2024/04/22(月) - 13:00
第8回リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファムは6名によるスプリントで決着。中盤で逃げに乗ったグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)がロンゴボルギーニやフォレリングを退け、悲願の初優勝に輝いた。
2024年の春のクラシックシーズンを締めくくるのは、今年で第8回目を迎えたリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム。男子レースの往路を除いたバストーニュからリエージュに向かう152.9kmには10つの丘が登場し、女子のワンデーレースで「最も厳しい」と称されるモニュメント(3大クラシック:ロンド、ルーベ、リエージュ)の最終戦だ。
コート・ド・ストック(距離1km/平均12.5%)やコート・ド・ラ・ルドゥット(距離1.6km/平均9.4%)など名物坂に臨むのは、昨年大会を制したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)など141名の選手たち。またバストーニュのスタート地点にはラ・フレーシュ・ワロンヌを制したカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)や、優勝すれば史上2人目のモニュメント全制覇となるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)も揃った。
雪の予報もあった気温7度の中、男子レースより約2時間遅くスタートしたレースはサラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)の単独逃げで幕を開ける。今年1月のツアー・ダウンアンダーで総合優勝した23歳の新鋭は約70kmをエスケープ。しかし残り60km地点に頂上を迎えるコル・デュ・ロジェで追走集団に合流を許し、逃げ集団は9名となった。
その中にキャニオン・スラムはエリーズ・シャベイ(スイス)、リドル・トレックはルシンダ・ブラント(オランダ)、SDワークス・プロタイムは欧州王者のミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)を送る。また過去に2位に2度輝いた経験のあるグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)も入るなど、強力なメンバーはラスト4つの登りを前(残り45km地点)に2分半のリードを得た。
しかし、このメンバーとタイム差に危機感を覚えたリドル・トレックはメイン集団のペースアップを敢行する。そのためリードが一気に縮小した先頭集団からはコート・ド・ラ・ルドゥットでシャベイがアタック。そこにカゾーとブラウンが追従し、3名となった先頭集団をSDワークス・プロタイムも牽引に加勢したプロトンが追いかけた。
この日最後の登りであるラ・ロッシュ・オ・フォーコン(1.3km地点/平均11%/残り13.3km)に入った逃げ集団では、ここでも登りに長けたシャベイが加速する。そして1分後方のプロトンではロンゴボルギーニが飛び出し、それにフォレリング&ニエウィアドマという優勝候補の2人が反応。一方でマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)は食らいつくことができず、ビッグスリーのアタックを許した。
ロンゴボルギーニとフォレリング、そしてニエウィアドマは残り8km地点で先頭に合流を果たす。そのため6名となった先頭集団ではブラウンがコーナーでバイクのコントロールを失いバランスを崩すシーンも。ニエウィアドマのアタックは不発に終わり、一度ペースが緩んだ集団に落車を免れたブラウンはカゾーと共に復帰した。
先頭の6名
デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)
エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)
カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)
キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール)
残り2km地点で後続とは45秒差がついたため、勝負は先頭の6名に絞られる。そしてニエウィアドマ&シャベイという数的優位な状況を作り出したキャニオン・スラムが攻勢に出たものの、ロンゴボルギーニがそれを許さない。更にニエウィアドマはフラムルージュ(残り1km)の手前で飛び出したが、これもロンゴボルギーニが潰したため、最終ストレートに突入した6名のスプリントへ。
先に腰を上げたのはエウィアドマの背後についたロンゴボルギーニだった。そのため少し開いたギャップをブラウンが詰め、更に後ろからフォレリングが迫る。しかしフォレリングの速度は上がらず、またロンゴボルギーニのスピードも伸びない。そのため最後まで一定のテンポで踏み切ったブラウンが、小集団スプリントを制した。
オーストラリア人として初のリエージュ制覇を果たしたブラウン。「信じられない日となった。逃げ集団では皆で協力することができ、ラ・ロッシュ・オ・フォーコンの登りでは苦しんだ。しかし勝つことができ、いまは最高の気分。落車しかけた後は自分を落ち着かせ、集団に復帰することができた。苦しいスプリントだったが本当に嬉しい」と、悲願の初優勝を果たしたブラウンは喜んだ。
ブラウンは2018年にプロキャリアをスタートさせた31歳。2022年にFDJスエズに移籍して以降は成績を伸ばし続け、昨年はツアー・ダウンアンダーで総合優勝。また今年はオーストラリアのタイムトライアル王者に輝いた、遅咲きのオールラウンダーだ。
2位にはロンゴボルギーニが入り、フォレリングは3位で表彰台に上がっている。
2024年の春のクラシックシーズンを締めくくるのは、今年で第8回目を迎えたリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム。男子レースの往路を除いたバストーニュからリエージュに向かう152.9kmには10つの丘が登場し、女子のワンデーレースで「最も厳しい」と称されるモニュメント(3大クラシック:ロンド、ルーベ、リエージュ)の最終戦だ。
