自身4度目の出場で念願のツール初勝利を掴んだリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)。惜しくも敗れたサイモン・イェーツや攻勢に出たポガチャル、エヴェネプールたちのコメントを紹介します。



ステージ優勝 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)

ツール初勝利を掴んだリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:A.S.O.

この勝利が意味するものは大きい。ツールが開幕して以来勝利を目指していた。総合順位では遅れてしまったが、ステージ優勝への望みは持ち続けていた。今日はアタックの多いとても難しい展開となり、大きな追走集団が形成された。そこから適切なタイミングで抜け出し、一生忘れることのない勝利を掴んだ。訪れたチャンスを活かし、終盤のレイアウトは監督と予習していた。

ツール・ド・フランスは各チームが最高の選手を揃える大会だ。僕はジロ・デ・イタリアとブエルタ・ア・エスパーニャでステージ優勝していたが、ツールだけはまだだった。僕を応援してくれる全ての人たちに勝利を見せることができて嬉しいし、またアメリカ大陸を代表することができて誇りに思う。

3大ツールの全てで区間優勝を挙げたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:A.S.O.

勝利まではとても厳しかった。正直、クレイジーと言えるステージだった。序盤に横風分断で集団から遅れたものの、追いついて追走集団に入った。最初2つの登りで脚を溜め、周りから厳しいマークを受けることは分かっていた。だが一つ目の山岳の下りで集団は分裂し、次の登りの麓から飛び出したイエーツに追いついた。

(1級山岳の)ラスト2kmの勾配が厳しいことを知っていたので、タイミングを伺い大きなリードを作った。ここで勝つ作戦を立てていた。その通りになったので本当に嬉しいよ。

ステージ2位 サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)

区間2位だったサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

(昨年の第1、17ステージに続く)またの2位。ベストは尽くしたが、最後脚の力が尽きてしまった。素晴らしい走りを見せたリチャルを祝福したい。

(最後から2つ目の1級山岳の)麓でロマン・バルデの背後につき、彼がアタックしようとしたかは不明だが、差ができたので全力で踏み込んだ。1人で追いかける方が良かったので、リチャルとスティーブン・ウィリアムズとの距離は保った。だがその悪影響が最後に出たのかもしれない。

次の山岳ステージで総合勢がどう動くかはわならないが、チャンスがあればまたトライしたい。

総合3位&マイヨブラン レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

アタックしたポガチャルに食らいつくレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

一日を通して調子がよく、試走していたから終盤のレイアウトは熟知していた。タデイ(ポガチャル)による強烈なアタックがあり、反応が遅れてしまった。だが下りで追いつき、またラポルトとヨナス(ヴィンゲゴー)が追いついてきた。前方には僕を待っていてくれるチームメイトがいたので仕掛けたんだ。トップとの差を縮め、総合4位とタイム差を拡げるためにね。だから無事、任務完了だ。

マイヨジョーヌ&マイヨアポワ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

2度のアタックでヴィンゲゴーから2秒を奪ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今日はまるで120kmのジュニアレースのように序盤から速いペースで展開した。最後の山岳では脚のストレッチができた、良い日となった。今日アタックした理由は自分でも分からない。でもヨナスを相手に2秒稼ぐことができたので嬉しいよ。

レムコ(エヴェネプール)は良いアタックを見せたが、今日はヴィスマのチームワークが印象的だった。ヨナスにチームメイトがいなければ、レムコと僕はもっと彼にプレッシャーをかけられただろう。本当に良い走りだった。

総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

ポガチャルに遅れをとったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

今日はチームメイトに感謝しなければならない。クリストフ(ラポルト)やワウト(ファンアールト)、ティシュ(ベノート)は最終山岳で重要な役割を果たしてくれた。僕の状態は依然として上向き。今日は最高とならなかったがこういう時もあるさ。もし今日がバッドデイならば満足な結果だ。

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

序盤から積極的に逃げを目指したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

今日は僕やティシュでステージ優勝を狙いにいった。だが逃げに乗りたがる選手が多すぎて、プロトンを制御することができなかった。大きな追走集団には僕とクリストフが入り、良いクライマーがいたので勝利は難しいのだと思ったよ。

ポガチャルのアタックは見ていないが、彼はアグレッシブな選手なのでその可能性は考慮していた。だから僕ら3人がレース前方にいたことは、ヨナスのために良かったのだろう。明日は勝利が狙えるステージだと思っている。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos