「選手人生でハイライトとなる勝利」とは、逃げ切りからツール初勝利を飾ったヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)の言葉。スプリントで敗れた2名や、翌日から始まるアルプス2連戦について話すポガチャルなど、ツール第18ステージを終えた選手たちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)

ツール初勝利を飾ったヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:CorVos

真のプロ選手であればツールを走り、完走しなければならない。ここで勝つのは全選手が抱く夢。僕はもうネオプロ(プロ1年目)の選手ではないが、ずっとツールでの勝利を夢見てきた。春のクラシックシーズンの後、チームと口頭での契約延長を合意したものの、長期間に渡り無視され続けた。その期間はとても辛いものだった。

9週間に及ぶ長期の高地合宿では、妊娠していたガールフレンドが僕を毎日支えてくれた。トレーニング計画をこなすことは困難だったものの、(子どもが生まれ)父親になった時に心が青空のように晴れたんだ。それから選手として明るい未来が待っていると思えた。

表彰台で目に涙を浮かべたヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー) photo:Lotto Dstny

チームメイトの勝利を祝福するロット・デスティニーの選手たち photo:A.S.O.

そのおかげで前向きな気持ちでツールに臨み、モチベーションの高いチームと共に勝利を目指した。またチームの雰囲気も良く、この勝利はそれらが一つになった結果だ。今夜は皆で祝いたい。僕はこのチームを離れるが、僕の選手人生におけるハイライトをこのチームで掴むことができて本当に嬉しいよ。

レースを通してスマートな走りができ、チームが僕に自信を与えてくれた。昨年の12月からこのステージに狙いを絞っており、ここしか僕が勝てるチャンスはないだろうと思っていた。僕には一発の弾しかなく、疲れている演技で牽引を拒否する汚い手も使った。そして最後のアタックからラスト1kmまで(3名で)協力して走った。ツールがあと3日も残っているのが信じられないが、早く帰ってガールフレンドと息子に会いたいよ。

ステージ2位 マッテオ・ヴェルシェ(フランス、トタルエネルジー)
3位


勝てなくてチームに申し訳ない気持ちだ。負けを受け入れるのは辛い。だがこれは素晴らしい結果でもある。あと2、3時間すれば、または明日になれば喜びが湧き上がってくるだろう。でも2位は悔しいよ。

フラムルージュ(残り1km)を過ぎてからは駆け引きが始まり、差ができたから踏み込んだ。でもアタックしたかったわけではなく、チャンスがあったので掴みにいっただけだ。

ステージ3位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)

ヴェルシェとクフィアトコフスキ、カンペナールツの3名が先頭に立つ photo:CorVos

まずはこのチャンスを与えてくれたチームに感謝したい。今日のステージは狙っており、ラスト250〜200mで勝利を逃した。残念だがこれが自転車競技の残酷なところ。受け入れ難い結果だが、今日と昨日のレースで僕らが見せた走りを誇りに思う。

今大会はスプリントステージか総合勢による争いかと、レースが2極化している。そのためステージ優勝できるチャンスが少なく、昨日はローレンス(デプルス)が、そして今日は僕が逃げに乗り、両日共にG(トーマス)がサポートしてくれた。明日からは難しいステージが2日続くが、諦めることなく戦い続けたい。

彼(カンペナールツ)に直接祝福を伝える機会がなかったが、とてもスマートで素晴らしい走りだった。ステージを通して自分が一番スマートだと思っていたが、彼が上回った。彼がいなければラスト30kmからリードを保つことはできなかっただろう。

ステージ6位 バルト・レメン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)

調子はとても良かったのだが、最後の1時間はとても苦しんだ。だから自分を鼓舞し続けた。逃げ集団が形成されるまで、ワウト(ファンアールト)のために全てのアタックに反応した。その後有利な位置にいることが分かったのだが、先頭の3名に加わることができなかった。でもレースを楽しむことができたよ。

ステージ9位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

序盤から積極的な走りを見せたワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

クフィアトコフスキのアタックに反応できなかった。また「カンペナールツの加速についていかない」という賭けに負けた。その後は長い追走を強いられ、逃げ続けた先頭の3名には脱帽だよ。バルト(レメン)もまた強い走りを見せ、ツールでトップ10に入る立派な成績を残した。

マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

翌日から始まるアルプスでの山岳決戦に臨むタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今日はステージを通してアップダウンが続くタフなステージだった。でも僕らは展開を掌握することができ、良い日になったよ。今大会のクイーンステージ(最難関ステージ)がどれだかはっきりしていないが、おそらく明日ということになるのだろうね。ボネット峠はとても好きな登りで、イゾラ2000はツール直前に練習していた場所。だから明日のステージが楽しみだよ。

―コースを知っていることはアドバンテージになるか?

僕のアドバンテージはあくまでも3分11秒のタイム差だけということにしておこう(笑)。明日は最初ディフェンシブに走り、脚の調子次第で攻めるかどうか考えたい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:A.S.O.

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