ツアー・オブ・ジャパン第3ステージは、レース中盤に先行した集団が逃げ切ってのスプリント勝負となり、ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア)が優勝。リーダージャージとポイント賞ジャージを獲得した。新人賞は5位に入ったザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア)に移る一方、山岳賞は中井唯晶(シマノレーシング)が維持した。



山岳賞の中井唯晶(右)と、新人賞の寺田吉騎(共にシマノレーシング) photo:Satoru Kato
「えいたん」とは誰? photo:Satoru Kato


沖靖いなべ市市長と4賞ジャージ photo:Satoru Kato

ツアー・オブ・ジャパン3日目は、三重県いなべ市でのステージ。三岐鉄道北勢線の阿下喜駅前をスタートし、約3kmのパレードの後リアルスタート。1周14.8kmの周回コースを8周回していなべ市梅林公園にフィニッシュする127kmのレースだ。

アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチームは直前まで綿密にミーティング photo:Satoru Kato
地元の園児らが歓迎 ©️TOJ2024


キナンレーシングチームみえジュニアのメンバーがパレードを先導 photo:Satoru Kato

山岳賞が設定されたコース最高地点 ©️TOJ2024

田植えが終わった水田地帯を抜けていく集団 photo:Satoru Kato

周回コースはコントロールライン直後から始まる「イナベルグ」と名付けられた急坂が2級山岳に指定される頂上まで1kmほど続く。その後はなだらかに下り、コース後半は平坦な水田地帯と細かなアップダウンが続く。登りの厳しさもさることながら、この時季のいなべ梅林公園周辺は風が強くなることが多く、集団から遅れるとその影響をもろに受けることになる。この日も朝から晴れて暑くなる一方、強めの風が吹き続ける中でのレースとなった。

コントロールライン直後から始まる急坂の「イナベルグ」 photo:Satoru Kato

2周目の山岳賞に向けて集団前方に位置取る中井唯晶(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

リアルスタート直後、10名前後の集団が先行するも長続きせずメイン集団が吸収。その後も先行する集団がなかなか形成されない時間が続く。2周目に設定された1回目の山岳賞を中井唯晶(シマノレーシング)が先頭通過。この動きをきっかけに中井を含む数名が先行したものの、3周目に入ったところで後続の集団に吸収される。

4周目、7名の集団が先行する photo:Satoru Kato

5周目、メイン集団はアスタアナ・カザクスタン・ディベロップメントチームがコントロール photo:Satoru Kato

4周目、イナベルグの登りを経て7名が先行する。メンバーは、小石祐馬、ジョバンニ・カルボーニ(以上JCLチーム右京)、アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム)、カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス)、ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム)、ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン)、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)。

小石祐馬(JCLチーム右京)が先頭集団を牽引して最終周回へ photo:Satoru Kato

最終周回直前、メイン集団で1人になってしまったマックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム) photo:Satoru Kato

草場が5周目に入るまでに遅れて6名になるも、後続集団との差は1分以上まで開く。リーダージャージを着るマックス・ウォーカー擁するアスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチームが集団を牽引するが、他チームの協力が無いこともあって差が縮まらない。終盤にはアシストが遅れてウォーカー1人になり、追走の足並みも揃わずタイム差は縮まらず。勝負は先行する6名に絞られた。

ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)がいなべステージ優勝 photo:Satoru Kato

脚がつりながらもメイン集団に追いつかれずにフィニッシュしたザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン) photo:Satoru Kato
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)を先頭に1分30秒遅れてメイン集団がフィニッシュ photo:Satoru Kato


最終周回の登りで小石が遅れて5名となった先頭集団は、協調が解けてアタックが繰り返される。しかし誰も決定打を出せないまま残り500mへ。最後はフィニッシュに向かう登りスプリントとなり、抜け出してきたカルボーニが先着してステージ優勝。リーダージャージのウォーカーは1分30秒遅れの集団でフィニッシュしたため、カルボーニが個人総合首位となった。

最終周回終盤に先頭集団から遅れたものの、メイン集団の前でフィニッシュしたマリッジが新人賞ジャージを獲得。2回目の山岳賞は取れなかったものの、中井がリードを守って維持した。

個人総合首位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato

ポイント賞 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京) photo:Satoru Kato
第3ステージ優勝 ジョバンニ・カルボーニ コメント
「今朝のミーティングで、このステージで良い結果を出して総合首位を取ることを決めてレースに臨んだ。日本人のチームメイトがこのコースがハードな事を熟知していたので、それを参考に走った。3周目に良い動きが出来たので、(小石)祐馬と共に集団を飛び出した。祐馬がリードしてくれたおかげで勝てたと思うし、今日のような展開にはならなかったと思う。最後は200mくらい前から飛び出してスプリントした。

明日は今日に比べるとハードではなさそうだし、スプリンターのステージなのでチームメイトのマッテオ・マルチェッリの勝利が期待できると思う」

新人賞 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン) photo:Satoru Kato

新人賞 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン)
「正直疲れたけれど、日本で新人賞ジャージを着ることが出来て嬉しい。コースの全てがタフで、最後は脚がつってしまったけれど、全体としてとても良いステージになった。明日は今日の疲れがどの程度残っているかによるけれど、チームとして戦っていきたい。富士山ステージは自分の力が試されるだろうと考えている」
ツアー・オブ・ジャパン 第3ステージ・いなべ 結果(127.0km)
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 3時間10分52秒
2位 アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム、ウクライナ) +0秒
3位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア) +3秒
4位 カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア) +4秒
5位 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア) +23秒
6位 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) +1分33秒
7位 ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)
8位 クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム、エリトリア)
9位 寺田吉騎(シマノレーシング)
10位 ルーク・バーンズ(チームブリッジレーン、オーストラリア)
個人総合成績 第3ステージ終了時
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 5時間55分10秒
2位 アナトリー・ブディアク(トレンガヌ・サイクリングチーム、ウクライナ) +14秒
3位 カーター・ベトルス(ルージャイ・インシュランス、オーストラリア) +17秒
4位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア) +18秒
5位 ザッカリー・マリッジ(チームブリッジレーン、オーストラリア) +40秒
6位 マックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、イギリス) +1分30秒
ポイント賞 第3ステージ終了時
1位 ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア) 42p
2位 マッテオ・マルチェッリ(JCLチーム右京、イタリア) 33p
3位 マックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム、イギリス) 30p
山岳賞 第3ステージ終了時
1位 中井唯晶(シマノレーシング) 15p
2位 ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム、オーストラリア) 6p
3位 ドリュー・モレ(キナンレーシングチーム、オーストラリア) 5p
チーム総合成績 第3ステージ終了時
1位 JCLチーム右京 9時間35分42秒
2位 キナンレーシングチーム +3秒
3位 ルージャイ・インシュランス +12秒

text:Satoru Kato
photo:Satoru Kato, TOJ2024

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