2024/08/01(木) - 23:00
スラムのグラベルコンポーネント、RED XPLR AXSがフルモデルチェンジ。堅牢で正確な変速を可能とするフルマウントディレイラーの採用と13速化、そして102gの軽量化を果たし、グラベルライドを更に加速させる新世代コンポーネントが誕生した。
先日、ロード用フラッグシップモデルであるRED AXSのフルモデルチェンジを発表したスラム。内部構造から一新されたシフト/ブレーキレバーを筆頭に、余分な力を不要とする「エフォートレス」なコンポーネントとして生まれ変わった新型RED AXSは、多くのロードバイカーの新たな憧れとなった。
その勢いのままに、スラムが発表するのはグラベル用コンポーネント"XPLR"シリーズのモデルチェンジ。2021年に発表されて以来、スラムを愛するグラベルライダーから高い支持を受けてきた専用モデルが、初のフルモデルチェンジを果たす。
XPLRシリーズに含まれるのは、いわゆるドライブトレインのみ。フロントシングルのコンポーネントとなるため、クランクセット、リアディレイラー、スプロケット、チェーンがXPLRシリーズとしてラインアップされる。
その他のパーツ、シフト/ブレーキレバーやブレーキキャリパー、ローターなどはRED AXSと共通となり、特にレバーに関しては12速のAXSモデルであれば対応する高い互換性も有している。
さて、それでは第2世代のRED XPLR AXSの詳細を紹介していこう。
新型RED XPLR AXSの大きな特徴は3つ。フルマウントデザインリアディレイラーの採用、13速化、そして102gの軽量化だ。
中でも、新型RED XPLR AXSのコアとも言えるのがリアディレイラーだ。スラムの提唱するUDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)規格のフレームにダイレクトに装着するフルマウントデザインを採用し、様々な側面で大きな進化を果たした。
ディレイラーハンガーを介して取り付けられていた従来のディレイラーは、ディレイラーハンガーの寸法や、フレームの厚みなど、様々な要因によってスプロケットに対する初期位置が異なってきた。その差を吸収するために、様々な調整ボルトがあり、メカニックがセッティングを出す必要があった。
一方、フルマウントデザインのリアディレイラーは、リアエンド形状の統一規格であるUDHインターフェースを両側から挟み込み、リアホイールのスルーアクスルによって固定される。つまり、リアディレイラーの内側がハブのロックナットと接する設計であり、どのブランドのどのモデルのフレームにインストールしても、ホイール/スプロケットとディレイラーの位置は不変となる。
これが意味するのは、変速調整が不要になるということ。RED XPLR AXSのリアディレイラーには、Bテンションボルトも、トップ側/ロー側のリミットスクリューも存在しない。インストールの際に調整する必要があるのは、チェーンの長さだけだ。
そしてスルーアクスルを中心としフレームを挟み込む構造は、衝撃に対して非常に強くなっている。スラムがフルマウントデザインをデビューさせた際には、横に倒したバイクのディレイラーの上に人間が乗っても問題がないとアピールする動画を公開するほど、堅牢性の高いシステムとなっている。
荒れた未舗装路を行くグラベルライダーにとって、この堅牢性は非常に大きなメリットとなるだろう。また、輪行時にもこの堅牢性は大いに役立つはずだ。特に飛行機でバイクを輸送する際、ハンガーが曲がってしまい調整するのに苦労したという方も多いだろうが、このRED XPLR AXSであればそんな不安は過去のものとなる。
また、グラベルコンポーネントとして最適なチェーンマネジメントを提供するのもこのディレイラーの役割だ。1x専用のパンタグラフデザインと新しいクラッチ、そしてグラベル専用にチューニングされたスプリングフォースによって、あらゆる条件でチェーンの暴れを抑止し、最適な効率を実現。更に、ケージロックモードも用意されており、ホイールの脱着も容易となっている。
また、ユニークなのがロワープーリーだ。マジックホイールと名付けられたこのプーリーは異物を挟んでも歯の部分が独立して動き続け、トラブルのリスクを低減。木の枝などが落ちているグラベルを走る上で、安心できる機構となっている。
そして、スラム初となる13速コンポーネントとなったこともRED XPLR AXSの大きな特徴の一つ。新たに開発されたXG-1391カセットは、10-11-12-13-15-17-19-21-24-28-32-38-46Tという構成。
12速との違いは、12Tが追加されトップ側4枚が1T刻みとなり、高速域で適切なケイデンスを保ちやすくなったこと。さらに、ローギアも最大44Tだったのが46Tに拡大し、よりハードな登坂にも対応するようになった。フロントダブルと比較すると、フロント46T、リア13速のXPLRと、アウター46T/インナー33T、リア10-33Tカセットが同じギアレンジを実現することになる。また、歯数こそ増えているが、チェーンは12速のフラットトップチェーンを継続して使用する。
