2024/02/22(木) - 16:50
2月18日(日)に神奈川県の大磯プリンスホテル内特設会場で「 大磯クリテリウム第5戦」が開催され、QNリーグ第14戦が併催された。女子スポーツは南芙美子(TeamZenko)が、Nリーグ中学生男子は落合隼が優勝を決めた。QNリーグ主催者からのレポートで紹介する。
2月18日(日)、神奈川県大磯プリンスホテル内特設会場において「大磯クリテリウム第5戦」が開催された。通称“大磯クリテ”は、地元に密着した人気の高いクリテリウムレース。今シーズンは10月から3月にかけて全6戦の開催が予定され、リーグでは第2戦と今大会の第5戦が対象。Qリーグが「女子スポーツ」、Nリーグ中学生男子Nは「中学生男子」、そしてNリーグ中学生女子NWは新設クラス「中学生女子」としている。
当日は2月とは思えないほど朝から暖かく穏やかな天候のなか、朝から多くのロードレーサーが参戦。朝から自走などで会場に来た観客もたくさん集まっていた。試走時間に先がけて蠣崎藍道コーチによる当日受付で参加できる集団走行セミナーを開催。
さらに、朝8時過ぎからスポーツクラスの後には「初心者レースセミナークラス」をおこない、多くの参加選手へロードレースでの安全走行のコツを細かく指導した。このように、今後の自転車レース参戦に必要となる安全な楽しみ方を知ってもらうための大会主催による施策は、少しづつではあるが良い反響を得ているようだ。
マスターズ年齢別やキッズ、小学生クラスのレースが続いた後、11時20分からNリーグ中学生男子Nが対象の「中学生男子」がスタート。エントリーは17名と前回対象となった同レースに比べて若干エントリーは減ったものの顔ぶれは強豪ぞろい。1周回=約1kmをローリング1周回の後に8周回で競う。
Nリーグ・ポイントリーダーの落合隼は、すっかりバトルマリンジャージ姿が板につき、前回の対象レースから約3ヵ月の期間が開いたがその間も、以前本人がコメントしたとおり練習を重ねて、育ち盛りの中学3年生は大きく成長しているようだった。また、Team一匹狼は4名がエントリーするなどチームぐるみでの参戦が多いなか、現在チーム所属のない落合にも自転車仲間が増えている様子がうかがえる。
定刻スタートのレースは、最初のローリング走行で隊列を整えながらリアルスタートが切られる2周回目のコントロールライン通過から動きが出た。まず、Team 一匹狼の日野篤人が集団から単独でアタック。
その後すぐに集団に吸収されたものの、3周目には石丸虎之輔(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)を頭に落合が後ろにピタリとつけて集団を勢いよく引き上げる。4周目には再び日野が集団の先頭に変わるも、すかさず落合が背後に付き、レース中盤となる次の周回では落合が集団の先頭に。
クリテリウムレースにおいて、これだけ早いタイミングで前に前にと動く落合の姿は珍しいが、このことについてはゴール後に「今日の作戦は友達と千切れることなく一緒に行く」という作戦があったと教えてくれた。
その相手と思われるラバネロの石丸と動く落合だが、そのスキを西澤崇介(AVG0)、さらにNリーグにシーズン半ばからの登録にも関わらず現在ランキング9位につける大藤優作(Team 一匹狼)が、それぞれ単独アタックして集団を引き離そうと動いたが、わずかなタイム差しかつけられない状況。このように序盤から積極的に単独アタックが細かく出てくる状況に、落合も「予想と違った動きだったので焦りました」と語った。
そんななかで冷静に集団の前方に位置取っていたのが、落合、石丸、大藤、そして大藤のチームメイトである池田竜雅(Team 一匹狼)。そのなかから、素早く単独で集団から飛び出したのは落合。
ロングスプリントで追いかけてくる集団に捕まることなくゴールに飛び込み、見事優勝となった。その後のスプリントではラバネロ石丸が2位、そして一匹狼の池田が3位となり、池田はNリーグランキングを11位に上げ、大藤は惜しくも4位となったが、こちらもランキングを6位と一気に上げた。
ロードレースはレース中においてもコミュニケーションが重要。イマドキな若者はネットのSNSで、直接に面と向かって話をしたり触れ合ったりする機会が減っているようだ。しかしこうやってリアルのレースを通して仲間を増やしながら楽しくコミュニケーションを図る体験が増して、彼らの世界が広がってくれるであろうことを喜びたい。
