オルベアが2025年モデル展示会で、来年よりオルベア・ジャパンの始動を発表した。ブランドのカルチャーとバイクを、これまでより色濃く日本に伝えることとなる。



これからオルベア・ジャパンとしてブランドを紹介するスタッフの皆さん

自転車競技への情熱で知られるスペイン・バスク地方。2023年ツール・ド・フランスのグランデパールに選ばれ、バスクを巡った3日間で彼らの熱狂を知ることとなったロードレースファンも少なくないだろう。その地に根ざす自転車ブランドがオルベアだ。

2024年からはベルギーの老舗チーム、ロット・デスティニーのバイクサプライヤーとして参画。ベルギー王者として世界の名だたるスプリンターと肩を並べる存在となったアルノー・ドゥリーらの活躍によって、ロットとともにオルベアの名前が再びツール・ド・フランスの舞台に帰ってきた。

同時に元プロロードレーサーの別府史之さん、日本縦断のギネス達成を達成した篠さんといったアンバサダー、パリ五輪マウンテンバイク競技に参戦した川口うららへの機材供給を通じて、日本国内においてもオルベアの存在感が再び高まってきた。時を合わせるようにビジネス面でも勢いに乗ったオルベアは満を持して日本法人を設立。本格的に国内にバスクの情熱を届けることとなった。

野口忍氏はカントリーマネージャーを務める

法人の設立は来年の頭になる予定だというが、日本におけるオルベアは昨年より野口忍氏をカントリーマネージャーとして積極的な活動を行ってきた。オルベア・ジャパンとなった後も中心人物としてブランドを牽引する野口氏は、マウンテンバイクの選手として活躍した後に、バイクブランドとショップの仕事に従事しており、スポーツバイクにまつわる様々な役割を熟知している人物だ。

公式代理店としてオルベアを日本に届けていたサイクルクリエーションの石黒誠司氏もオルベア・ジャパンにジョインする。オルベア・ジャパンの発足発表会ともなった2025年モデル展示会は、まず石黒氏の言葉から始まった。石黒氏とオルベアの結びつきは1990年代に石黒氏がスペインでレース活動を行っていたことに遡るという。

サイクルクリエーションの石黒氏もオルベア・ジャパンの一員となる
マーケティングを担当するのは佐藤修平氏



先述した通り自転車熱が高いバスクでレース活動を行っているうちに販売業も手がけることになった石黒氏。その時にバスクレースの審判長を行っていたのが、現社長のダニエル・マルティネス氏だった。その時の結びつきは今でも健在で、さらにこれから日本で再び羽ばたこうとしているオルベアの片翼として活躍が期待される。

そしてマーケティングを担当するメンバーとして佐藤修平氏も加わった。佐藤氏はバイクブランドに長らく従事したのち、培った知識や技術をもとにフィッターとして活躍。自転車選びのサポートとなるノウハウや手法を熟知しており、バイクを細かくカスタマイズできるMyOを抱えるオルベアで活きるはずだ。

ロット・デスティニーとのパートナーシップで成長するオルベア

彼らに共通するのはオルベアのフィロソフィーや情熱に共感したこと。ブランドとしての根幹となるカルチャーをオルベア・ジャパンとして日本に届けることとなる。キーワードの一つは「We. Not Me.(私ではない。私たちである)」。

オルベアという会社だけではなく様々なステークホルダーも含めて「私たち(仲間)」であるとして、より良い環境を作り上げていくことを目指している。例えば、オルベアはコーポラティブ(共同組合)というスタイルで会社が成り立ち、経営者だけではなく従業員も意思決定の一票を持っており、会社の方向性に関与することができるという。

多くのショップスタッフが集まったオルベア展示会

そしてWe. Not Meの考え方はディーラー、ユーザーまで広げられており、オルベアはありとあらゆるステークホルダーに良好な状態を築いてもらいたいと考えている。ブランドやディーラーなどはビジネスが持続可能となるように、サイクリストが安全に自転車を楽しめるようにとオルベアは願っている。

日本の表現で言うならば「三方良し」を実現するために、オルベアは2015年にスペインに工場を建設し、自社で自転車を組み立てるラインを整えた。これによって世界中から届くオーダーに柔軟に、かつ迅速に応えられる体制を構築。その象徴となるのがカスタムオーダーシステム「MyO」だろう。

複数のカラーも選べることがMyOが魅力

オーダーが入った後に塗装、組み付け、品質チェックをバスクで行うことができるため、デリバリーまでのスケジュールも管理しやすく、かつ迅速に日本まで届けてくれる。在庫がスペインの本社に集約されているため、レギュラーカラーのフレームに在庫があれば、パーツカスタムをしても同様だ。

ユーザーに直送する方式も可能なシステムだが、オルベアはショップを経由する仕組みを採用している。それはプロレベルでバイクをメンテナンスすることで安全性を確保し、かつトラブルに対応しやすいから。さらにオーダー時にショップで、サイズなどのフィッティング面で最終確認することができるため、ユーザーにとっても万全の状態の自転車をアレンジできるからだ。

OQUOのホイールもハイクオリティに仕上げられている

MyOとレギュラーモデル共にWEBサイトからカスタムが可能となっており、その後自宅近くのショップを検索することでオルベア取扱店を確認することができる。そのまま進めるとオルベアを通じてショップへと伝わり、その後ユーザーとショップとのやり取りになる。スムーズにオルベア取扱店とユーザーを繋げてくれるため、ショップ探しの手間も少ない。もちろん行きつけのショップがオルベアを取り扱っていれば、そこで在庫状況のチェックが行えるようになっている。

ユーザーフレンドリーなシステムが構築されているとは言え、一番大事なのは自転車が魅力的であること。昨年モデルチェンジを果たしたORCAやエアロロードのORCA AEROなどロードは、先述したプロやアンバサダーの活躍によって性能や真価を発揮するシチュエーションが伝わってきているはずだ。特にORCAはシクロワイアードの特集でロット・デスティニーやショップスタッフのインプレッションを深掘りしているため、ぜひチェックしてもらいたい。リンクはこちら

独特なグラフィックをあしらっている通常カラーも魅力的

今回の展示会ではモデル名の読み解き方を改めてレクチャー。「ORCA・M・10・I」のように構成されており、「モデル名・素材・グレード(コンポーネント)・電動変速の種類」を示している。つまり、ORCA M10IはカーボンフレームでDURA-ACE DI2のモデルということ。

ちなみにナンバリングは10=DURA-ACE、20=ULTEGRA、30=105で、11=RED、21=FORCE、31=Rivalで、その後に続く”I”はDI2、”E”はeTapだ。これを参考にオルベアバイクをチェックしてもらいたい。

マウンテンバイクも得意とするブランドとなっている

また、マウンテンバイクのラインアップも充実しており、ヨーロッパでは特にE-MTBが大人気なのだとか。クロスカントリーバイクのOIZや、トレイルバイクのOCCUMなども最先端のトレンドを反映した高性能バイクとして開発されており、最新の走りをユーザーに提供している。

また、欧米のみならずアジアでもオルベアは急成長しており、世界中の人々が注目しつつあるという。そんなオルベアのバイクはこれから日本でも見かけることや試乗できる機会が多くなってきそう。ぜひオルベアに注目してみてはいかがだろうか。

試乗車も数多く用意されている。これからユーザーも試すことができそうだ


text&photo:Gakuto Fujiwara
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