新しいXPLRを構成する最後のパーツがクランクセットだ。クランクアームはロードモデルと同等となるが、47.5mmのチェーンラインに合わせ、通常版より5mm長いDUB WIDEスピンドルを装備する。Qファクターは150mmで、アーム長は160mm/165mm/167.5mm/170mm/172.5mm/175mmの6種類が用意される。
大きな進化点となるのが、パワーメーターモデル。前世代ではチェーンリング一体型パワーメーターとなっており、チェーンリングの寿命とともにパワーメーターごと交換する必要があった。しかし、コストがかさむため改善を求めるユーザーの声もあり、今作ではMTBコンポーネントで先行採用されたスレッドマウントインターフェースを搭載し、チェーンリングを交換可能とした。
パワーメーターは従来と同じクオークのDZeroパワーメーターとなる。高い耐久性と両足計測対応、±1.5%という高精度に加え、CR2032電池で約200時間のランタイムを誇る高性能モデルだ。また、チェーンリングは38Tから46Tまでラインアップされる。またパワーメーターが不要なライダー向けにシンプルなダイレクトマウントチェーンリングが組合せられたクランクセットも用意されている。
これらの新たなシステムを搭載しつつ、大きな軽量化を遂げたRED XPLR AXS。2,578gだった前世代に対し、102gの重量を削減し、システム重量2,476gを達成。最も軽量なグラベルグループセットとして、市場に君臨する。
多くの進化を遂げたRED XPLR AXS。スマートなアセンブルと堅牢な構造、正確で素早いシフト、スムーズでワイドレンジな13スピード、確実にライドに貢献する軽量化と、まさにエフォートレスにグラベルを楽しむための機能が満載された、新時代のグラベルコンポーネントと言えるだろう。
一点、改めて注意する必要があるのが、RED XPLR AXSはUDH対応フレームでないとアセンブルできないということ。乱立していたディレイラーハンガーを統一できるという大きなメリットがあり、既にMTBでは主流となっており、ロード/グラベルバイクにおいても主要メーカーは今後採用予定だという。
現在UDHを採用しているバイクについては、スラムオフィシャルサイトのSRAM Bike Finderから、適合フレームを確認可能となっている。次世代の基準となりうる新コンポーネントを検討する方は、ぜひチェックしてみてほしい。
先日、ロード用フラッグシップモデルであるRED AXSのフルモデルチェンジを発表したスラム。内部構造から一新されたシフト/ブレーキレバーを筆頭に、余分な力を不要とする「エフォートレス」なコンポーネントとして生まれ変わった新型RED AXSは、多くのロードバイカーの新たな憧れとなった。
その勢いのままに、スラムが発表するのはグラベル用コンポーネント"XPLR"シリーズのモデルチェンジ。2021年に発表されて以来、スラムを愛するグラベルライダーから高い支持を受けてきた専用モデルが、初のフルモデルチェンジを果たす。
XPLRシリーズに含まれるのは、いわゆるドライブトレインのみ。フロントシングルのコンポーネントとなるため、クランクセット、リアディレイラー、スプロケット、チェーンがXPLRシリーズとしてラインアップされる。
その他のパーツ、シフト/ブレーキレバーやブレーキキャリパー、ローターなどはRED AXSと共通となり、特にレバーに関しては12速のAXSモデルであれば対応する高い互換性も有している。
さて、それでは第2世代のRED XPLR AXSの詳細を紹介していこう。
新型RED XPLR AXSの大きな特徴は3つ。フルマウントデザインリアディレイラーの採用、13速化、そして102gの軽量化だ。
中でも、新型RED XPLR AXSのコアとも言えるのがリアディレイラーだ。スラムの提唱するUDH(ユニバーサルディレイラーハンガー)規格のフレームにダイレクトに装着するフルマウントデザインを採用し、様々な側面で大きな進化を果たした。
ディレイラーハンガーを介して取り付けられていた従来のディレイラーは、ディレイラーハンガーの寸法や、フレームの厚みなど、様々な要因によってスプロケットに対する初期位置が異なってきた。その差を吸収するために、様々な調整ボルトがあり、メカニックがセッティングを出す必要があった。
一方、フルマウントデザインのリアディレイラーは、リアエンド形状の統一規格であるUDHインターフェースを両側から挟み込み、リアホイールのスルーアクスルによって固定される。つまり、リアディレイラーの内側がハブのロックナットと接する設計であり、どのブランドのどのモデルのフレームにインストールしても、ホイール/スプロケットとディレイラーの位置は不変となる。
これが意味するのは、変速調整が不要になるということ。RED XPLR AXSのリアディレイラーには、Bテンションボルトも、トップ側/ロー側のリミットスクリューも存在しない。インストールの際に調整する必要があるのは、チェーンの長さだけだ。
そしてスルーアクスルを中心としフレームを挟み込む構造は、衝撃に対して非常に強くなっている。スラムがフルマウントデザインをデビューさせた際には、横に倒したバイクのディレイラーの上に人間が乗っても問題がないとアピールする動画を公開するほど、堅牢性の高いシステムとなっている。
