2024/08/22(木) - 08:37
第79回ブエルタで唯一の平坦ステージとなった第5ステージ。今大会3度目の集団スプリントで21歳パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)がファンアールトを下し、グランツール初勝利を手に入れた。
8月21日(水) 第5ステージ
フエンテ・デル・マエストレ〜セビリア 177km(平坦)
前日のマイヨロホ争いから一転、ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージは大会唯一の平坦ステージ。スペイン南部アンダルシア州に入っていくコースはフエンテ・デル・マエストレから真南にあるセビリアまでのほぼ一直線で、カテゴリー山岳は一つもない。
セビリアの市街地に入ってからコーナーが連続し、残り3.5kmから長い直線路がフィニッシュまで続いていく。このステージも落車時にトップ集団と同タイムフィニッシュになる救済措置は、残り4kmから適応。また中間スプリントが残り24.6km地点と終盤に設定されているため、コース前半は前日の疲れを癒やすリラックスしたペースが予想された。
前日から引き続き36度を越える暑さのなか、今大会3度目の逃げとなったイボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)とチョミン・フアリスティ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)がエスケープ。共にグランツールデビューとなった2名は、アルペシン・ドゥクーニンクの牽引するメイン集団に対し最大5分のリードを得る。プロトンの前方付近では前日勝者かつ、ブエルタ通算38日目のマイヨロホ着用となったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)など総合勢が脚の回復に努めた。
最初の約70kmは予想通り平均36km/hというスローペースで進んだものの、選手たちは厳しい暑さに水分補給や首裏にいれる氷の補給で大忙し。マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るシルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー)も背中に多くのボトルを入れ、チームメイトに運ぶシーンなどもありながら順調に残り距離を消化していった。
セビリアが前回フィニッシュ地点となったのは、2017年のブエルタ・ア・アンダルシア(ルタ・デル・ソル)。その時の勝者であるブライアン・コカール(フランス、コフィディス)が再現を狙うなか、残り50kmで横風による集団分断(エシュロン)を警戒した集団のペースが一気に上がる。しかしその心配は杞憂に終わり、集団はそのまま残り40km地点で逃げを吸収した。
残り24.6km地点の中間スプリントでは、互いにリードアウトを使わないピュアスプリントで、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)を下す。フィニッシュが徐々に近づくにつれ集団の緊張感は高まっていき、セビリアの市街地に入った残り10km地点で先頭付近を走っていたオウェイン・ドゥール(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が落車した。
コーナーでタイヤを滑らせたドゥールには、その背後を走っていたルイ・コスタ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)も覆いかぶさるように落車。ドゥールが再び走り出すなか、母国ポルトガル開幕でモチベーションの高かった元世界王者に骨折はなかったものの、今大会2人目のリタイア者となった。
約3.5kmの長い最終ストレートにはレッドブル・ボーラ・ハンスグローエを先頭に突入する。残り1.5kmからはアルペシンとDSMフィルメニッヒ・ポストNLがトレインを並べ、マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るファンアールトはチームメイトではなくグローブスの背後につく。そしてエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトが終わる前に、ファンアールトが先に踏み込んだ。
虚をつかれ反応が遅れたグローブスを尻目に、フェンスで左側を閉めるファンアールトの背後からパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が飛び出す。ファンアールトとビットネルは横並びとなり、フィニッシュラインに向けてハンドルを投げる。そしてガッツポーズなき接戦はビットネルに軍配が上がった。
「本当に信じられないよ。僕たちは終盤を冷静に迎え、チーム全員が全力の素晴らしい走りを見せてくれた。そのおかげで力を温存でき、僕をワウト(ファンアールト)の背後に導いてくれた。その後は全力で踏み込み、良い結果を願うだけだった。勝利を信じていたものの、本当に勝てるなんてクレイジーだよ」とビットネルは喜びを語った。
DSMの下部チーム出身のビットネルは2023年プロデビューした21歳。ブエルタの前哨戦であるブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)の初日にプロ初勝利を飾り、大会最終日でも勝利。その好調を本戦に繋げ、ファンアールトやグローブスなど世界トップスプリンターを退けた。
第3ステージは8位だったコカールは4位まで順位を挙げ、5位にはTTスペシャリストであるシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が入る。残り2km地点でミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)がメカトラで集団から遅れたものの、救済措置が適用されたため総合順位の変動はなかった。
8月21日(水) 第5ステージ
フエンテ・デル・マエストレ〜セビリア 177km(平坦)
前日のマイヨロホ争いから一転、ブエルタ・ア・エスパーニャ第5ステージは大会唯一の平坦ステージ。スペイン南部アンダルシア州に入っていくコースはフエンテ・デル・マエストレから真南にあるセビリアまでのほぼ一直線で、カテゴリー山岳は一つもない。
セビリアの市街地に入ってからコーナーが連続し、残り3.5kmから長い直線路がフィニッシュまで続いていく。このステージも落車時にトップ集団と同タイムフィニッシュになる救済措置は、残り4kmから適応。また中間スプリントが残り24.6km地点と終盤に設定されているため、コース前半は前日の疲れを癒やすリラックスしたペースが予想された。
前日から引き続き36度を越える暑さのなか、今大会3度目の逃げとなったイボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)とチョミン・フアリスティ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)がエスケープ。共にグランツールデビューとなった2名は、アルペシン・ドゥクーニンクの牽引するメイン集団に対し最大5分のリードを得る。プロトンの前方付近では前日勝者かつ、ブエルタ通算38日目のマイヨロホ着用となったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)など総合勢が脚の回復に努めた。
最初の約70kmは予想通り平均36km/hというスローペースで進んだものの、選手たちは厳しい暑さに水分補給や首裏にいれる氷の補給で大忙し。マイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を着るシルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー)も背中に多くのボトルを入れ、チームメイトに運ぶシーンなどもありながら順調に残り距離を消化していった。