昼休憩を挟んで午後の部、13時35分からスタートとなったのはQリーグ対象の女子スポーツ。これにNリーグ中学生女子NWの対象レース「中学生女子クラス」にエントリーが現ポイントリーダーの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェンU15)の1名だけとなったため、この女子スポーツに岡田が出走希望をし、主催者の配慮により参戦が叶った。なお、これにより今回のみ岡田のリーグポイント付与は無しとした。
岡田の追加参加によりエントリーは8名、このなかには現Qリーグポイントリーダーの根本香織(Team 一匹狼)をはじめ、初代・2代目Qリーグ年間総合ポイントリーダーの廣瀬博子や、JBCFなど大きなレースでの優勝や入賞経験がある有力選手がそろう。レースはローリング1周回の後、12周で競われた。
ローリング解除後からさっそく飛び出したのはTeamZenkoの南芙美子。彼女を集団の先頭にして進んでいくがラップタイムが約1分10秒と相当速い展開となり、途中で集団から切れそうになる選手も出るなか、「中学生女子」のクラスで設定されていた5周回から倍以上のレース周回数に臨む中学1年生の岡田がメイン集団に残って粘る。
中盤でいったん集団のスピードが緩んだが、残り6周目で小野響子(team ZERO)、5周目で仲谷あい(E-WORKS@PINKY)が集団の先頭を引き始めると再びスピードアップ。この動きにより残り4周目に岡田が、さらに残り1周回の鐘が鳴る直前で根本がメイン集団から切れてしまう。
集団はラスト1周、小田原コーナーの立ち上がりまで1つになったまま最後の直線に入りゴールスプリントに。タイミング早く飛び出したZenkoの南が優勝、その南を追いかけた木村裕圭(team ZERO)が2位に、木村のチームメイト小野が3位に入った。
レース直後、QリーグとNリーグの女子ポイントリーダーがそろったところでコメントをもらった。Nリーグ岡田は女子スポーツで初めて走った感想として、「周回数も多いしスピードも速かった。カーブ後の立ち上がりでアタックがかかるので、付いていくのが大変だった」とコメント。そんな彼女に向けて健闘を讚えながら、根本は残り1周を目前に集団から切れてしまったことについて「本当に展開が速かった。力尽きてしまいました!」と無念の表情。
「今回は特に女子スポーツに、JBCFで活躍するような強い選手がそろっていたので、もっと練習しないとダメですね」と落ち込みつつコメントしながらも、QとNリーグ女子の対象レースが再び同じとなる最終戦に向けて岡田は、「しもふさは優勝したので、次回も優勝で締めくくりたいです」と強い意気込みを見せた。それを受けて根本は、「岡田選手に勝ちます!先輩として頑張りたいですし、クリテリウムは得意なので良いところを見せたいと思います!」と先輩としての意地を語ってくれた。
また根本や岡田の両名、そして大会主催の山根 理史氏からも「女子選手はもちろん、特にジュニア年齢にあたる中学生女子のエントリーを増やしていきたい」という課題も出た。リーグ対象大会は比較的に女子選手にも配慮したクラスや周回数設定で出場しやすいレースなので、ぜひとも出場を検討していただきたい。
さらに、根本は「ぜひともQリーグやNリーグに登録してほしい。私でもこんなに豪華な副賞をいただけて、そしてアメジストジャージを着ることで皆さんに応援してもらえるし、本当にチカラになるので来シーズンは皆さんにもチャレンジしてほしい」と言ってくれた。近く発表される来期のリーグ要項をご覧いただき、女子やジュニアに理解が深い対象大会を巡るリーグ・シリーズ戦への参加をみなさんに検討いただきたい。
次のリーグシリーズは最終戦、3月3日(日)千葉県成田市・下総運動公園で開催の「しもふさクリテリウム3月」となり、いよいよ今シーズン2023-2024の年間総合ポイントリーダーが決定する。みなさまには今一度、ポイントランキングをご覧いただきながら、その動向を引き続きご注目いただければ幸いである。リーグ登録選手達には、今シーズンのラストレースに向けて英気を養っていただき、締めに相応しい走りをリーグ・ファンの皆さんへ魅せてほしい。
