2024/07/06(土) - 08:21
登りを含む25.3kmの個人タイムトライアルで争われたツール・ド・フランス第7ステージ。TT世界王者のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が下馬評通りの走りでツール初勝利を飾り、区間2位(12秒遅れ)のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がマイヨジョーヌを守った。
7月5日(金)第7ステージ
ニュイ・サン・ジョルジュ〜ジュヴレ・シャンベルタン 25.3km(個人タイムトライアル)
マイヨジョーヌを争う選手たちにとって今大会2度目の勝負がやってきた。ツール・ド・フランス第7ステージは25.3kmの個人タイムトライアルで争われ、平坦基調のコース中央にはキュルテル・ヴェルジの丘(距離1.6km/平均6.1%)が登場。そのため登坂力はもちろん、コーナーのある下りでTTバイクを操る技術を求められた。
2日前にツール通算区間優勝の更新を果たしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)から1分間隔で選手たちがコースに飛び出していき、12番目のレニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)がトップタイムをマークする。2022年の第1ステージでTT勝利を挙げマイヨジョーヌを射止めたイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)は全力で踏むことはなく、シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)が30分6秒でマルティネスのタイムを更新した。
2022年のヨーロッパTT王者であるビッセガーのタイムはしばらく破られなかったものの、総合上位陣の登場を前に第2ステージで逃げ切り勝利を飾ったケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケアB&Bホテルズ)が30分を切る29分44秒の好タイムでフィニッシュ。しかし元アワーレコード保持者のヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)がわずか0.76秒上回り、そのタイムにはチェーン落ちの不運に見舞われたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)や、いまだ状態が戻りきらないワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も届かなかった。
また135番目にスタートしたジュリアン・ベルナール(フランス、リドル・トレック)が登り区間で足を止め、家族や友人から大歓声に応えながら妻にキスするシーンも。だがこれがUCI(国際自転車競技連合)の定める「不適切な言動」にあたるとし、ベルナールに対し200スイスフランの罰金を課している。
ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)に7秒差まで迫られたカンペナールツがホットシートに座り続けるなか、いよいよ総合上位陣が登場した。
前日の時点で総合首位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)と2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)との差は45秒。3位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)は50秒、5位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は1分14秒差のなか、ビッグ4のうちまずログリッチがスタートを切った。
東京五輪のTT金メダリストであるログリッチは丘の直前(8.6km)に設定された第1計測地点でトップタイムを更新。丘の頂上の第2計測(14.4km)、下ってフィニッシュまで続く平坦路の入口の第3計測(19.9km)でもこれまでの記録を大幅に塗り替え、カンペナールツのタイムを18秒更新する29分26秒(平均速度51.355km/h)でフィニッシュした。
総合4位のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が区間15位(トップから1分18秒遅れ)とタイムをまとめ、昨年の登り基調の個人TTで異次元の強さを見せたヴィンゲゴーがスタートする。第1計測ではログリッチを10秒上回り、第2計測でも14秒と順調だったヴィンゲゴーは後半に失速。ログリッチから3秒遅れのタイムに甘んじ、4月の骨折からの調整不足を露呈した。
そして最後から2番目、現TT世界王者かつマイヨブラン(ヤングライダー賞)を着るエヴェネプールが走り出す。勢いの良いスタートを切ったエヴェネプールはスタート後2.6kmで一度踏み止め、チームカーにバイク交換を求めるため右手を上げる。「確実にパンクだと思ったが幸い何もなかった」とレース後振り返ったエヴェネプールは確かめるようにバイクを上下に振った後、再び力強く踏み始めた。
ログリッチやヴィンゲゴー、ポガチャルが60Tのフロントシングルを使用するなか、62Tを回したエヴェネプールは3つの中間計測地点の全てでトップタイムを更新。フィニッシュ地点でパートナーが見守る目の前で、平均速度を52km/hに乗せる28分52秒のトップタイムでフィニッシュした。
そして現地時間の午後5時、マイヨジョーヌを纏ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がスタートを切る。第1計測をエヴェネプールから2秒遅れで通過し、丘の頂上では10秒遅れとその差は拡大。得意の下りで攻めて6秒まで差を縮めたものの、平坦路で再び差を拡げられ、エヴェネプールのタイムから12秒遅い29分4秒でレースを終えた。
この結果、自身初となるツールでのステージ優勝を決め、3大ツール全てで勝利を飾ったエヴェネプール。「今日の調子は良くなく、登りでは苦しんだ。また限界の状態で駆けるダウンヒルにしてはテクニカルだった。だが楽しみながら走ることができ、勝利を掴んだことが信じられない。今日のステージはどうしても勝ちたく、その目標を達成できたので心から誇りに思う」と喜びを語った。
ポガチャルの総合首位は変わらず、2位エヴェネプールはその差を45秒から33秒まで縮小。3位ヴィンゲゴーは1分15秒、ログリッチは4位に順位を上げながらも1分36秒まで差が拡がった。
7月5日(金)第7ステージ
ニュイ・サン・ジョルジュ〜ジュヴレ・シャンベルタン 25.3km(個人タイムトライアル)
マイヨジョーヌを争う選手たちにとって今大会2度目の勝負がやってきた。ツール・ド・フランス第7ステージは25.3kmの個人タイムトライアルで争われ、平坦基調のコース中央にはキュルテル・ヴェルジの丘(距離1.6km/平均6.1%)が登場。そのため登坂力はもちろん、コーナーのある下りでTTバイクを操る技術を求められた。
2日前にツール通算区間優勝の更新を果たしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)から1分間隔で選手たちがコースに飛び出していき、12番目のレニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)がトップタイムをマークする。2022年の第1ステージでTT勝利を挙げマイヨジョーヌを射止めたイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)は全力で踏むことはなく、シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト)が30分6秒でマルティネスのタイムを更新した。
2022年のヨーロッパTT王者であるビッセガーのタイムはしばらく破られなかったものの、総合上位陣の登場を前に第2ステージで逃げ切り勝利を飾ったケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケアB&Bホテルズ)が30分を切る29分44秒の好タイムでフィニッシュ。しかし元アワーレコード保持者のヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)がわずか0.76秒上回り、そのタイムにはチェーン落ちの不運に見舞われたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)や、いまだ状態が戻りきらないワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)も届かなかった。