セビリアが前回フィニッシュ地点となったのは、2017年のブエルタ・ア・アンダルシア(ルタ・デル・ソル)。その時の勝者であるブライアン・コカール(フランス、コフィディス)が再現を狙うなか、残り50kmで横風による集団分断(エシュロン)を警戒した集団のペースが一気に上がる。しかしその心配は杞憂に終わり、集団はそのまま残り40km地点で逃げを吸収した。
残り24.6km地点の中間スプリントでは、互いにリードアウトを使わないピュアスプリントで、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)がワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)を下す。フィニッシュが徐々に近づくにつれ集団の緊張感は高まっていき、セビリアの市街地に入った残り10km地点で先頭付近を走っていたオウェイン・ドゥール(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が落車した。
コーナーでタイヤを滑らせたドゥールには、その背後を走っていたルイ・コスタ(ポルトガル、EFエデュケーション・イージーポスト)も覆いかぶさるように落車。ドゥールが再び走り出すなか、母国ポルトガル開幕でモチベーションの高かった元世界王者に骨折はなかったものの、今大会2人目のリタイア者となった。
約3.5kmの長い最終ストレートにはレッドブル・ボーラ・ハンスグローエを先頭に突入する。残り1.5kmからはアルペシンとDSMフィルメニッヒ・ポストNLがトレインを並べ、マイヨプントス(ポイント賞ジャージ)を着るファンアールトはチームメイトではなくグローブスの背後につく。そしてエドワルト・プランカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトが終わる前に、ファンアールトが先に踏み込んだ。
虚をつかれ反応が遅れたグローブスを尻目に、フェンスで左側を閉めるファンアールトの背後からパヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)が飛び出す。ファンアールトとビットネルは横並びとなり、フィニッシュラインに向けてハンドルを投げる。そしてガッツポーズなき接戦はビットネルに軍配が上がった。
「本当に信じられないよ。僕たちは終盤を冷静に迎え、チーム全員が全力の素晴らしい走りを見せてくれた。そのおかげで力を温存でき、僕をワウト(ファンアールト)の背後に導いてくれた。その後は全力で踏み込み、良い結果を願うだけだった。勝利を信じていたものの、本当に勝てるなんてクレイジーだよ」とビットネルは喜びを語った。
DSMの下部チーム出身のビットネルは2023年プロデビューした21歳。ブエルタの前哨戦であるブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)の初日にプロ初勝利を飾り、大会最終日でも勝利。その好調を本戦に繋げ、ファンアールトやグローブスなど世界トップスプリンターを退けた。
第3ステージは8位だったコカールは4位まで順位を挙げ、5位にはTTスペシャリストであるシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が入る。残り2km地点でミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)がメカトラで集団から遅れたものの、救済措置が適用されたため総合順位の変動はなかった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2024第5ステージ
1位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 4:25:28 |
2位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
4位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | |
5位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | |
6位 | コービン・ストロング(ニュージーランド、イスラエル・プレミアテック) | |
7位 | ジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) | |
8位 | アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・ワンティ) | |
9位 | ジャンマルコ・ガロフォリ(イタリア、アスタナ・カザクスタン) | |
10位 | アントニオ・ソト(スペイン、エキポ・ケルンファルマ) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 18:58:36 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:08 |
3位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +0:32 |
4位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:38 |
5位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:41 |
6位 | フェリックス・ガル(オーストリア、デカトロンAG2Rラモンディアル) | +0:47 |
7位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +0:50 |
8位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:58 |
9位 | ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ) | |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:00 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | 158pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 145pts |
3位 | パヴェル・ビットネル(チェコ、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | 81pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | シルヴァン・モニケ(ベルギー、ロット・デスティニー) | 16pts |
2位 | フィリッポ・ザナ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | 11pts |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | 10pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 18:59:14 |
2位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:03 |
3位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:20 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 56:57:29 |
2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +1:19 |
3位 | デカトロンAG2Rラモンディアル | +2:42 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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