photo:gg_kasai、K.Kazuma、Kai_Sasaki、QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
2月18日(日)、神奈川県大磯プリンスホテル内特設会場において「大磯クリテリウム第5戦」が開催された。通称“大磯クリテ”は、地元に密着した人気の高いクリテリウムレース。今シーズンは10月から3月にかけて全6戦の開催が予定され、リーグでは第2戦と今大会の第5戦が対象。Qリーグが「女子スポーツ」、Nリーグ中学生男子Nは「中学生男子」、そしてNリーグ中学生女子NWは新設クラス「中学生女子」としている。
当日は2月とは思えないほど朝から暖かく穏やかな天候のなか、朝から多くのロードレーサーが参戦。朝から自走などで会場に来た観客もたくさん集まっていた。試走時間に先がけて蠣崎藍道コーチによる当日受付で参加できる集団走行セミナーを開催。
さらに、朝8時過ぎからスポーツクラスの後には「初心者レースセミナークラス」をおこない、多くの参加選手へロードレースでの安全走行のコツを細かく指導した。このように、今後の自転車レース参戦に必要となる安全な楽しみ方を知ってもらうための大会主催による施策は、少しづつではあるが良い反響を得ているようだ。
マスターズ年齢別やキッズ、小学生クラスのレースが続いた後、11時20分からNリーグ中学生男子Nが対象の「中学生男子」がスタート。エントリーは17名と前回対象となった同レースに比べて若干エントリーは減ったものの顔ぶれは強豪ぞろい。1周回=約1kmをローリング1周回の後に8周回で競う。
Nリーグ・ポイントリーダーの落合隼は、すっかりバトルマリンジャージ姿が板につき、前回の対象レースから約3ヵ月の期間が開いたがその間も、以前本人がコメントしたとおり練習を重ねて、育ち盛りの中学3年生は大きく成長しているようだった。また、Team一匹狼は4名がエントリーするなどチームぐるみでの参戦が多いなか、現在チーム所属のない落合にも自転車仲間が増えている様子がうかがえる。
定刻スタートのレースは、最初のローリング走行で隊列を整えながらリアルスタートが切られる2周回目のコントロールライン通過から動きが出た。まず、Team 一匹狼の日野篤人が集団から単独でアタック。
その後すぐに集団に吸収されたものの、3周目には石丸虎之輔(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)を頭に落合が後ろにピタリとつけて集団を勢いよく引き上げる。4周目には再び日野が集団の先頭に変わるも、すかさず落合が背後に付き、レース中盤となる次の周回では落合が集団の先頭に。
クリテリウムレースにおいて、これだけ早いタイミングで前に前にと動く落合の姿は珍しいが、このことについてはゴール後に「今日の作戦は友達と千切れることなく一緒に行く」という作戦があったと教えてくれた。
その相手と思われるラバネロの石丸と動く落合だが、そのスキを西澤崇介(AVG0)、さらにNリーグにシーズン半ばからの登録にも関わらず現在ランキング9位につける大藤優作(Team 一匹狼)が、それぞれ単独アタックして集団を引き離そうと動いたが、わずかなタイム差しかつけられない状況。このように序盤から積極的に単独アタックが細かく出てくる状況に、落合も「予想と違った動きだったので焦りました」と語った。
そんななかで冷静に集団の前方に位置取っていたのが、落合、石丸、大藤、そして大藤のチームメイトである池田竜雅(Team 一匹狼)。そのなかから、素早く単独で集団から飛び出したのは落合。
ロングスプリントで追いかけてくる集団に捕まることなくゴールに飛び込み、見事優勝となった。その後のスプリントではラバネロ石丸が2位、そして一匹狼の池田が3位となり、池田はNリーグランキングを11位に上げ、大藤は惜しくも4位となったが、こちらもランキングを6位と一気に上げた。
ロードレースはレース中においてもコミュニケーションが重要。イマドキな若者はネットのSNSで、直接に面と向かって話をしたり触れ合ったりする機会が減っているようだ。しかしこうやってリアルのレースを通して仲間を増やしながら楽しくコミュニケーションを図る体験が増して、彼らの世界が広がってくれるであろうことを喜びたい。
