2024/02/07(水) - 18:00
シクロクロス世界選手権最終日に、それぞれのレースを戦った日本選手たち。成田光志(学校法人石川高等学校)と野嵜然新(弱虫ペダルサイクリングチーム)、渡部春雅(明治大学/Liv)、そして沢田時(宇都宮ブリッツェン)の言葉を紹介する。
「悔しい。でも、力を付けてまたこの場に戻ってきたい」と、シクロクロス世界選手権男子ジュニアレースに出場した成田光志(学校法人石川高等学校)と野嵜然新(弱虫ペダルサイクリングチーム)は意見を揃えた。同世代のライバルとして鎬を削りあってきた2人は、74名が参戦した大舞台でそれぞれ48位と57位。フルラップ完走こそ果たしたものの、共に世界との差を痛感したという。
野嵜然新(弱虫ペダルサイクリングチーム)「序盤は攻めたが、後半はフィジカル不足」
成田光志(学校法人石川高等学校)「フィジカルを上げることに時間を費やすべきと痛感」
「自分が自転車に取り組んできて、初めて絶望感を味わった一日だったかなと思います。スタート時の落車で後方になってしまいましたが、それでも序盤は攻めていくことができました。3周目、4周目は自分のフィジカル不足でした」と野嵜。成田もまた「世界のジュニア選手達とは全くパワーが違う。技術面を磨くより、フィジカルを強化することに時間を充てる必要があると痛感しました」と、根本的なベースアップの必要性を共通認識として捉えた。
成田は「日本のレースで優勝したとか2位だったとか、もうそれは重要なことではないように思います。日本では負けてもいいから自分をレベルアップさせるための実戦練習として捉えて、世界できちんと戦える力を付けたい。この場所で戦いたいという気持ちを強く実感しました」と、来年に向けてのリベンジを誓っている。
渡部春雅(明治大学/Liv)「苦しい中、気持ちを切り替えて走ることができた」
スタートダッシュを決め、ポジションを上げた直後の転倒。それがなければもっと良い順位でフィニッシュできていたかもしれない。2020年以来となる世界選手権挑戦に、当時からカテゴリーを一つ上げて臨んだ渡部春雅(明治大学/Liv)は、追い上げをしいられた序盤戦を「苦しい時間でした」と表現する。しかし一方で、「そこから一人ずつ前を追いかけていこうという気持ちで走れたのは良かったかなと思います」とも。
完走の当落線上で苦しい戦いを強いられていた渡部だが、結果的には10分34秒遅れの26位でフィニッシュラインにたどり着いた。「一昨日から昨日、そして今日までの試走で、自信をもって走ることができるように準備をしてきました。だからその分思い通りにいかず悔しくて、満足していません。この経験を活かしてまた頑張りたいと思います」。
既に全日本選手権では2021-2022シーズンのエリート優勝を遂げているが、2003年生まれの渡部は来年の世界選手権出場が現実となれば、よりハイレベルなエリートカテゴリーを走ることとなる。トレイルランニングを出自に持ち、自転車競技ではシクロクロスはもちろんMTB、ロード、トラックまでをトップレベルで幅広くこなすなど、随一のフィジカルと適応能力をもつ彼女のチャレンジに期待したい。
沢田時(宇都宮ブリッツェン)「日本なら得意なコンディション。でもむしろ、ここでは下手なレベル」
足止めや落車によって追い上げるレースを強いられた若手選手と違い、ミスも、トラブルも無いクリーンなレースを走った沢田時(宇都宮ブリッツェン)は「力通りの結果でした。言い訳のしようもないし、思い知らされました」とマイナス2ラップ44位に終わった自身のレースを振り返る。
「泥でランニングの割合も多くて、日本であればすごく得意なコンディションでしたがまったく通用しないし、パワーが足りていないからむしろ下手なレベル。もう、圧倒されました」と、如実に上がるワールドレベルとの差を実感したという。
7年ぶりの欧州遠征で、いきなりワールドカップと世界選手権というハイレベルな2レースを走った沢田。「最初からグループに加わることもできず、前からこぼれてきた選手と走る展開でした。来年再チャレンジしたいと考えていますが、その時はもっと長い期間ヨーロッパでレースを走り、さらに自信を掴むためにもっと低いレベルのレースにも出たい」と、現実的なステップを踏んだ欧州挑戦が必要だとも。
「今回の遠征で圧倒されましたが、もちろんマイナス要素だけじゃなくて、"ああ、これが世界での自分の位置なんだ"ということを知ることができた。それはすごく自分にとって大きなことでした。この舞台に立つことができて良かった」という言葉と共に、1週間強におよぶ欧州遠征を締めくくっている。
