国内レースの最高峰に位置付けられるJプロツアーの東日本と西日本ロードクラシックに集った各チームのバイクを連載形式で紹介していく。第1弾はブリヂストンサイクリング、マトリックスパワータグ、サイクラーズ・スネル、ヴェロリアン松山の4チームを紹介します。



ブリヂストンサイクリング/アンカー RP9

兒島直樹(ブリヂストンサイクリング)のアンカー RP9 photo:So Isobe

東日本クラシックDay2で橋本英也が、続く西日本クラシックではDay1に兒島直樹、Day2に松田祥位が優勝を挙げるなど、今季のJプロツアーで連勝街道を突き進むブリヂストンサイクリング。これまで白黒赤の「レーシングカラー」とオールブラックのブリヂストン・RP9をレース投入してきたが、今年は限定カラーとして一般販売されたライトグレーのRP9を橋本、兒島、そして岡本勝哉という3選手に供給して目を惹いている。

写真のゼッケン25はトラック選手として、そしてロード選手としてマルチに活躍する兒島のマシン。ホイールやペダルまで含めてDURA-ACEのフルセットで揃え、ハンドルもシマノPROのVIVE CARBON(380mm)。ドロップ部分の左右に変速スイッチを仕込むのもスピードマンらしいセッティングと言える。

取材時のホイールはDURA-ACEのC36。主にC50と使い分ける photo:So Isobe
タイヤはブリヂストンのR1X。チューブレスとクリンチャーを使い分けるという photo:So Isobe


コンポーネントはDURA-ACEで統一 photo:So Isobe

宮崎監督曰く、多くのメンバーが体格に対して大きめのフレームを選び、かつ長めのステムを組み合わせているという。これはトラック競技で主流となっているエアロ重視のポジションセッティングであり、トラックを主戦場に据える選手が多いチームならではと言えるだろう。ちなみに児島のRP9専用ステムは、市販品には存在しない130mmだ。

組み合わせるタイヤはチームが開発に携わるブリヂストンのR1X。チューブレスをメインにクリンチャーも併用し、コースやコンディションによって選択する。クリンチャーユースの場合は軽量なTPUチューブを組み合わせるという。

ハンドル幅は380mm。レバーは若干内側に倒している photo:So Isobe

兒島のステムは130mm。市販品には存在しないサイズだ photo:So Isobe
サドルはプロロゴ。選手によってモデルが異なり、兒島はスクラッチを使用 photo:So Isobe



ほか、コンピュータはガーミンのEDGE 540、アランデルのカーボンボトルケージ、OGKのバーテープをアッセンブル。ドリンクサポートは今年から森永にスイッチしたという。



マトリックスパワータグ/カレラ SL AIR PRO

織田聖(マトリックスパワータグ)のカレラ SL AIR PRO photo:So Isobe

マトリックスパワータグはバイクを昨年まで使用したタイムから、同じくポディウムが日本総販売代理店を務めるカレラにスイッチ。最高級モデルのSL AIR PROを全選手が使用する。

写真はシクロクロス日本王者である織田聖のバイク。イリデセント+ミラーデカール(販売モデルでは特別カラー)のSL AIR PROに組み合わせるのはDURA-ACEで、ホイールはマヴィックのCOSMIC SLR 45 DISC。ジェイテクトが手がけ、ヴィスマ・リースアバイクへの供給でも話題となった「ONI BEARING(鬼ベアリング)」を使用していることが特徴で、チームは初期から開発協力に携わってきた。

ホイールはマヴィック。45mmハイトのCOSMIC SLR 45 DISCをセット photo:So Isobe

ホイールには話題のジェイテクト製鬼ベアリングをインストール photo:So Isobe
ボトルケージはスパカズで統一 photo:So Isobe


ハンドル周りはFSA。純正採用されているACRシステムを使う photo:So Isobe
ワフーのPOWERLINK ZERO photo:So Isobe



タイヤはハッチンソンのBLACKBIRD RACING LAB(28C)で、ハンドルやステムはSL AIR PROで純正採用されているFSAのACRシステム。パワー計測はワフーのPOWERLINK ZEROで行われているほか、SRMを使う選手も。



