2023/12/03(日) - 21:43
残り10km付近から独走となった兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)。スプリント勝負と予想したライバルをよそに、20秒のリードを守って逃げ切り、2023年シーズン最後のレースを締めくくる勝利を挙げた。
「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023」男子のレースは、72.6km。八王子市で約20kmの周回区間を走行したのち、多摩市、稲城市、府中市を経て調布市の味の素スタジアムにフィニッシュする。明確な勝負どころになるような険しい登りは無く、短い登りと下りが繰り返されるもののフィニッシュに向けて下り基調となるため、距離の短さと相まって先行する集団が出来たとしても最後は一つにまとまることが予想された。
この日の八王子市は、スタート時間の午前9時になっても10℃を切る寒さ。ゲストライダーとしてパレード走行を先導した元冬季五輪スピードスケート代表の高木菜那さんは「北海道出身だけれど、八王子の寒さをナメていた」と、スタート前のステージで話すほどだった。そんな早朝の寒さにもかかわらず、富士森公園には多くの観客が集まってスタートを見送った。
約6kmのパレード走行を経てリアルスタートが切られると、山本元喜(キナンレーシングチーム)のペースアップにより集団が一気に長く伸ばされ、アタック合戦が始まっていく。周回区間の終盤には10名ほどの集団が先行しかけるもうまくローテーションが回らず、ハイスピードを維持するメイン集団が吸収する。周回区間を出てからもアタック合戦が続き、逃げが容認されない状況が続く。
約30kmほど行ったところで、レースは一旦ニュートラル区間に入る。中央分離帯の無い区間で片側車線のみ通行規制となるため、安全確保のため時速30kmで走行する区間が設けられた。ニュートラル区間を終えてレースが再開されると、再びアタック合戦が始まる。多摩市に差し掛かったあたりで、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)と山本大喜(JCLチーム右京)の2名が抜け出して先行。メイン集団とは10秒から15秒の差がつくも、お互いの姿を視認できる距離で進行していく。
先行する2人は、「言葉はかわさなかったけれど、走りから山本選手も逃げ切るつもりだと伝わってきた」と兒島が言うように、牽制することなく先頭交代しながら進む。しかし残り14kmを切り、多摩川を渡る是政橋に向かう直前のコーナーでアクシデントが発生。コーナーのフェンスに接触した山本大喜が落車して遅れてしまう。「イン側のフェンスが急に視界に入って、左肩をフェンスに当てながら何とか転ばないように耐えていたが、アウト側が狭くなっていてもう無理だった。兒島も避けるのはギリギリでしたね」と言う山本。集団には復帰したものの、兒島の単独先行を許すことになる。
残り10kmを切り、メイン集団と兒島の差は20秒。メイン集団はチームブリヂストンサイクリングが抑えにかかるも、スプリント勝負に持ち込みたいチームがペースを上げて兒島を追う。残り7kmを切り、増田成幸(JCLチーム右京)が単独追走に出るも時すでに遅く、兒島は残り1kmのストレートに単独で姿を現す。後方で始まったスプリントを確認すると、200mを残して兒島は勝利を確信。何度も両腕を突き上げながらフィニッシュラインを越えた。
その直後、メイン集団は岡本隼を先頭にフィニッシュ。3位に佐藤健が入り、愛三工業レーシングチームが2位と3位を占めた。遅れてしまった山本大喜は敢闘賞を獲得した。
優勝 兒島直樹 コメント
「僕か今村駿介さんが最初に抜け出すプランで、それが出来なければ集団スプリントというチームの作戦だった。僕が抜け出すことが出来たので最後まで行くつもりだった。チームブリヂストンサイクリングはスプリント勝負を狙ってくると思われていたかもしれないが、それを裏切るように自分達から逃げをつくる作戦を立てて実行できたことは良かったと思う。
是政橋の直前のコーナーでフェンスが出っ張っているのに気づかず、前で走っていた僕は避けられたけれど後ろにいた山本選手がぶつかってしまった。その後は1人になって、20秒という時間差がどのくらいの距離なのか分からなかったのでひたすら踏み続けた。このまま耐えれば行けるかもと思い、沿道からの応援もたくさんあって最後まで踏み切ることが出来た。普段だったら10kmくらいすぐなのに、とにかく長く感じた。
