2024/07/10(水) - 17:00
すでに30mm幅のタイヤが市民権を得ている現在のプロトン。チューブレスタイヤ全盛期とも言える今、ツール・ド・フランスではどのようなタイヤが使用されているのか、現地からフォトグラファーの辻啓がお伝えする。
年々拡大する一方のタイヤ幅。ほんの10年前まで23mm時代だったが、今やプロトン内の平均は28mmまで拡大。さらにリム幅が広いため実測では平均30mmに迫っている。
長年デフォルトだったチューブラータイヤはすっかり淘汰され、現在ではコフィディスが28mmのチューブラータイヤを使用するのみ。スーダル・クイックステップはラテックスチューブを使用したクリンチャータイヤを使用するが、他のチームは全てチューブレスタイヤに落ち着いている。
メーカーの内訳は、コンチネンタル9チーム、ヴィットリア8チーム、スペシャライズド2チームで、ピレリとシュワルベ、ミシュランが1チームずつ。これは2023年から変更はない。
2024年大会の会場で発見した新製品としては、大会3連覇がかかったヴィスマ・リースアバイクが使用するヴィットリアのCORSA PRO 29c。ヴィットリアの本国サイトには24c、26c、28c、30c、32cという偶数表記のラインナップしかないが、29cという奇数表記のチューブレスタイヤを投入している。なお、サーヴェロを取り扱う東商会のホームページを見ると、S5の完成車スペックに「Vittoria Corsa Pro TLR blk-blk G2.0 OEM 700x29c」という表記があるので今後販売されると思われる。
さらにデカトロン・AG2Rラモンディアルの何人かの選手はコンチネンタルのAERO111という28mmのフロント専用タイヤを使用している。グランプリTRシリーズの派生モデルで、48ヶ所設けられた窪みがヴォルテックス効果を生み出すという。
大会1回目の休息日を迎えた時点でマイヨジョーヌを着用するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は30mmのコンチネンタルGRAND PRIX 5000S TRを使用する。なお、2023年は28mmの同GRAND PRIX 5000TT TRを多用していた。ステージの特性によって使い分けていると思われるが、実測32mmを超える(リムブレーキ時代には考えもつかない)太いタイヤを使っている。
未舗装区間が設定された第9ステージでは、大方の予想通りどのチームも通常よりも太いタイヤを投入。32mmのチューブレスタイヤを6チームが使用し、大多数が30mmという時代に。ヴィットリア使用チームの多くは、CORSA PROやタイムトライアル用のCORSA PRO SPEEDからCORSA PRO CONTROLに変更していた。
タイヤ幅の拡大に伴い適正空気圧は低下。前述の通り30mmのコンチネンタルGRAND PRIX 5000S TRか同TT TRを使用するUAEチームエミレーツは、スタート前に最終チェックを行うメカニックのエアゲージを見る限り概ね4.0-4.4BAR。
29mmのヴィットリアのCORSA PROを使用するヴィスマ・リースアバイクは4.6-5.2BARで、各選手の空気圧設定を前後の違いを含めて電動空気入れの手元に張り出していた(写真参照)。それによるとヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)はフロント4.6、リア4.8BARだ。
今後、ピレネーやアルプスの本格山岳ステージでは軽量性を重視したセッティングも登場すると思われるが、第4ステージの超級山岳ガリビエ峠を制したポガチャルは通常通りの30mmで、そのグリップ感を活かして下りでさらにリードを広げたとも言えるので、山岳=細タイヤとは言い難い。太タイヤは登りだけでなく下りでも勝負が決まる近代ロードレースの潮流にも沿っていると言える。
年々拡大する一方のタイヤ幅。ほんの10年前まで23mm時代だったが、今やプロトン内の平均は28mmまで拡大。さらにリム幅が広いため実測では平均30mmに迫っている。
長年デフォルトだったチューブラータイヤはすっかり淘汰され、現在ではコフィディスが28mmのチューブラータイヤを使用するのみ。スーダル・クイックステップはラテックスチューブを使用したクリンチャータイヤを使用するが、他のチームは全てチューブレスタイヤに落ち着いている。
メーカーの内訳は、コンチネンタル9チーム、ヴィットリア8チーム、スペシャライズド2チームで、ピレリとシュワルベ、ミシュランが1チームずつ。これは2023年から変更はない。
