パリ2024オリンピックのトラック6日目。プロロード選手が多数出場する男子マディソンで窪木一茂と今村駿介のコンビが5位入賞。女子スプリントで佐藤水菜が3回戦敗退した一方、太田海也と中野慎詞は男子ケイリンで準々決勝進出を決めた。



男子スプリントに出場した佐藤水菜 photo:JCF

パリ2024オリンピックも残すところあと2日。自転車競技のトラックは女子スプリントの決勝と男子ケイリンの予選、男子マディソンの決勝が行われた。

女子スプリントには前日の1、2回戦を突破した佐藤水菜が出場。3回戦の相手は今大会のチームスプリントで銀メダルを獲得したエマ・ヒンツェ(ドイツ)で、先行したヒンツェをフィニッシュ手前で追い詰めたものの敗北。佐藤は3回戦敗者復活戦に進み、ケルシー・ミッチェル(カナダ)に敗れて敗退となった。

男子ケイリンで準々決勝進出を決めた太田海也 photo:JCF

男子ケイリンの予選で2位に入り、準々決勝に進んだ中野慎詞 photo:JCF

続く男子ケイリンには太田海也と中野慎詞が臨んだ。太田の入った1組目ではモアメド・アジズル・ハスニ・アウァン(マレーシア)がスタート前にペースメーカーを抜いたとして失格。5名で再スタートが切られ、最終周回で追い上げた太田だったが3位と一歩届かず敗者復活戦へと回った。

3組目で出走した中野はラスト2周目でトップに立ち、最終周回でマシュー・リチャードソン(オーストラリア)に抜かれたものの2着でフィニッシュ。太田は敗者復活戦を1位で終え、日本勢が共に準々決勝に駒を進めた。

中野は「1回戦を突破したのは良かったですが、ここがゴールではありません。明日は1本1本が重要なレースになるので、しっかり冷静にレースを見て進めたいです」とコメント。また太田は「自信がなくなるようなレースが続いてしまっていたので、自信を持って敗者復活戦に挑むよう心がけました。明日はより積極的なレースをして、メダルを目指して頑張りたいです」と語っている。

男子マディソンに出場した窪木一茂と今村駿介 photo:JCF

男子マディソン決勝にはアジアトラック選手権で3連覇した窪木一茂と今村駿介が挑んだ。序盤から飛び出したオーストリアがラップして25ポイントを獲得してリードする。しかしオーストリアは逆にラップされてポイントを失い、その後イタリアがリードする展開のなか日本もポイントを加算していく。

一時は3位に入った日本をデンマークなどが上回り、日本は5位でフィニッシュ。金メダルはポルトガルのイヴォ・オリヴェイラとユーリ・レイタォンが獲得し、銀メダルはイタリアのエリア・ヴィヴィアーニとシモーネ・コンソンニが獲得。コンソンニは前日の女子マディソンで優勝した妹のキアラと共にメダリストとなった。銅メダルはデンマークのニクラス・ラーセンとミケル・モルコフが手に入れている。

金メダルを獲得したポルトガル photo:UCI

男子マディソン表彰台:2位イタリア、1位ポルトガル、3位デンマーク photo:UCI

パリ五輪で全種目を終えた佐藤と窪木、今村のコメントを紹介する。

佐藤水菜
3回戦は以前にも戦ったことのある選手で、自分の修正点をしっかり前持って挑みました。でも車間を見誤ってしまい、結果的に追いつけませんでした。全体として、自分の実力通りの結果だったと思います。自分のやれることを最大限やった結果ですので、伸び代しかないと思っています。メダルを期待されるような実力を持っているとは、自分自身は思っていなかった。結果として受け止めていて、悔しい気持ちもありますが、実力を再認識した形です。そしてやはり経験が少ないので、実力以上に実戦経験を増やしていく必要があると感じました。

窪木一茂
最後の40周30周では、今村に冷静な声かけができませんでした。キツいところで踏ん張るような時にこそ「メダルいけるぞ!」と声をかけるべきでした。そこでの一声があれば僕も今村も復活できて、メダルが獲れたのではないかと思います。リオ五輪の時とは比べ物にならないほど自信もありましたし、恐れるものもなくしっかり勝負ができました。以前ブノワが「日本がマディソンでメダルを獲ることは奇跡に近い」と言っていたのですが、レース前、2人でそのことを話しました。それで暫定3位になった時に「奇跡を起こしてやろう」って思いましたね。周りのサポートのおかげもあり、最高のパフォーマンスでしたし、日本の皆さんにも「日本がやるんじゃないか」と思わせることができたならすごく嬉しいです。悔いはありません。

今村駿介
前半から前にいることはできたのですが、細かなミスを僕がメインにしてしまいました。良い位置取りを下げてしまったことが、上位争いができなかった要因だと思います。窪木さんが仕掛けてくれるので、僕はついて行くだけでした。前の選手に食らいつくことが僕の仕事です。しかし窪木さんに頼らず、きちんと「2人1組」でレースをするという点が足りなかったなと思います。上位争いをするためにここまでやってきて、細かな技術を磨いてきました。この1日は忘れられないですし、窪木さんの背中を追って世界に肉薄することができたと思います。まだやれることはいっぱいあるなと思います。次の 4 年間でもっともっと力をつけて、あっと驚くような結果を残せたらと思います。
男子マディソン結果
1位 ポルトガル(イヴォ・オリヴェイラ、ユーリ・レイタォン)
2位 イタリア(エリア・ヴィヴィアーニ、シモーネ・コンソンニ)
3位 デンマーク(ニクラス・ラーセン、ミケル・モルコフ)
5位 日本(窪木一茂、今村駿介)
女子スプリント結果
3回戦敗者復活戦敗退 佐藤水菜
男子ケイリン結果
準々決勝 太田海也
準々決勝 中野慎詞