また135番目にスタートしたジュリアン・ベルナール(フランス、リドル・トレック)が登り区間で足を止め、家族や友人から大歓声に応えながら妻にキスするシーンも。だがこれがUCI(国際自転車競技連合)の定める「不適切な言動」にあたるとし、ベルナールに対し200スイスフランの罰金を課している。
ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)に7秒差まで迫られたカンペナールツがホットシートに座り続けるなか、いよいよ総合上位陣が登場した。
前日の時点で総合首位タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)と2位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)との差は45秒。3位のヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)は50秒、5位プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)は1分14秒差のなか、ビッグ4のうちまずログリッチがスタートを切った。
東京五輪のTT金メダリストであるログリッチは丘の直前(8.6km)に設定された第1計測地点でトップタイムを更新。丘の頂上の第2計測(14.4km)、下ってフィニッシュまで続く平坦路の入口の第3計測(19.9km)でもこれまでの記録を大幅に塗り替え、カンペナールツのタイムを18秒更新する29分26秒(平均速度51.355km/h)でフィニッシュした。
総合4位のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が区間15位(トップから1分18秒遅れ)とタイムをまとめ、昨年の登り基調の個人TTで異次元の強さを見せたヴィンゲゴーがスタートする。第1計測ではログリッチを10秒上回り、第2計測でも14秒と順調だったヴィンゲゴーは後半に失速。ログリッチから3秒遅れのタイムに甘んじ、4月の骨折からの調整不足を露呈した。
そして最後から2番目、現TT世界王者かつマイヨブラン(ヤングライダー賞)を着るエヴェネプールが走り出す。勢いの良いスタートを切ったエヴェネプールはスタート後2.6kmで一度踏み止め、チームカーにバイク交換を求めるため右手を上げる。「確実にパンクだと思ったが幸い何もなかった」とレース後振り返ったエヴェネプールは確かめるようにバイクを上下に振った後、再び力強く踏み始めた。
ログリッチやヴィンゲゴー、ポガチャルが60Tのフロントシングルを使用するなか、62Tを回したエヴェネプールは3つの中間計測地点の全てでトップタイムを更新。フィニッシュ地点でパートナーが見守る目の前で、平均速度を52km/hに乗せる28分52秒のトップタイムでフィニッシュした。
そして現地時間の午後5時、マイヨジョーヌを纏ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)がスタートを切る。第1計測をエヴェネプールから2秒遅れで通過し、丘の頂上では10秒遅れとその差は拡大。得意の下りで攻めて6秒まで差を縮めたものの、平坦路で再び差を拡げられ、エヴェネプールのタイムから12秒遅い29分4秒でレースを終えた。
この結果、自身初となるツールでのステージ優勝を決め、3大ツール全てで勝利を飾ったエヴェネプール。「今日の調子は良くなく、登りでは苦しんだ。また限界の状態で駆けるダウンヒルにしてはテクニカルだった。だが楽しみながら走ることができ、勝利を掴んだことが信じられない。今日のステージはどうしても勝ちたく、その目標を達成できたので心から誇りに思う」と喜びを語った。
ポガチャルの総合首位は変わらず、2位エヴェネプールはその差を45秒から33秒まで縮小。3位ヴィンゲゴーは1分15秒、ログリッチは4位に順位を上げながらも1分36秒まで差が拡がった。
ツール・ド・フランス2024第7ステージ
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 28:52 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:12 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +0:34 |
4位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:37 |
5位 | ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー) | +0:52 |
6位 | ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケアB&Bホテルズ) | |
7位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:54 |
8位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:57 |
9位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:59 |
10位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +1:00 |
15位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:18 |
17位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +1:27 |
24位 | ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:51 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 27:16:23 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:33 |
3位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:15 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +1:36 |
5位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:16 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:17 |
7位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +2:31 |
8位 | ミケル・ランダ(スペイン、スーダル・クイックステップ) | +3:35 |
9位 | マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +4:03 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +4:36 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) | 149pts |
2位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 11pts |
3位 | ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | 87pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | 26pts |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 20pts |
3位 | ヴァランタン・マドゥアス(フランス、グルパマFDJ) | 16pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 27:16:56 |
2位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +1:43 |
3位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +1:58 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 81:54:04 |
2位 | スーダル・クイックステップ | +6:04 |
3位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +7:41 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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