第87回ツール・ド・スイスが開幕し、初日の4.77km個人タイムトライアルでイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が勝利。ベルギーのTT巧者が、3週間後に控えるツール・ド・フランスに向け弾みをつけた。



ステージ36位:トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

ツール・ド・スイス2024 コースマップ image:Tour de Suisse
共にツール・ド・フランスの前哨戦であるクリテリウム・デュ・ドーフィネ最終ステージが行われた6月9日(日)、そのお隣の国スイスにてツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)が開幕した。1933年に初開催され、今年で87回目を迎えた本大会はドーフィネと同じく8日間のステージレース。そのため高地トレーニングの成果を確かめるべくツールを控える選手たちや、パリ五輪を目指す各国の代表選手たちが集結した。

文字通りスイスを1周するレースの特徴は、初日と最終日に個人タイムトライアルが設定されていること。また2、3日目は丘陵、4日目からは4日連続で山頂フィニッシュと厳しい山岳が続くにもかかわらず、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザクスタン)やブライアン・コカール(フランス、コフィディス)などのスプリンターたちが出場。

また総合優勝候補には、ツールでタデイ・ポガチャル(スロベニア)の山岳アシストを務めるアダム・イェーツ(イギリス)とジョアン・アルメイダ(ポルトガル)が揃い、イネオス・グレナディアーズからはトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が総合エースとして参戦した。

ステージ8位:シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) photo:CorVos

ステージ優勝:イヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

大会初日に行われたのは、スイスの隣国リヒテンシュタインの首都ファドゥーツを舞台にした4.77kmの個人TT。例年通り選手の顔見せの意味合いが強い平坦路のコースには168名の選手たちが臨み、7番手出走のアルメイダが5分12秒という好タイムをマークした。

このタイムには母国スイスのTTスペシャリスト、シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)も4秒届かないなか、全体の35番手にスタートを切ったイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が6秒更新する5分5秒でフィニッシュ。2022年ツール・ド・フランス第1ステージの個人TTで驚きの勝利を飾ったランパールトが、前哨戦で再びその強さを発揮した。

ステージ2位:シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:Tour de Suisse

そのすぐ後に走り出したイーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)と現スイスTT王者であるシュテファン・ビッセガー(EFエデュケーション・イージーポスト)もトップタイムには3秒届かず、ランパールトは長時間に渡りホットシートに座り続ける。そして最終出走者であるジャコポ・モスカ(イタリア、リドル・トレック)がフィニッシュした瞬間に、ランパールトの勝利が確定した。

「これは僕にとって大きな勝利。まさかスイスのTTスペシャリスト(ビッセガーやキュング)を破り、勝利できるとは思っていなかった。僕自身はもちろん、僕を信じてくれたチームにとって素晴らしい結果だ。スタートから良いテンポで踏み続け、それが最後まで持ってくれた。このイエロージャージを着用することができて光栄だよ」と、ツールに向け弾みをつけたランパールトはそう喜んだ。

ステージ優勝を果たし、リーダージャージに袖を通したイヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

総合優勝候補ではイェーツが15秒遅れの区間15位に入り、ピドコックは36位(16秒遅れ)。またリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)は78位(23秒遅れ)と得意ではないTTでのタイムロスを最小限に留めている。

翌日の第3ステージは低難易度のカテゴリー山岳が3つ登場する丘陵ステージ。フィニッシュ手前は平坦路だが、残り11km地点に頂上を迎える3級山岳(距離2.9km/平均6.3%)がスプリンターにとって正念場となる。

ツール・ド・スイス2024第1ステージ結果
1位 イヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 5:05
2位 シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:03
3位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)
4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:06
5位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ) +0:07
6位 サムエル・ワトソン(イギリス、グルパマFDJ) +0:08
7位 アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:09
8位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) +0:10
9位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
10位 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク)
個人総合成績
1位 イヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 5:05
2位 シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:03
3位 イーサン・ヘイター(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) +0:04
4位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:07
5位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)
6位 サムエル・ワトソン(イギリス、グルパマFDJ) +0:09
7位 アルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) +0:09
8位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) +0:11
9位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー)
10位 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、アルペシン・ドゥクーニンク)
その他の特別賞
ポイント賞 イヴ・ランパールト(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
ヤングライダー賞 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、UAEチームエミレーツ)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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