コート・ド・ストック(距離1km/平均12.5%)やコート・ド・ラ・ルドゥット(距離1.6km/平均9.4%)など名物坂に臨むのは、昨年大会を制したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)など141名の選手たち。またバストーニュのスタート地点にはラ・フレーシュ・ワロンヌを制したカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)や、優勝すれば史上2人目のモニュメント全制覇となるエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)も揃った。
雪の予報もあった気温7度の中、男子レースより約2時間遅くスタートしたレースはサラ・ジガンテ(オーストラリア、AGインシュランス・スーダル)の単独逃げで幕を開ける。今年1月のツアー・ダウンアンダーで総合優勝した23歳の新鋭は約70kmをエスケープ。しかし残り60km地点に頂上を迎えるコル・デュ・ロジェで追走集団に合流を許し、逃げ集団は9名となった。
その中にキャニオン・スラムはエリーズ・シャベイ(スイス)、リドル・トレックはルシンダ・ブラント(オランダ)、SDワークス・プロタイムは欧州王者のミーシャ・ブレーデウォルツ(オランダ)を送る。また過去に2位に2度輝いた経験のあるグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)も入るなど、強力なメンバーはラスト4つの登りを前(残り45km地点)に2分半のリードを得た。
しかし、このメンバーとタイム差に危機感を覚えたリドル・トレックはメイン集団のペースアップを敢行する。そのためリードが一気に縮小した先頭集団からはコート・ド・ラ・ルドゥットでシャベイがアタック。そこにカゾーとブラウンが追従し、3名となった先頭集団をSDワークス・プロタイムも牽引に加勢したプロトンが追いかけた。
この日最後の登りであるラ・ロッシュ・オ・フォーコン(1.3km地点/平均11%/残り13.3km)に入った逃げ集団では、ここでも登りに長けたシャベイが加速する。そして1分後方のプロトンではロンゴボルギーニが飛び出し、それにフォレリング&ニエウィアドマという優勝候補の2人が反応。一方でマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)は食らいつくことができず、ビッグスリーのアタックを許した。
ロンゴボルギーニとフォレリング、そしてニエウィアドマは残り8km地点で先頭に合流を果たす。そのため6名となった先頭集団ではブラウンがコーナーでバイクのコントロールを失いバランスを崩すシーンも。ニエウィアドマのアタックは不発に終わり、一度ペースが緩んだ集団に落車を免れたブラウンはカゾーと共に復帰した。
先頭の6名
デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム)
エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック)
カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)
エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ)
キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール)
残り2km地点で後続とは45秒差がついたため、勝負は先頭の6名に絞られる。そしてニエウィアドマ&シャベイという数的優位な状況を作り出したキャニオン・スラムが攻勢に出たものの、ロンゴボルギーニがそれを許さない。更にニエウィアドマはフラムルージュ(残り1km)の手前で飛び出したが、これもロンゴボルギーニが潰したため、最終ストレートに突入した6名のスプリントへ。
先に腰を上げたのはエウィアドマの背後についたロンゴボルギーニだった。そのため少し開いたギャップをブラウンが詰め、更に後ろからフォレリングが迫る。しかしフォレリングの速度は上がらず、またロンゴボルギーニのスピードも伸びない。そのため最後まで一定のテンポで踏み切ったブラウンが、小集団スプリントを制した。
オーストラリア人として初のリエージュ制覇を果たしたブラウン。「信じられない日となった。逃げ集団では皆で協力することができ、ラ・ロッシュ・オ・フォーコンの登りでは苦しんだ。しかし勝つことができ、いまは最高の気分。落車しかけた後は自分を落ち着かせ、集団に復帰することができた。苦しいスプリントだったが本当に嬉しい」と、悲願の初優勝を果たしたブラウンは喜んだ。
ブラウンは2018年にプロキャリアをスタートさせた31歳。2022年にFDJスエズに移籍して以降は成績を伸ばし続け、昨年はツアー・ダウンアンダーで総合優勝。また今年はオーストラリアのタイムトライアル王者に輝いた、遅咲きのオールラウンダーだ。
2位にはロンゴボルギーニが入り、フォレリングは3位で表彰台に上がっている。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ・ファム2024結果
1位 | グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJスエズ) | 4:29:00 |
2位 | エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、リドル・トレック) | |
3位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス・プロタイム) | |
4位 | エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) | |
5位 | カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
6位 | キム・カゾー(ニュージーランド、EFエデュケーション・キャノンデール) | |
7位 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) | +0:52 |
8位 | ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) | |
9位 | リカルダ・ボーンファイント(ドイツ、キャニオン・スラム) | |
10位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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