サイクラーズ・スネル/ブリヂストンRP9

湯浅博貴(サイクラーズ・スネル)のブリヂストンRP9 photo:So Isobe

積極的に自転車競技をサポートするリサイクル企業「サイクラーズ」の出資により立ち上がり、全メンバーが同社に勤める実業団チームとして今季から活動を開始したサイクラーズ・スネル。元ブリヂストンで走った三瀧光誠監督が率い、佐藤宇志・大志兄弟がキャプテンを務めている。

写真のゼッケン141は湯浅博貴のバイク。チームバイクはブリヂストンの最高級モデルであるRP9で統一し、組み合わせるホイールはマヴィックのオールラウンドホイールCOSMIC SLR 45 DISC。より軽量なCOSMIC SLR 32 DISCも用意されているが、厳しい登坂の一部コースを除いて45で通すという。

マヴィックのオールラウンドホイールCOSMIC SLR 45 DISCにグッドイヤーのEAGLE F1Rタイヤをセット photo:So Isobe

ULTEGRAにローターのクランクを組み合わせる photo:So Isobe
ブレーキはガルファー。波打つローター形状が目をひく photo:So Isobe


玄人感あるパーツアッセンブリーが特徴的なチームバイク photo:So Isobe

コンポーネントはULTEGRA DI2だが、ローターのALDHUクランク、チェーンリングはDURA-ACEというやや変則的な組み合わせ。ウィッシュボーンのセラミックBBをインストールして回転性能を上げ、マックオフのケミカル類で仕上げているという。ガルファーのブレーキローターを使う点も興味深いポイントだ。

タイヤはグッドイヤーのEAGLE F1R、ハンドル類はFSA、サドルはセッラ・サンマルコ、そしてボトルケージはトピーク。全体的に玄人感あるパーツアセンブリーと言えるだろう。



ヴェロリアン松山/ウィーラー AERO 6.0

阿部嵩之(ヴェロリアン松山)のウィーラー AERO 6.0 photo:Michinari TAKAGI

2024年シーズンからJプロツアーに参戦した愛媛県松山市を拠点にする新チーム「ヴェロリアン松山」。清水裕輔監督が率い、鈴木譲がキャプテンを務め、堀孝明と阿部嵩之、小坂光といった元ブリッツェンのチームメイトが集結しチームワークは抜群。

写真のゼッケン153は阿部嵩之のバイク。ヴェロリアン松山が使用するのは台湾のバイクブランドであるWHEELER(ウィーラー)のエアロロード"AERO 6.0"。ウィーラーはMTBではメダリストが使用するなど知名度が以前からあったが、最近からロードバイクを作り始めたという。清水監督曰く「みかんの産地として知られる愛媛のプロスポーツチームのイメージカラーはオレンジが多い。なので、チームバイクはオレンジの入ったカラーリングを選びました」とのこと。

オーディンのホイールとパナレーサー AGILEST TLRの28Cの組み合わせ photo:Michinari TAKAGI

DURA-ACE FC-R9200-Pを装着 photo:Michinari TAKAGI
「これまでブラケットを内側に倒すなんて……と思っていたんですが、ものは試しにと倒してみたら案外しっくりきて(笑)」と内向きブラケットセッティングに photo:Michinari TAKAGI


固定力を気に入って長年愛用中のミノウラ製のアルミボトルケージ photo:Michinari TAKAGI
サドルはプロロゴ スクラッチ M5 photo:Michinari TAKAGI


ホイールは中国のカーボンホイールブランドのODIN(オーディン)。選手のフィードバックを元に波打ったリムとカーボンスポークを採用したプロトタイプホイールが装着されていた。組み合わされるのは「コーナーでのグリップ、転がりの軽さ、そして安心感。三拍子揃ったタイヤです」と阿部が話すパナレーサー AGILEST TLRの28C。

コンポーネントはULTEGRA DI2だが、阿部はDURA-ACE FC-R9200-Pを装着。ギア比はフロントが54-40T、リアが11-34Tでシーズンを通してチームで統一。「2016年ごろの宇都宮ブリッツェン時代、オランダ遠征から帰ってきたときに回しにくく感じたんです。その時に、172.5cmから170mmに変更して、それから8年間くらい愛用していることになっていますね」と阿部は身長に対して短めのクランクを愛用していた。

ボトルケージは「日本に比べると舗装の荒いオランダでも安心して使え、その時から固定力を気に入って愛用している」と話すミノウラのアルミボトルケージがこだわりとのこと。サドルはプロロゴのスクラッチ M5で、サイクルコンピューターはエクスプローバが装着されていた。

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