2024年ツール・ド・フランスに出場した22チームのバイクを3チームごとに連載形式で紹介していくシリーズ第4弾。ビニヤム・ギルマイ(エリトリア)のマイヨヴェール記念バイクや、ニューモデルをツール投入したイスラエル・プレミアテックとリドル・トレックを紹介します。



アンテルマルシェ・ワンティ|キューブ LITENING AERO C:68X

ビニヤム・ギルマイ(エリトリア)のキューブ LITENING AERO C:68X photo:Kei Tsuji

ヘッドチューブからフォークまで連なるデザイン photo:Kei Tsuji
下ハンドル部分にはDI2のサテライトスイッチを投入 photo:Kei Tsuji



ビニヤム・ギルマイ(エリトリア)のステージ3勝とマイヨヴェール(ポイント賞)獲得に沸いたアンテルマルシェ・ワンティは、キューブのエアロロードであるLITENING AERO C:68Xをメインユース。クライマーのルイス・メインチェス(南アフリカ)らは軽量オールラウンダーのLITENING AIR C:68Xを使用していた(昨年ジャパンカップでは優勝したルイ・コスタがLITENING AIRを使用していた)。

ホイールはニューメンのADVANCED SL R.60で、空力に影響するバルブをリム内側に隠す「STREEM AERO VALVE」を採用していることがポイントで、空気充填のためには米式の専用ヘッドを差し込むなど可能な限りエアロ性能を考慮した作りだ。

ニューメンのADVANCED SL R.60ホイールを常用した photo:Kei Tsuji

バルブをリム内側に隠す「STREEM AERO VALVE」 photo:Kei Tsuji
ギルマイはスプリンターらしく56/44Tをアッセンブル photo:Kei Tsuji



マイヨヴェールを獲得したギルマイのために艶やかなグリーンペイントを用意した。ホイールロゴはもちろんルックのKEOペダルやバーテープ、さらにはゼッケンプレート台座固定用のタイラップまでグリーンに統一するという気合いの入れよう。スプリンターらしく下ハンドル部分にはDI2のサテライトスイッチを仕込んでいる。



イスラエル・プレミアテック|ファクター OSTRO VAM 2.0

イスラエル・プレミアテックのファクター OSTRO VAM 2.0。ツール限定の特別カラーだ photo:Kei Tsuji

カナダとイスラエルの混合チームながら、国際色豊かなメンバー構成を組むイスラエル・プレミアテック。使用機材はファクターのエアロロードであるOSTRO VAM 2.0で、一般抽選販売も行われたTDFエディションのカラーリングが目を引いた。

ホイールはバイクと同時開発されたブラックインク48/58。今年はタイヤのロゴが消されなくなった photo:Kei Tsuji

クランクセットはFSA。POWERBOXパワーメーターを採用する photo:Kei Tsuji
ハンドルはブラックインクの専用開発品 photo:Kei Tsuji



ファクター傘下のブラックインクが開発した超軽量エアロモデルの「48/58」ホイールセットを全ステージを通じて使用。タイヤは昨年と変わらずコンチネンタルのGrand Prix 5000シリーズだが、ロゴが消されなくなったことが変更点。正式にマキシスがスポンサーを離れたことが要因だろうか。

コンポーネントはシマノのDURA-ACEで組まれ、チェーンセットはPOWERBOXパワーメーターを搭載したFSA。クランクセットの歯数は54/40Tがスタンダードだ。多くのメンバーがファクターと関係深いセラミックスピードのビッグプーリーセットを投入していた。



リドル・トレック|トレック MADONE SLR

ジュリオ・チッコーネ(イタリア)のトレック MADONE SLR photo:Kei Tsuji

チッコーネはプロロゴサドルを愛用。ロゴはテープで目隠ししている photo:Kei Tsuji
別体式のステム/ハンドルを採用 photo:Kei Tsuji



チームキットもチームカーもチームバイクも、スポンサーカラーによって一際目をひくのがリドル・トレック。このツール・ド・フランスに合わせて実戦投入された新型のMADONE SLRで統一し、旧型MADONEやEMONDAの姿は一切見当たらなかった。

コンポーネントはスラムの新型RED AXSで、例年に引き続いてフロントシングルの採用にも積極的。52Tシングルや54Tシングルなども多用され、フロントダブルの選手でも52T(スラムはトップ10Tのためギア比は大きくなる)などビッグギアを投入している。ジュリオ・チッコーネ(イタリア)はプロロゴのサドルや別体式ステム/ハンドルなど他メンバーとは少し変わったアッセンブルが特徴だ。

フロントシングルに積極的なリドル・トレック。平坦から丘陵ステージまでを1枚ギアでこなす photo:Kei Tsuji

選手供給用として開発され、のちに一般発売された52Tのビッグリング photo:Kei Tsuji
タイヤは新開発されたピレリのP ZERO RACE RS photo:Kei Tsuji



タイヤはピレリがブランド史上最速を掲げて今年5月にデビューさせたP ZERO RACE RSで、第9(グラベル)ステージでは今ツール最大幅の32mmタイヤを投入。フロントシングルやビッグギア、ワイドタイヤなど、アメリカチームらしくトレンドの最先端機材を積極的に投入しているイメージが強い。

text:So Isobe,Kei Tsuji
photo:Kei Tsuji

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