荒れた未舗装路を行くグラベルライダーにとって、この堅牢性は非常に大きなメリットとなるだろう。また、輪行時にもこの堅牢性は大いに役立つはずだ。特に飛行機でバイクを輸送する際、ハンガーが曲がってしまい調整するのに苦労したという方も多いだろうが、このRED XPLR AXSであればそんな不安は過去のものとなる。
また、グラベルコンポーネントとして最適なチェーンマネジメントを提供するのもこのディレイラーの役割だ。1x専用のパンタグラフデザインと新しいクラッチ、そしてグラベル専用にチューニングされたスプリングフォースによって、あらゆる条件でチェーンの暴れを抑止し、最適な効率を実現。更に、ケージロックモードも用意されており、ホイールの脱着も容易となっている。
また、ユニークなのがロワープーリーだ。マジックホイールと名付けられたこのプーリーは異物を挟んでも歯の部分が独立して動き続け、トラブルのリスクを低減。木の枝などが落ちているグラベルを走る上で、安心できる機構となっている。
そして、スラム初となる13速コンポーネントとなったこともRED XPLR AXSの大きな特徴の一つ。新たに開発されたXG-1391カセットは、10-11-12-13-15-17-19-21-24-28-32-38-46Tという構成。
12速との違いは、12Tが追加されトップ側4枚が1T刻みとなり、高速域で適切なケイデンスを保ちやすくなったこと。さらに、ローギアも最大44Tだったのが46Tに拡大し、よりハードな登坂にも対応するようになった。フロントダブルと比較すると、フロント46T、リア13速のXPLRと、アウター46T/インナー33T、リア10-33Tカセットが同じギアレンジを実現することになる。また、歯数こそ増えているが、チェーンは12速のフラットトップチェーンを継続して使用する。
新しいXPLRを構成する最後のパーツがクランクセットだ。クランクアームはロードモデルと同等となるが、47.5mmのチェーンラインに合わせ、通常版より5mm長いDUB WIDEスピンドルを装備する。Qファクターは150mmで、アーム長は160mm/165mm/167.5mm/170mm/172.5mm/175mmの6種類が用意される。
大きな進化点となるのが、パワーメーターモデル。前世代ではチェーンリング一体型パワーメーターとなっており、チェーンリングの寿命とともにパワーメーターごと交換する必要があった。しかし、コストがかさむため改善を求めるユーザーの声もあり、今作ではMTBコンポーネントで先行採用されたスレッドマウントインターフェースを搭載し、チェーンリングを交換可能とした。
パワーメーターは従来と同じクオークのDZeroパワーメーターとなる。高い耐久性と両足計測対応、±1.5%という高精度に加え、CR2032電池で約200時間のランタイムを誇る高性能モデルだ。また、チェーンリングは38Tから46Tまでラインアップされる。またパワーメーターが不要なライダー向けにシンプルなダイレクトマウントチェーンリングが組合せられたクランクセットも用意されている。
これらの新たなシステムを搭載しつつ、大きな軽量化を遂げたRED XPLR AXS。2,578gだった前世代に対し、102gの重量を削減し、システム重量2,476gを達成。最も軽量なグラベルグループセットとして、市場に君臨する。
多くの進化を遂げたRED XPLR AXS。スマートなアセンブルと堅牢な構造、正確で素早いシフト、スムーズでワイドレンジな13スピード、確実にライドに貢献する軽量化と、まさにエフォートレスにグラベルを楽しむための機能が満載された、新時代のグラベルコンポーネントと言えるだろう。
一点、改めて注意する必要があるのが、RED XPLR AXSはUDH対応フレームでないとアセンブルできないということ。乱立していたディレイラーハンガーを統一できるという大きなメリットがあり、既にMTBでは主流となっており、ロード/グラベルバイクにおいても主要メーカーは今後採用予定だという。
現在UDHを採用しているバイクについては、スラムオフィシャルサイトのSRAM Bike Finderから、適合フレームを確認可能となっている。次世代の基準となりうる新コンポーネントを検討する方は、ぜひチェックしてみてほしい。
スラム RED XPLR AXS
販売モデル | 内容 | 価格(税込) |
---|---|---|
リアディレイラー | フルマウント、Max46T、13s | 118,000円 |
クランクセット | 歯数:42T、40T クランク長:160mm、165mm、167.5mm、170mm、172.5mm、175mm | 103,900円 |
パワーメータークランクセット | 歯数:42T、40T クランク長:160mm、165mm、167.5mm、170mm、172.5mm、175mm | 185,200円 |
チェーンリング | 歯数:46T、44T、42T、40T、38T | 26,770円 |
カセットスプロケット | 10-46T | 103,700円 |
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