トラックナショナルチームでトレーニングは続けていてオフシーズンには入っていなかったので、ピークではないけれど調子は良かった。直前2週でトラックの大会ふたつを走っていたこともあり、序盤のアタック合戦にも対応出来たし、後半に向けて脚を残すことも出来ていた。それが結果につながったと思う。
クリスマスあたりにオフを取れる予定なので、そこでしっかり精神的にも休んで1月からの沖縄合宿に臨みたい。そしてネイションズカップに最初のピークを持っていきたい」
敢闘賞 山本大喜(JCLチーム右京)
「最初からアタックを掛けて集団を絞って逃げ切りたいと思っていた。結局最後は兒島が逃げ切ることになったので自分のアタックは集団に対してダメージを与えることができていたんだと分かった。良い展開に持ち込めたぶん残念。もったいないですね。
調子そのものもかなり良くて、次のシーズンインを見据えてしっかり準備できていたことが大きいと思う。だからこそなおさら悔しい。気持ちを切り替えて来シーズンを目指していきたい」
2位 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
「チームとしては僕と佐藤健の2人でのスプリントを考えていた。でも、スプリント狙いだと思っていたブリヂストンが単独逃げの展開に持ち込むとは意外だったし、集団の足並みも揃っていなかったけれど、チームとして追い上げきれなかった。今シーズンは逃げ切りを許したことがいくつかあったので来年への反省材料にしたい。
2位と3位を手堅く抑えることができたのは収穫だったと思うし、個人的にはたくさんの観客の前で、集団スプリントの、しかもトップスピードに乗った状態の速さを披露できたので良かったと思う」
「THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023」男子のレースは、72.6km。八王子市で約20kmの周回区間を走行したのち、多摩市、稲城市、府中市を経て調布市の味の素スタジアムにフィニッシュする。明確な勝負どころになるような険しい登りは無く、短い登りと下りが繰り返されるもののフィニッシュに向けて下り基調となるため、距離の短さと相まって先行する集団が出来たとしても最後は一つにまとまることが予想された。
この日の八王子市は、スタート時間の午前9時になっても10℃を切る寒さ。ゲストライダーとしてパレード走行を先導した元冬季五輪スピードスケート代表の高木菜那さんは「北海道出身だけれど、八王子の寒さをナメていた」と、スタート前のステージで話すほどだった。そんな早朝の寒さにもかかわらず、富士森公園には多くの観客が集まってスタートを見送った。
約6kmのパレード走行を経てリアルスタートが切られると、山本元喜(キナンレーシングチーム)のペースアップにより集団が一気に長く伸ばされ、アタック合戦が始まっていく。周回区間の終盤には10名ほどの集団が先行しかけるもうまくローテーションが回らず、ハイスピードを維持するメイン集団が吸収する。周回区間を出てからもアタック合戦が続き、逃げが容認されない状況が続く。
約30kmほど行ったところで、レースは一旦ニュートラル区間に入る。中央分離帯の無い区間で片側車線のみ通行規制となるため、安全確保のため時速30kmで走行する区間が設けられた。ニュートラル区間を終えてレースが再開されると、再びアタック合戦が始まる。多摩市に差し掛かったあたりで、兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)と山本大喜(JCLチーム右京)の2名が抜け出して先行。メイン集団とは10秒から15秒の差がつくも、お互いの姿を視認できる距離で進行していく。
先行する2人は、「言葉はかわさなかったけれど、走りから山本選手も逃げ切るつもりだと伝わってきた」と兒島が言うように、牽制することなく先頭交代しながら進む。しかし残り14kmを切り、多摩川を渡る是政橋に向かう直前のコーナーでアクシデントが発生。コーナーのフェンスに接触した山本大喜が落車して遅れてしまう。「イン側のフェンスが急に視界に入って、左肩をフェンスに当てながら何とか転ばないように耐えていたが、アウト側が狭くなっていてもう無理だった。兒島も避けるのはギリギリでしたね」と言う山本。集団には復帰したものの、兒島の単独先行を許すことになる。
残り10kmを切り、メイン集団と兒島の差は20秒。メイン集団はチームブリヂストンサイクリングが抑えにかかるも、スプリント勝負に持ち込みたいチームがペースを上げて兒島を追う。残り7kmを切り、増田成幸(JCLチーム右京)が単独追走に出るも時すでに遅く、兒島は残り1kmのストレートに単独で姿を現す。後方で始まったスプリントを確認すると、200mを残して兒島は勝利を確信。何度も両腕を突き上げながらフィニッシュラインを越えた。