text:So Isobe
photo:Nobuhiko Tanabe
「悔しい。でも、力を付けてまたこの場に戻ってきたい」と、シクロクロス世界選手権男子ジュニアレースに出場した成田光志(学校法人石川高等学校)と野嵜然新(弱虫ペダルサイクリングチーム)は意見を揃えた。同世代のライバルとして鎬を削りあってきた2人は、74名が参戦した大舞台でそれぞれ48位と57位。フルラップ完走こそ果たしたものの、共に世界との差を痛感したという。
野嵜然新(弱虫ペダルサイクリングチーム)「序盤は攻めたが、後半はフィジカル不足」
成田光志(学校法人石川高等学校)「フィジカルを上げることに時間を費やすべきと痛感」
「自分が自転車に取り組んできて、初めて絶望感を味わった一日だったかなと思います。スタート時の落車で後方になってしまいましたが、それでも序盤は攻めていくことができました。3周目、4周目は自分のフィジカル不足でした」と野嵜。成田もまた「世界のジュニア選手達とは全くパワーが違う。技術面を磨くより、フィジカルを強化することに時間を充てる必要があると痛感しました」と、根本的なベースアップの必要性を共通認識として捉えた。
成田は「日本のレースで優勝したとか2位だったとか、もうそれは重要なことではないように思います。日本では負けてもいいから自分をレベルアップさせるための実戦練習として捉えて、世界できちんと戦える力を付けたい。この場所で戦いたいという気持ちを強く実感しました」と、来年に向けてのリベンジを誓っている。
渡部春雅(明治大学/Liv)「苦しい中、気持ちを切り替えて走ることができた」
スタートダッシュを決め、ポジションを上げた直後の転倒。それがなければもっと良い順位でフィニッシュできていたかもしれない。2020年以来となる世界選手権挑戦に、当時からカテゴリーを一つ上げて臨んだ渡部春雅(明治大学/Liv)は、追い上げをしいられた序盤戦を「苦しい時間でした」と表現する。しかし一方で、「そこから一人ずつ前を追いかけていこうという気持ちで走れたのは良かったかなと思います」とも。
完走の当落線上で苦しい戦いを強いられていた渡部だが、結果的には10分34秒遅れの26位でフィニッシュラインにたどり着いた。「一昨日から昨日、そして今日までの試走で、自信をもって走ることができるように準備をしてきました。だからその分思い通りにいかず悔しくて、満足していません。この経験を活かしてまた頑張りたいと思います」。
既に全日本選手権では2021-2022シーズンのエリート優勝を遂げているが、2003年生まれの渡部は来年の世界選手権出場が現実となれば、よりハイレベルなエリートカテゴリーを走ることとなる。トレイルランニングを出自に持ち、自転車競技ではシクロクロスはもちろんMTB、ロード、トラックまでをトップレベルで幅広くこなすなど、随一のフィジカルと適応能力をもつ彼女のチャレンジに期待したい。
沢田時(宇都宮ブリッツェン)「日本なら得意なコンディション。でもむしろ、ここでは下手なレベル」
足止めや落車によって追い上げるレースを強いられた若手選手と違い、ミスも、トラブルも無いクリーンなレースを走った沢田時(宇都宮ブリッツェン)は「力通りの結果でした。言い訳のしようもないし、思い知らされました」とマイナス2ラップ44位に終わった自身のレースを振り返る。
「泥でランニングの割合も多くて、日本であればすごく得意なコンディションでしたがまったく通用しないし、パワーが足りていないからむしろ下手なレベル。もう、圧倒されました」と、如実に上がるワールドレベルとの差を実感したという。
7年ぶりの欧州遠征で、いきなりワールドカップと世界選手権というハイレベルな2レースを走った沢田。「最初からグループに加わることもできず、前からこぼれてきた選手と走る展開でした。来年再チャレンジしたいと考えていますが、その時はもっと長い期間ヨーロッパでレースを走り、さらに自信を掴むためにもっと低いレベルのレースにも出たい」と、現実的なステップを踏んだ欧州挑戦が必要だとも。
「今回の遠征で圧倒されましたが、もちろんマイナス要素だけじゃなくて、"ああ、これが世界での自分の位置なんだ"ということを知ることができた。それはすごく自分にとって大きなことでした。この舞台に立つことができて良かった」という言葉と共に、1週間強におよぶ欧州遠征を締めくくっている。
text:So Isobe
photo:Nobuhiko Tanabe
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