急勾配の登坂スプリントで争われたラ・ブエルタ・フェメニーナ7日目は、マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が勝利。区間4位のデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)がマイヨロホのキープに成功し、2つの1級山岳が設定された最終日に臨む。



大会7日目に臨むマイヨロホを着たデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:Unipublic

2024年女子ロードレース一つ目のグランツールであるラ・ブエルタ・フェメニーナ(UCIワールドツアー)も残すところあと2日。第7ステージはサン・エステバン・デ・ゴルマスから南東のシグエンサに向かう138.6kmで争われた。

その道中にカテゴリー山岳はないものの、ステージの総獲得標高差が1,000mに達する背の低い丘がいくつか登場。またフィニッシュ手前500mからは勾配約10%の登りが設定されるステージに、ビブショーツまで赤いデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)を先頭に122名の選手たちが走り出した。

この日は序盤に7名の逃げグループが形成された photo:Unipublic

逃げ集団から飛び出し、一時単独先頭に立ったアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ローランド) photo:Unipublic

序盤から逃げグループを形成したのは、東京五輪の金メダリストであるアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ローランド)を含む7名。だがレース距離が半分を消化した頃に逃げは引き戻され、キーセンホーファーが一人抗う。それを追うメイン集団からは23歳のブラジル王者アナ・ヴィトーリア・マガリャンイス(ビーピンク・ボンジョアンニ)が飛び出し、そこに遅れてジョージ・ハウ(オーストラリア、リブ・アルウラー・ジェイコ)ら5名がジョインした。

そのため先頭のキーセンホーファーを20秒差で追う第1追走集団、そして1分差でプロトンという形でレースは進行する。更に追走にはシルヴィア・ザナルディ(ヒューマンパワードヘルス)らイタリア人2名も加わり、キーセンホーファーを捉えた逃げは9名に。そしてメイン集団は緑色のマイヨプントス(ポイント賞)を着るマリアンヌ・フォス(オランダ)のために、ヴィスマ・リースアバイクが先導を始めた。

プロトンの中で距離を消化するマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Unipublic

横風分断により、19名の先頭集団が出来上がった photo:CorVos

残り40kmを過ぎると逃げは7名まで絞られ、プロトンは40秒差まで迫る。そして進行方向が南西から南東に変わると、強い南風が集団を直撃。SDワークス・プロタイムが第4ステージと同様のスピードアップを敢行したため、先頭は19名に絞られた。

総合上位勢に加え、フォスが残った精鋭集団からは総合9位(3分25秒遅れ)ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク)が遅れを取る。またマライレ・メイエリング(オランダ)しか先頭に入ることができなかったモビスターが必死に追走集団を先導。しかし、最後まで先頭に追いつくことはできなかった。

そしてフォレリングがチームメイトと頻りに言葉を交わすなか、残り10km、23歳の若きヨーロッパ王者ミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)のアタックから、SDワークスによる波状攻撃が始まった。

終盤に向けチームメイトとコミュニケーションを取るデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

ブレーデウォルツの攻撃は決まらず、今度はスイス王者マーレン・ロイサー(SDワークス・プロタイム)が飛び出す。これをアリソン・ジャクソン(カナダ、EFエデュケーション・キャノンデール)が潰した後、再びブレーデウォルツがアタック。その後アマンダ・スプラット(オーストラリア、リドル・トレック)の仕掛けや、ブレーデウォルやジャクソンら4名が先頭集団を形成するシーンもありながら、ひと塊に落ち着いた集団がシグエンサの市街地に突入した。

残り500mからの登りにジャクソンが先頭に入り、その背後からクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール)がペースを上げる。フォレリングが集団の中盤に番手を下げるなか、快調に登るエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)の背後からフォスが飛び出した。

残り125mから腰を上げたフォスに、ロンゴボルギーニやフォークナーは一気に離されていく。そして先頭に立ってから3度後方を確認する余裕を見せたフォスが、両手を拡げて区間2勝目を喜んだ。

登りスプリントを制したマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

ライバルたちの動きを見ながら、完璧なタイミングで圧巻の加速を披露したフォス。「チームメイトがあれほどの走りを見せてくれ、それを勝利に繋げたかった。先頭集団にいて、脚の調子が良ければ私に適したレイアウトだと分かっていた。タフな登りだったし、7日目でもあったため緊張感があった」と区間2勝目をマークし、マイヨプントスをほぼ手中に収めたフォスは喜んだ。

2位には健闘したフォークナーが入り、3位のロンゴボルギーニはボーナスタイム-4秒を獲得。そのためフィニッシュ直前で追い上げ区間4位に入ったフォレリングとの差を4秒縮めている。

今大会2勝目を喜ぶマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:Unipublic

ラ・ブエルタ・フェメニーナ2024第7ステージ
1位 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) 3:27:56
2位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) +0:02
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)
4位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)
5位 インヴィル・ゴーシャン(ノルウェー、リブ・アルウラー・ジェイコ)
6位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム)
7位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
8位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ)
9位 パウリーナ・ローイヤッカース(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +0:08
10位 エリーヌ・ヤンセン(オランダ、フォルカーヴェッセルス・ウィメンズプロサイクリングチーム) +0:10
個人総合成績
1位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) 20:47:59
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:52
3位 リーアンヌ・マルクス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +1:14
4位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +1:48
5位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) +2:16
6位 エヴィータ・ムジック(フランス、FDJスエズ) +2:42
7位 クリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール) +3:23
8位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) +3:24
9位 リカルダ・ボーンファイント(ドイツ、キャニオン・スラム) +3:27
10位 ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) +4:07
その他の特別賞
ポイント賞 マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
山岳賞 カーリーン・スウィンケルス(オランダ、UAEチームADQ)
ヤングライダー賞 アントニア・ニーダーマイヤー(ドイツ、キャニオン・スラム)
チーム総合成績 SDワークス・プロタイム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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