「平坦区間を牽引するクスを見て鳥肌が立った」とは、大会2勝目を手に入れたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)の言葉。終盤に高速牽引を披露したクスなど、ブエルタ7日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝&マイヨプントス ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

今大会2勝目をマークしたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

レース直後インタビュー

もっと大人数での集団スプリントを予想していた。最終山岳が厳しいことは知っていたが、まさかこんな激しい展開になるとは思っていなかった。頂上で集団に入ったのが僕とセップ(クス)だけだったので、立ち回ることが難しかった。セップは本当に素晴らしい走りを見せてくれ、体重が60kgの彼が平坦区間で、あの差を縮める難しさを皆理解できないだろう。背後についた僕は鳥肌が立っていたよ。

―その直前には自ら集団を飛び出して前(ソレル)を追う場面もあった。

誰もついてこなかったので驚いたが、その後UAEが追走するのが見えた。前に追いつき、集団に合流されるリスクを考えて踏むのを止めた。

僕らのチームは勝利だけなく、心を一つにチームとして走ることが高く評価される。そのために重要なのは、必要な時に全員が自己犠牲の走りをすること。ブエルタの総合優勝者が自分を犠牲にしてくれたことは、僕らの哲学を完璧に表す例となった。今日のチームは本当に素晴らしかった。

表彰台で勝利を喜ぶワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

表彰式後インタビュー

家でレースを観ている皆には、体重の軽いセップが平坦区間で時速50kmで集団を牽引する凄さは伝わらないだろう。彼は脚の力を振り絞り、僕を集団スプリントへと導いてくれた。本当に鳥肌ものだったよ。

今日のステージはチームとして勝利を狙っていた。登りでは予想以上のペースだったが、なんとか集中して耐えることができた。もし最後のスプリントが2位争いならストレスだったが、勝利を賭けたスプリントで手を掲げることができて嬉しかった。

ステージ2位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)

先んじてスプリントを開始したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

登りでのスピードがとても速かった。この登坂スピードに食らいつくことができれば、小集団スプリントで自分のスピードを活かせると思っていた。(登りで遅れたものの)下りで追いつき、少しリラックスする時間もあった。最後はマティアス・スケルモースが僕を、ファンアールトの背後という完璧な位置まで運んでくれたんだ。

長い準備期間を経てここにやってきた。ここまでは良い結果になっているので、これからのステージが楽しみだよ。

マイヨロホ ベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル)

マイヨロホの赤に染めたスペシャルバイクで走るベン・オコーナー(オーストラリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) photo:CorVos

最終山岳まではとても楽なステージだった。そこから慌ただしいレースに持ち込まれたが、暑さも大分マシだったよ。ログリッチがボーナスタイムを狙う動きに意外性はなく、そこまでアタック合戦が繰り広げられることもなかった。個人的には良い日となったよ。

勝利をアシストする牽引を見せたセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)

クスに感謝を伝えるワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ワウトで狙うステージだと思っていたが、同時に厳しい展開になることも予想していた。特にハイペースに持ち込まれるであろう山岳ではね。絞られた集団にワウトがいて、調子が良さそうだったので是が非でもスプリントに持ち込みたかった。ソレルを引き戻すことは大変だったが、まるで自分の勝利と等しい喜びがある。

―ファンアールトの飛び出しについてはどう思った?

横風が吹いていたため、集団のスピードが上がりきっていなかった。だから良い加速だと思ったし、2人の戦いになればより集団スプリントよりもシンプルになるだろうと思った。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos