2024/07/29(月) - 08:00
序盤の急勾配区間で仕掛け、単独でエランクールの丘の特設コースを駆け抜けたポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)が母国開催の五輪で金メダリストに。苦しい戦いを強いられた川口うららは途中でレース除外、32位に終わっている。
パリ近郊で最も高い場所にある、標高231メートルのエランクールの丘に設けられたパリ2024MTB特設コース。1975年までがれきの埋立地だった人口丘陵地であり、1980年代の再生計画によって広大な自然を有する市民公園に生まれ変わった場所。南アフリカのコースデザイナーが監修したコースは砂利が敷き詰められたハイスピードレイアウトで、下り区間には大きなドロップオフやロックセクションが含まれる。前日試走時には雨がコースを濡らしたものの、女子レースがスタートする頃には完全ドライという良コンディションでレースが繰り広げられた。
初の五輪出場となった川口うらら(TEAM TATSUNO)を含む、28カ国36名が14時10分(日本時間21時10分)にスタート。序盤から絶対的優勝候補であるフランスのポリーヌ・フェランプレヴォとロアナ・ルコントが前方に位置してペースを引っ張り、一切緩みの無いハイペースでレースを組み立てる。最後尾からのスタートとなった川口は序盤からの高速テンポによって苦しい戦いを強いられ、結果的に完走ならず−3lap/32位という結果でレースを終えている。
大方の予想通り、真っ先にアタックを仕掛けたのはポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)だった。全7周回中の2周目という早めのタイミングで、母国ファンが詰めかけた最急勾配区間で一気に独走へと持ち込んだ。背後につけていたプック・ピーテルセ(オランダ)やラウラ・スティガー(オーストリア)はその背中を見送ることしかできなかった。
絞りに絞った身体から繰り出される、軽やかかつ圧倒的なスピードで登坂をこなすフェランプレヴォに対抗できる選手は誰もいなかった。MTB世界女王の集中しきった表情は登坂を、周回をこなしても一切変わらない。全7周回中の3周回目を終わる頃、ついに2位ピーテルセとの差は1分にまで到達した。
独走体制を築き上げたフェランプレヴォの背後では銀メダルを争う戦いが加熱した。中盤までピーテルセとルコントがそれぞれ単独追走していたが、背後から今季W杯1勝を挙げて好調を維持しているアレッサンドラ・ケラー(スイス)やリオ五輪覇者のジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン)、今季W杯で好調ぶりを見せつけていたヘイリー・バッテン(アメリカ)、ラウラ・スティガー(オーストリア)、イヴィ・リチャーズ(イギリス)という5名が猛追してくる。
5名の中からまずリチャーズが、続いてケラーがドロップし、さらに4周目にはバッテンがパンクで脱落してしまう。ライバルを振り落としたリスヴェッズとスティッガーはやがて苦しい表情を見せていた3番手ルコントを捉え、そのルコントはロックガーデンの下りで激しく落車してリタイアに。フランスのダブルメダルの夢はこうして潰えた。
パンクから復活したバッテンが、リスヴェッズとスティッガーに追いついたのはレース時間が1時間に達しようかというタイミング。暫く単独2番手を走っていたピーテルセは勢いづく3番手グループに対して徐々にリードを失い、さらに後輪パンクで3位グループに追いつかれてしまう。すぐにピットインしてロスを最小限に留めたものの、ホイール交換作業中に生まれた40秒差は、縮まれどゼロになることはなかった。
銀メダル争いまで駒を進めたグループの中で、勝負に出たのはバッテンだった。登坂区間でのペースアップでグループを絞り込み、唯一追従したリスヴェッズと2位グループを形成する。しかし最速ラップを刻みながらフェランプレヴォとの差は広がり続け、最終的にその差は2分57秒にまで達することになった。
今季出場した全レースで優勝(ショートトラックを除く)という圧倒的な実績をもって、母国フランス開催のパリオリンピックに臨んだフェランプレヴォが勝利した。序盤にリードを得てから一切後ろを振り返らない、自信に満ち溢れた走り。自身4度目のオリンピックで掴んだ金メダルだった。
最終周回の急勾配区間でアタックしたバッテンが僅かなリードを維持して2位銀メダル獲得。バッテンに敗れながらもリスヴェッズが3位銅メダルとなり、2016年リオでの金メダルに続く2度目のメダル獲得に成功している。
パンクに見舞われたピーテルセは追い上げたものの、リスヴェッズには21秒届かず4位。東京五輪で表彰台を独占したスイス勢はケラーを7位に送り込むのが精一杯だった。
本日日本時間21:10には男子レースが行われる。ヴィクトール・コレツキー擁するフランス勢やニノ・シューターらスイスが、絶対的優勝候補であるトーマス・ピドコックにどう対抗するから焦点となる。
パリ近郊で最も高い場所にある、標高231メートルのエランクールの丘に設けられたパリ2024MTB特設コース。1975年までがれきの埋立地だった人口丘陵地であり、1980年代の再生計画によって広大な自然を有する市民公園に生まれ変わった場所。南アフリカのコースデザイナーが監修したコースは砂利が敷き詰められたハイスピードレイアウトで、下り区間には大きなドロップオフやロックセクションが含まれる。前日試走時には雨がコースを濡らしたものの、女子レースがスタートする頃には完全ドライという良コンディションでレースが繰り広げられた。