2024年大会の会場で発見した新製品としては、大会3連覇がかかったヴィスマ・リースアバイクが使用するヴィットリアのCORSA PRO 29c。ヴィットリアの本国サイトには24c、26c、28c、30c、32cという偶数表記のラインナップしかないが、29cという奇数表記のチューブレスタイヤを投入している。なお、サーヴェロを取り扱う東商会のホームページを見ると、S5の完成車スペックに「Vittoria Corsa Pro TLR blk-blk G2.0 OEM 700x29c」という表記があるので今後販売されると思われる。
さらにデカトロン・AG2Rラモンディアルの何人かの選手はコンチネンタルのAERO111という28mmのフロント専用タイヤを使用している。グランプリTRシリーズの派生モデルで、48ヶ所設けられた窪みがヴォルテックス効果を生み出すという。
大会1回目の休息日を迎えた時点でマイヨジョーヌを着用するタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は30mmのコンチネンタルGRAND PRIX 5000S TRを使用する。なお、2023年は28mmの同GRAND PRIX 5000TT TRを多用していた。ステージの特性によって使い分けていると思われるが、実測32mmを超える(リムブレーキ時代には考えもつかない)太いタイヤを使っている。
未舗装区間が設定された第9ステージでは、大方の予想通りどのチームも通常よりも太いタイヤを投入。32mmのチューブレスタイヤを6チームが使用し、大多数が30mmという時代に。ヴィットリア使用チームの多くは、CORSA PROやタイムトライアル用のCORSA PRO SPEEDからCORSA PRO CONTROLに変更していた。
タイヤ幅の拡大に伴い適正空気圧は低下。前述の通り30mmのコンチネンタルGRAND PRIX 5000S TRか同TT TRを使用するUAEチームエミレーツは、スタート前に最終チェックを行うメカニックのエアゲージを見る限り概ね4.0-4.4BAR。
29mmのヴィットリアのCORSA PROを使用するヴィスマ・リースアバイクは4.6-5.2BARで、各選手の空気圧設定を前後の違いを含めて電動空気入れの手元に張り出していた(写真参照)。それによるとヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)はフロント4.6、リア4.8BARだ。
今後、ピレネーやアルプスの本格山岳ステージでは軽量性を重視したセッティングも登場すると思われるが、第4ステージの超級山岳ガリビエ峠を制したポガチャルは通常通りの30mmで、そのグリップ感を活かして下りでさらにリードを広げたとも言えるので、山岳=細タイヤとは言い難い。太タイヤは登りだけでなく下りでも勝負が決まる近代ロードレースの潮流にも沿っていると言える。
通常ステージの各チームタイヤ幅
26mm | 28mm | 29mm | 30mm |
---|---|---|---|
DSMフィルメニッヒ・ポストNL | バーレーン・ヴィクトリアス | ヴィスマ・リースアバイク | UAEチームエミレーツ |
レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | アスタナカザクスタン | モビスター | |
スーダル・クイックステップ | コフィディス | ロット・デスティニー | |
EFエデュケーション・イージーポスト | ジェイコ・アルウラー | ||
デカトロン・AG2Rラモンディアル | |||
グルパマ・FDJ | |||
リドル・トレック | |||
アンテルマルシェ・ワンティ | |||
アルペシン・ドゥクーニンク | |||
イネオス・グレナディアーズ | |||
アルケア・B&Bホテルズ | |||
ウノエックスモビリティ | |||
イスラエル・プレミアテック | |||
トタルエネルジー |
第9(グラベル)ステージの各チームタイヤ幅
28mm | 30mm | 32mm |
---|---|---|
グルパマ・FDJ | UAEチームエミレーツ | dsmフィルメニッヒ・ポストNL |
アンテルマルシェ・ワンティ | ヴィスマ・リースアバイク | アルペシン・ドゥクーニンク |
スーダル・クイックステップ | イネオス・グレナディアーズ | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ |
コフィディス | モビスター | リドル・トレック |
バーレーン・ヴィクトリアス | イスラエル・プレミアテック | |
アスタナカザクスタン | トタルエネルジー | |
EFエデュケーション・イージーポスト | ||
デカトロン・AG2Rラモンディアル | ||
ジェイコ・アルウラー | ||
アルケア・B&Bホテルズ | ||
ウノエックスモビリティ | ||
ロット・デスティニー |
text&photo:Kei Tsuji
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