昼休憩を挟んで午後の部、13時35分からスタートとなったのはQリーグ対象の女子スポーツ。これにNリーグ中学生女子NWの対象レース「中学生女子クラス」にエントリーが現ポイントリーダーの岡田愛裕來(ブラウ・ブリッツェンU15)の1名だけとなったため、この女子スポーツに岡田が出走希望をし、主催者の配慮により参戦が叶った。なお、これにより今回のみ岡田のリーグポイント付与は無しとした。
岡田の追加参加によりエントリーは8名、このなかには現Qリーグポイントリーダーの根本香織(Team 一匹狼)をはじめ、初代・2代目Qリーグ年間総合ポイントリーダーの廣瀬博子や、JBCFなど大きなレースでの優勝や入賞経験がある有力選手がそろう。レースはローリング1周回の後、12周で競われた。
ローリング解除後からさっそく飛び出したのはTeamZenkoの南芙美子。彼女を集団の先頭にして進んでいくがラップタイムが約1分10秒と相当速い展開となり、途中で集団から切れそうになる選手も出るなか、「中学生女子」のクラスで設定されていた5周回から倍以上のレース周回数に臨む中学1年生の岡田がメイン集団に残って粘る。
中盤でいったん集団のスピードが緩んだが、残り6周目で小野響子(team ZERO)、5周目で仲谷あい(E-WORKS@PINKY)が集団の先頭を引き始めると再びスピードアップ。この動きにより残り4周目に岡田が、さらに残り1周回の鐘が鳴る直前で根本がメイン集団から切れてしまう。
集団はラスト1周、小田原コーナーの立ち上がりまで1つになったまま最後の直線に入りゴールスプリントに。タイミング早く飛び出したZenkoの南が優勝、その南を追いかけた木村裕圭(team ZERO)が2位に、木村のチームメイト小野が3位に入った。
レース直後、QリーグとNリーグの女子ポイントリーダーがそろったところでコメントをもらった。Nリーグ岡田は女子スポーツで初めて走った感想として、「周回数も多いしスピードも速かった。カーブ後の立ち上がりでアタックがかかるので、付いていくのが大変だった」とコメント。そんな彼女に向けて健闘を讚えながら、根本は残り1周を目前に集団から切れてしまったことについて「本当に展開が速かった。力尽きてしまいました!」と無念の表情。
「今回は特に女子スポーツに、JBCFで活躍するような強い選手がそろっていたので、もっと練習しないとダメですね」と落ち込みつつコメントしながらも、QとNリーグ女子の対象レースが再び同じとなる最終戦に向けて岡田は、「しもふさは優勝したので、次回も優勝で締めくくりたいです」と強い意気込みを見せた。それを受けて根本は、「岡田選手に勝ちます!先輩として頑張りたいですし、クリテリウムは得意なので良いところを見せたいと思います!」と先輩としての意地を語ってくれた。
また根本や岡田の両名、そして大会主催の山根 理史氏からも「女子選手はもちろん、特にジュニア年齢にあたる中学生女子のエントリーを増やしていきたい」という課題も出た。リーグ対象大会は比較的に女子選手にも配慮したクラスや周回数設定で出場しやすいレースなので、ぜひとも出場を検討していただきたい。
さらに、根本は「ぜひともQリーグやNリーグに登録してほしい。私でもこんなに豪華な副賞をいただけて、そしてアメジストジャージを着ることで皆さんに応援してもらえるし、本当にチカラになるので来シーズンは皆さんにもチャレンジしてほしい」と言ってくれた。近く発表される来期のリーグ要項をご覧いただき、女子やジュニアに理解が深い対象大会を巡るリーグ・シリーズ戦への参加をみなさんに検討いただきたい。
次のリーグシリーズは最終戦、3月3日(日)千葉県成田市・下総運動公園で開催の「しもふさクリテリウム3月」となり、いよいよ今シーズン2023-2024の年間総合ポイントリーダーが決定する。みなさまには今一度、ポイントランキングをご覧いただきながら、その動向を引き続きご注目いただければ幸いである。リーグ登録選手達には、今シーズンのラストレースに向けて英気を養っていただき、締めに相応しい走りをリーグ・ファンの皆さんへ魅せてほしい。
photo:gg_kasai、K.Kazuma、Kai_Sasaki、QNリーグ事務局
text:須藤むつみ(QNリーグ事務局)
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