その直後、メイン集団は岡本隼を先頭にフィニッシュ。3位に佐藤健が入り、愛三工業レーシングチームが2位と3位を占めた。遅れてしまった山本大喜は敢闘賞を獲得した。
優勝 兒島直樹 コメント
「僕か今村駿介さんが最初に抜け出すプランで、それが出来なければ集団スプリントというチームの作戦だった。僕が抜け出すことが出来たので最後まで行くつもりだった。チームブリヂストンサイクリングはスプリント勝負を狙ってくると思われていたかもしれないが、それを裏切るように自分達から逃げをつくる作戦を立てて実行できたことは良かったと思う。
是政橋の直前のコーナーでフェンスが出っ張っているのに気づかず、前で走っていた僕は避けられたけれど後ろにいた山本選手がぶつかってしまった。その後は1人になって、20秒という時間差がどのくらいの距離なのか分からなかったのでひたすら踏み続けた。このまま耐えれば行けるかもと思い、沿道からの応援もたくさんあって最後まで踏み切ることが出来た。普段だったら10kmくらいすぐなのに、とにかく長く感じた。
トラックナショナルチームでトレーニングは続けていてオフシーズンには入っていなかったので、ピークではないけれど調子は良かった。直前2週でトラックの大会ふたつを走っていたこともあり、序盤のアタック合戦にも対応出来たし、後半に向けて脚を残すことも出来ていた。それが結果につながったと思う。
クリスマスあたりにオフを取れる予定なので、そこでしっかり精神的にも休んで1月からの沖縄合宿に臨みたい。そしてネイションズカップに最初のピークを持っていきたい」
敢闘賞 山本大喜(JCLチーム右京)
「最初からアタックを掛けて集団を絞って逃げ切りたいと思っていた。結局最後は兒島が逃げ切ることになったので自分のアタックは集団に対してダメージを与えることができていたんだと分かった。良い展開に持ち込めたぶん残念。もったいないですね。
調子そのものもかなり良くて、次のシーズンインを見据えてしっかり準備できていたことが大きいと思う。だからこそなおさら悔しい。気持ちを切り替えて来シーズンを目指していきたい」
2位 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)
「チームとしては僕と佐藤健の2人でのスプリントを考えていた。でも、スプリント狙いだと思っていたブリヂストンが単独逃げの展開に持ち込むとは意外だったし、集団の足並みも揃っていなかったけれど、チームとして追い上げきれなかった。今シーズンは逃げ切りを許したことがいくつかあったので来年への反省材料にしたい。
2位と3位を手堅く抑えることができたのは収穫だったと思うし、個人的にはたくさんの観客の前で、集団スプリントの、しかもトップスピードに乗った状態の速さを披露できたので良かったと思う」
THE ROAD RACE TOKYO TAMA 2023 男子エリート 結果(72.6km)
1位 | 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング) | 1時間29分13秒 |
2位 | 岡本 隼(愛三工業レーシングチーム) | +3秒 |
3位 | 佐藤 健(愛三工業レーシングチーム) | |
4位 | 松田祥位(チームブリヂストンサイクリング) | |
5位 | 岡 篤志(JCLチーム右京) | |
6位 | 今村駿介(チームブリヂストンサイクリング) | |
7位 | 中島 渉(JBCF JET選抜B) | |
8位 | 大前 翔(慶応義塾大学体育会自転車競技部) | |
9位 | 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) | |
10位 | 柚木伸元(日本大学自転車部) |
敢闘賞 山本大喜(JCLチーム右京)
地元賞 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
text:Satoru Kato, So Isobe
photo:Satoru Kato, GCT実行委員会
地元賞 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)
text:Satoru Kato, So Isobe
photo:Satoru Kato, GCT実行委員会
Amazon.co.jp
東京ばな奈「見ぃつけたっ」8個入り 3箱セット 詰め合わせ 人気 手土産スイーツ
¥4,545 (¥189 / 個)
東京ばな奈 バナナプリン「見ぃつけたっ」8個入り 詰め合わせ 人気 手土産スイーツ 差し入れ
¥1,750 (¥219 / 個)