で後続が追いつき一時EFが集団のペースを作るなか、大人数のままフィニッシュまで行くことを嫌ったログリッチが加速。総合3位のジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が早々と遅れるなか、ここにオコーナーはなんとか食らいついた。
フィニッシュまで残り2km、先頭と20秒差まで迫る精鋭集団ではログリッチが再び踏み込む。オコーナーが遅れたのを確認したログリッチはハイペースを維持し、そこには唯一エンリク・マス(スペイン、モビスター)が食らいつく。最後まで粘ったテハダが残り900mでログリッチとマスに捉えられ、遅れたオコーナーはマイペースで頂上を目指した。
残り200mを前にマスがログリッチの前に出たものの、ログリッチは横に並ぶとフィニッシュ手前75mで先頭へ。そして激しく争うこともなく、ログリッチがフィニッシュラインを先頭通過。第4ステージに続く今大会2勝目を手に入れた。
「勝利を狙っていたわけではなく、チャンスだったので掴みにいっただけ。僕に適した厳しいレイアウトで暑さもあった。また幸運にも今日は脚の調子が良かった」と勝因を語ったログリッチ。また3つの1級山岳を越える翌日の第9ステージについて聞かれると「ベストを尽くすだけ。いまだ感じる身体の痛みがどう影響するか次第だろう。でもいまはこの勝利を喜びたい」と答えた。
ボーナスタイム-10秒を獲得したログリッチは、46秒遅れ(17位)でフィニッシュしたオコーナーとの差を3分49秒まで縮めることに成功。総合3位だったアルメイダが4分53秒遅れで総合争いから脱落するなか、落車によって足止めされたクスは1分7秒遅れの21位でフィニッシュ。タイムロスを最小限に留めた。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第8ステージ
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 3:38:34 |
2位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
3位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +0:14 |
4位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:17 |
5位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:21 |
6位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | |
7位 | アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザクスタン) | +0:24 |
8位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +0:26 |
9位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:29 |
10位 | ジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
17位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:46 |
21位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:07 |
60位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +4:53 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | 31:23:27 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:49 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +4:31 |
4位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +5:00 |
5位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | +5:13 |
6位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +5:15 |
7位 | クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケアB&Bホテルズ) | +5:19 |
8位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +5:24 |
9位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +5:25 |
10位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +5:26 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 203pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 162pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 18pts |
2位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー) | 16pts |
3位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | 11pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 31:28:27 |
2位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:15 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:24 |
チーム総合成績
1位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | 94:23:09 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +4:02 |
3位 | UAEチームエミレーツ | +5:13 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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