初の五輪出場となった川口うらら(TEAM TATSUNO)を含む、28カ国36名が14時10分(日本時間21時10分)にスタート。序盤から絶対的優勝候補であるフランスのポリーヌ・フェランプレヴォとロアナ・ルコントが前方に位置してペースを引っ張り、一切緩みの無いハイペースでレースを組み立てる。最後尾からのスタートとなった川口は序盤からの高速テンポによって苦しい戦いを強いられ、結果的に完走ならず−3lap/32位という結果でレースを終えている。
大方の予想通り、真っ先にアタックを仕掛けたのはポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス)だった。全7周回中の2周目という早めのタイミングで、母国ファンが詰めかけた最急勾配区間で一気に独走へと持ち込んだ。背後につけていたプック・ピーテルセ(オランダ)やラウラ・スティガー(オーストリア)はその背中を見送ることしかできなかった。
絞りに絞った身体から繰り出される、軽やかかつ圧倒的なスピードで登坂をこなすフェランプレヴォに対抗できる選手は誰もいなかった。MTB世界女王の集中しきった表情は登坂を、周回をこなしても一切変わらない。全7周回中の3周回目を終わる頃、ついに2位ピーテルセとの差は1分にまで到達した。
独走体制を築き上げたフェランプレヴォの背後では銀メダルを争う戦いが加熱した。中盤までピーテルセとルコントがそれぞれ単独追走していたが、背後から今季W杯1勝を挙げて好調を維持しているアレッサンドラ・ケラー(スイス)やリオ五輪覇者のジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン)、今季W杯で好調ぶりを見せつけていたヘイリー・バッテン(アメリカ)、ラウラ・スティガー(オーストリア)、イヴィ・リチャーズ(イギリス)という5名が猛追してくる。
5名の中からまずリチャーズが、続いてケラーがドロップし、さらに4周目にはバッテンがパンクで脱落してしまう。ライバルを振り落としたリスヴェッズとスティッガーはやがて苦しい表情を見せていた3番手ルコントを捉え、そのルコントはロックガーデンの下りで激しく落車してリタイアに。フランスのダブルメダルの夢はこうして潰えた。
パンクから復活したバッテンが、リスヴェッズとスティッガーに追いついたのはレース時間が1時間に達しようかというタイミング。暫く単独2番手を走っていたピーテルセは勢いづく3番手グループに対して徐々にリードを失い、さらに後輪パンクで3位グループに追いつかれてしまう。すぐにピットインしてロスを最小限に留めたものの、ホイール交換作業中に生まれた40秒差は、縮まれどゼロになることはなかった。
銀メダル争いまで駒を進めたグループの中で、勝負に出たのはバッテンだった。登坂区間でのペースアップでグループを絞り込み、唯一追従したリスヴェッズと2位グループを形成する。しかし最速ラップを刻みながらフェランプレヴォとの差は広がり続け、最終的にその差は2分57秒にまで達することになった。
今季出場した全レースで優勝(ショートトラックを除く)という圧倒的な実績をもって、母国フランス開催のパリオリンピックに臨んだフェランプレヴォが勝利した。序盤にリードを得てから一切後ろを振り返らない、自信に満ち溢れた走り。自身4度目のオリンピックで掴んだ金メダルだった。
最終周回の急勾配区間でアタックしたバッテンが僅かなリードを維持して2位銀メダル獲得。バッテンに敗れながらもリスヴェッズが3位銅メダルとなり、2016年リオでの金メダルに続く2度目のメダル獲得に成功している。
パンクに見舞われたピーテルセは追い上げたものの、リスヴェッズには21秒届かず4位。東京五輪で表彰台を独占したスイス勢はケラーを7位に送り込むのが精一杯だった。
本日日本時間21:10には男子レースが行われる。ヴィクトール・コレツキー擁するフランス勢やニノ・シューターらスイスが、絶対的優勝候補であるトーマス・ピドコックにどう対抗するから焦点となる。
パリ2024オリンピック 女子MTB結果
1位 | ポリーヌ・フェランプレヴォ(フランス) | 1:26:02 |
2位 | ヘイリー・バッテン(アメリカ) | +2:57 |
3位 | ジェニー・リスヴェッズ(スウェーデン) | +3:02 |
4位 | プック・ピーテルセ(オランダ) | +3:23 |
5位 | イヴィ・リチャーズ(イギリス) | +3:27 |
6位 | ラウラ・スティガー(オーストリア) | +4:13 |
7位 | アレッサンドラ・ケラー(スイス) | +4:41 |
8位 | サマラ・マクスウェル(ニュージーランド) | |
9位 | アン・テルプストラ(オランダ) | +5:33 |
10位 | カータ・ヴァス(ハンガリー) | +5:40 |
32位 | 川口うらら(TEAM TATSUNO) | -3Laps |
text:So Isobe
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