マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)がドイツツアー3日目の登坂勝負を制す。開幕3連勝とジョナサン・ミラン(イタリア)からの総合リーダージャージ引き継ぎに成功している。



ハイルブロンからシュヴェービッシュ・グミュントを目指す175kmコース photo:Deutschland Tour

第39回リドル・ドイツ・ツアー3日目の第2ステージは、難関山岳の無い5日間日程の中でも起伏に富んだ、総合成績をも左右する重要な一日。丘陵地帯を駆け巡り、総獲得標高は2,500mを越える。合計2度通過するフィニッシュ手前の登坂「オーベルグレーニンゲン」は登坂距離1,900m/平均勾配7.6%と十分な破壊力だ。

士気高く難関ステージに臨んだのは、ここまでステージ2連勝+総合ワンスリーで波に乗るリドル・トレックだった。重量級スプリンターであるジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)ではなく、コース適性に秀でるマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)をエースに据えてステージ3勝目とリーダージャージのチーム内リレーを目論んで逃げグループとの差をコントロールした。

他チームと協力しながらコース後半の山岳区間で逃げを捉え、カウンターで飛び出したアーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)らに対してはトムス・スクインシュ(ラトビア)をチェック役として送り込む。このペースアップで脱落したミランやアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)たちは懸命の追走で一度は追いついたものの、終盤の登坂区間が始まると再び千切れていった。

ステージ後半の周回コースを2周回。アタックが頻発した photo:Deutschland Tour

リドル・トレックがピーダスンのためにペースアップを図る photo:Deutschland Tour

残り20kmを切ろうかというタイミングでメイン集団が先行4名を目前に捉えると、ピーダスンを含む複数名が集団を飛び立ってブリッジを掛けた。こうして生まれた12名のグループが、少しずつ後続から追いついてきた選手を加えながら先行したものの、結局粘り強く追走したメイン集団がラスト2kmで合流。続けざまに突入した登坂「オーベルグレーニンゲン」でステージ優勝に向けたアタック合戦が始まった。

この日2度目の加速を披露したアーチー・ライアンに反応できたのはピーダスンとトビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)の2人だけ。ギクシャクしたローテーションを回す3名が、必死に追う後続グループを振り切ってスプリント勝負を開始する。絶対的勝ちパターンに持ち込んだピーダスンが追いすがるヨハンネセンを退け両手を突き上げた。

積極的なアタックで勝ち逃げを作ったアーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Deutschland Tour

マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が3名のスプリント勝負を制す photo:Deutschland Tour

文句なしのステージ優勝で、元世界王者がチームに開幕3連勝をプレゼント。遅れたミランに代わってリーダージャージの引き継ぎにも成功と、リドルがまたしても圧倒的なチーム力を見せつけることに。

「レーススポンサーのリドルのためにも勝ち星を増やしたいと思っていたんだ。今日はそこまで暑くなかったけど、それでもじわじわと体力が奪われる気象条件だった。キツ過ぎず簡単過ぎないコースは完全に僕向きで、残り200-300mはスリップストリームに入って脚を溜めた。それでもタフなスプリント勝負だったことは事実で、勝ったかどうか少し分からなかったんだ。ヨハンネセンが左から追い上げてきていたので楽勝には程遠かったね」とピーダスンは振り返る。

総合首位に立ったマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:Deutschland Tour

翌第3ステージは、前半から中盤過ぎまで標高700m〜900m級のカテゴリー山岳を4箇所こなすレイアウト。後半50kmほどは下りと平坦基調であり、リドルが徹底的にコントロールすればピーダスンがメイン集団に残るチャンスがある。「総合成績にはステージ優勝が不可欠だと予想していた。今僕が首位に立って、このポジションを守る立場になった。明日は正直言えば僕にはキツすぎる登りがあるけど、チーム力でなんとか乗り切れる可能性があると思う」と話している。
リドル・ドイツ・ツアー2024第2ステージ
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 4:25:50
2位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)
3位 アーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
4位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:06
5位 エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー)
6位 オールイス・アウラール(コロンビア、カハルラル・セグロスRGA)
7位 ヨナス・ルッチ(ドイツ、EFエデュケーション・イージーポスト)
8位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
9位 トビアス・ミューラー(ドイツ、ドイツナショナルチーム)
10位 ショーン・フリン(イギリス、dsmフェルミニッヒ・ポストNL)
個人総合成績
1位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) 8:45:11
2位 トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) +0:12
3位 エミリアン・ジャニエール(フランス、トタルエネルジー) +0:21
4位 アーチー・ライアン(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)
5位 シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)
6位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:22
7位 ファビオ・クリステン(スイス、Q36.5プロサイクリング) +0:24
8位 ヒル・ヘルダース(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
9位 ルーク・ランパーティ(アメリカ、スーダル・クイックステップ)
10位 オールイス・アウラール(コロンビア、カハルラル・セグロスRGA) +0:26
その他の特別賞
ポイント賞 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
山岳賞 サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス)
ヤングライダー賞 ジョナサン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 リドル・トレック
text:So Isobe
photo:Deutschland Tour、CorVos
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