「勝利を狙っていたわけではなく、チームの走りに報いたかった」と勝利したプリモシュ・ログリッチは語った。惜しくも敗れたファンイートヴェルトやタイムを失ったアダム・イェーツなど、ブエルタ4日目を選手たちの言葉で振り返ります。



ステージ優勝&マイヨロホ プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

フィニッシュ手前でファンイートヴェルトを抜いたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

僕自身よりもチームが頑張った成果だ。今日はステージ優勝を狙いにいったわけではなかった。だが仲間がこの暑さのなか懸命に走る(集団をコントロールする)姿を見て、その頑張りを勝利に繋げたかった。

―腰がまだ痛むなか、勝つ自信があるとチームメイトに伝えていたか?

腰の状態については誰にも聞かれなかった。もし聞かれていても(腰が痛くて自信がないなんて)言わないし、僕から「ステージ優勝を目指して集団をコントロールしてくれ」とは言わなかった。僕には(彼らの期待に答えて)勝利を狙いにいく選択肢しかなかった。

復活勝利でマイヨロホを手に入れたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

(最終山岳は)勾配の厳しいタフなレイアウトだった。何時間ものレースを通して腰の痛みは感じていたが、幸運にもそれ以上悪くはならなかった。だからその時できるベストの走りをしたまでだ。

いつ最後(のブエルタ出場)になるか分からないから、一日一日を大切に楽しんで走ることを心がけている。人生と同じように良いことばかりではない。だが目の前には挑むべきものがあり、今日はチームが本当に頑張ってくれた。その走りを勝利で報いることができ本当に嬉しいよ。

ステージ2位&総合5位 レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー)

ミケル・ランダ(スペイン、Tレックス・クイックステップ)が先んじて仕掛けた photo:Unipublic

(スプリントではなく)もっと違った形で負けていればより喜びを感じていただろう。正直悔しいが、何日か経てば喜びに変わっていることだろう。この大会には総合順位を狙いにきた。いまの調子を確認することができ、チームと自分に自信を持っている。

―左側からログリッチが迫ってきた時はどう思ったか?

思わず叫んでしまったよ。

―自分が勝ったと思ったか?

いいや、(負けたことが)見えていたらね。

ステージ3位&総合2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)

いままで走った中で最も暑い日となった。チームは僕の身体を冷やし、水分補給のサポートをしてくれた。最後の登りにも完璧な位置で入ることができ、先頭付近につくことができた。登りは勾配がとても急だった。脚の状態が良かったのでステージ3位に入ることができた。この調子でもっと良い結果を狙いたい。

ステージ6位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック)

先頭に追従し、ステージ6位に入ったマシュー・リッチテッロ(アメリカ、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

振り返ると「楽しかった」ということができるが、走っている時は暑いということしか考えられなかった。こんな暑さの中でレースはもちろん、トレーニングさえした記憶がない。皆この暑さに苦しんでいた。皆の脚がフレッシュな状態のなか、自分への期待は高くなかった。だが良いレースをすることができた。また決まらなかったが、アタックも仕掛けることができた。

ステージ11位 セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク)

28秒遅れでフィニッシュしたセップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ステージを通して皆冷静に走っており、最後の山岳に向けて脚を温存したかったのだろう。この暑さの中で少しでも無理をすれば命取りだからね。プリモシュ(ログリッチ)は強く、今日はそれが明らかになっただけ。彼とは長くチームメイトだったので、どんな酷い怪我でもすぐに回復する様を見てきた。それに大会前の高地トレーニングで調子の良さそうな彼の姿も見ていたんだ。

UAEは勝負できる手札が多く、急勾配の登りではそれが有利に働いた。それほどタイムを失わなかったので自分自身の走りには満足しているよ。(得意ではない)短い登りで、調子が良くないなかでもタイムロスを最小限にすることができた。

1分29秒遅れでフィニッシュしたアダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ)

今日の僕は暑さにやられてしまったものの、チームから何人かが上位に入った。またツールから準備期間の短いなか、コンディションを整えることは難しい。それに加えてこの暑さだ。だからそこまで落ち込んではいないよ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos