来年1月のツアー・ダウンアンダー開幕を前に、UCI(国際自転車競技連合)が高気温時のレースにおける対策プロトコルを発表。スタート地点を日陰にし、選手に補給や氷を渡すモトバイクを増やすなどの対策が強調された。



今年7月のツール・ファムでも高い気温の中レースが行われた photo:CorVos

40度を超える真夏のオーストラリアで開催されるサントス・ツアー・ダウンアンダー(女子は1月12日、男子は16日開幕)を前に、UCIは高気温時における対策プロトコルを発表した。これは高い気温と湿度が選手に与える影響を明確にし、同じく真夏に行われるツール・ド・フランスやブエルタ・ア・エスパーニャを鑑みてのプロトコルでもある。

リリースの中でUCIは「スタート地点を日陰に移し、レース中にチームに冷たい飲み物やクラッシュアイスを配布する。またそれを配るモーターバイクの数を増やし、スタート時刻の変更やレース区間の変更などを考慮するべし」と述べた。しかし今回のUCIによるプロトコルはあくまでも提案であり、2015年に導入された「異常気象プロトコル」と変わりはない。そのためレースではこれまでと同様に、UCIがチームや選手、レース主催者を招集し、議論によって対策を決定することとなる。

UCI会長のダヴィ・ラパルティアン氏は、今回の発表の意図を「最も重要なのは選手の健康や安全、幸福である。だからこそUCIは未知なる状況に対応し、選手を取り巻く環境の変化に合わせ、プロトコルを適応させるため継続的に取り組んでいる」と説明した。

トラマドールとコロナ終焉にも言及

マスク着用などのコロナ感染プロトコルも2024年はなくなる photo:CorVos

また同じリリースでUCIは、WADA(世界アンチドーピング機構)がトラマドールを2024年1月1日より禁止薬物に追加することで、UCIが独自で行っていた「トラマドール(使用禁止)プログラム」を終了すると発表した。トラマドールは2022年のツール・ド・フランスでナイロ・キンタナ(コロンビア)の検体から検出されたことで知られる鎮静剤の一種で、WADAが定める禁止薬物には該当していなかったものの、2019年よりUCIがその副作用から独自に使用を禁止していた。

更にUCIは脳震盪プロトコルの重要性を強調。また、2020年から続いた新型コロナウイルス感染症に対するプロトコルについて「2024年シーズンはその必要がないと判断された」と発表した。マスクの着用や換気などの対策は依然として有効であるとしながらも、2024年からはプロトコルを行う必要性はなくなり、自転車界における新型コロナに事実上終止符が打たれた形となった。

text:Sotaro.Arakawa

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