2023/12/31(日) - 13:00
雨の古賀志林道で逃げ、初出場だったジャパンカップに強烈なインパクトを残したジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)。2度世界の頂点に立った”ルル”に、復活勝利を飾った2023年シーズンについて、また来年ツールで総合エースを担うエヴェネプールなどについて話を聞いた。
再起を懸けた今年、そして来年は更なる高みへ
―日本に到着した羽田空港から、大勢のファンによる歓迎があったと聞きました。ここまでの日本のファンに対する印象は?
ジュリアン・アラフィリップ:日本でこれほど多くの人に歓迎してもらえるとは思っていなかった。驚きという意味でも、日本という場所でシーズンを締めくくることができて幸運に思うよ。
―2022年に肩甲骨と肋骨を骨折し、再起をかけた今シーズンは2月のフォーン・アルデシュ・クラシックで勝利、6月のクリテリウム・デュ・ドーフィネでも区間優勝と復活を印象付けましたね。
昨年の難しいシーズンを越え、今年はモチベーションが高かった。特にドーフィネでのステージ勝利は「ようやく勝つレベルに戻ってくることができた」と特別な感情になったよ。しかし、本当に重要なのはそれをシーズン通して維持すること。今年はカムバックできた満足のシーズンと言えるものの、来年は更に高いレベルを目指している。
―イル・ロンバルディア(10月7日)ではレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のアシストを担っていました。もちろんアシストという立場には満足していないのでしょうか?
もちろんエースで走ることは好きだが、同時に僕は現実主義者なんだ。イル・ロンバルディアでの自分のコンディションでは、チームメイトのサポートに回った方が賢明だと判断した。だからレムコとイラン(ファンウィルデル)、そして2位に入ったバジオーリのアシストをしたんだ。自分のために走ってトップ10に入ることは個人的に良いレースだった言えるが、僕らは常にチームが勝つために走っているからね。
―アシストという役割に対してフラストレーションなどはなかったのでしょうか?
全くない。それがプロ選手としての仕事だからね。自分のレベルが100%でなければ、すぐに(考えをアシストに)スイッチすることができる。それに僕が100%の時はチームメイトがサポートしてくれる。僕がそのコンディションにないのであれば彼らをサポートすることの自然なことだ。
―それはプロキャリアの初期から同じスタンスなのでしょうか?
もちろん。プロになった1年目から僕はチームのために走っている。
―まさに真のエースという振る舞いですね。
僕は常に若手選手たちにアドバイスを送り、彼らのサポートも厭わない。もちろんエースとして「勝利を求められるプレッシャー」を感じながら走ることは好きだ。だが当時に自分が勝てない状態であると分かればサポートに回るよ。だからイル・ロンバルディアではバジオーリを勝たせるために全力を尽くした。僕自身が例え15位でフィニッシュしたところで何の意味もないからね。
―エヴェネプールはもちろん、その同世代であるバジオーリやファンウィルデルなど、スーダル・クイックステップから次から次へと強い選手が現れるのはなぜでしょうか?
モチベーションが高く、常にチーム一丸となり勝利を目指す唯一無二のスピリットがあるからだろう。それはバジオーリという選手からも見て取れる。彼は強いのにもかかわらずチームへの献身を厭わない。イラン(ファンウィルデル)についても同じ。強い選手が揃ったチームが一丸となりより強い選手を勝利へと導くという、今の自転車界で重要なマインドだ。
僕らの強さに秘密はなく、その走り方を徹底しているだけ。それに近年は特に勝利が難しくなっており、エースだけではなくアシストも全力を尽くさないければ勝てないようになったからね。
―それはあなたがチームに入った当初(2013年)から徹底されていることなのでしょうか?
僕がチームに加入する前から、そのスピリットは一貫している。
―昨年からチームの総合エースへと成長したエヴェネプールですが、エースとしての立ち振舞いなど直接アドバイスすることはありますか?
何もない。彼は彼の思ったことをするタイプで、自身の目標に向かって努力できる選手。グランツールや1週間程度のステージレースで総合優勝を狙う才能は、僕よりも優れている。そもそも脚質が違うので彼にアドバイスできる事なんてない。
ただ、レース中に「もっと落ち着け」ということはあるけどね(笑)。これは僕自身も同じだが、彼はこの数年で本当に多くのことを学んだと思うよ。
―最後に、2024年に向けた抱負をお願いします。
常に地に足つけてプロ生活を送らなければならないと思っている。どれだけ良いレースを勝とうが、浮足立ってはいけない。例え前年にそのレースを勝っていたとしても、自転車レースは常に未知なることが起きるもの。だから僕は新しいシーズンを始めるたびに「これが現役最後のシーズンだ」と思って臨んでいるんだ。
text:Sotaro.Arakawa
再起を懸けた今年、そして来年は更なる高みへ
―日本に到着した羽田空港から、大勢のファンによる歓迎があったと聞きました。ここまでの日本のファンに対する印象は?
ジュリアン・アラフィリップ:日本でこれほど多くの人に歓迎してもらえるとは思っていなかった。驚きという意味でも、日本という場所でシーズンを締めくくることができて幸運に思うよ。
―2022年に肩甲骨と肋骨を骨折し、再起をかけた今シーズンは2月のフォーン・アルデシュ・クラシックで勝利、6月のクリテリウム・デュ・ドーフィネでも区間優勝と復活を印象付けましたね。
昨年の難しいシーズンを越え、今年はモチベーションが高かった。特にドーフィネでのステージ勝利は「ようやく勝つレベルに戻ってくることができた」と特別な感情になったよ。しかし、本当に重要なのはそれをシーズン通して維持すること。今年はカムバックできた満足のシーズンと言えるものの、来年は更に高いレベルを目指している。
―イル・ロンバルディア(10月7日)ではレムコ・エヴェネプール(ベルギー)のアシストを担っていました。もちろんアシストという立場には満足していないのでしょうか?
もちろんエースで走ることは好きだが、同時に僕は現実主義者なんだ。イル・ロンバルディアでの自分のコンディションでは、チームメイトのサポートに回った方が賢明だと判断した。だからレムコとイラン(ファンウィルデル)、そして2位に入ったバジオーリのアシストをしたんだ。自分のために走ってトップ10に入ることは個人的に良いレースだった言えるが、僕らは常にチームが勝つために走っているからね。
―アシストという役割に対してフラストレーションなどはなかったのでしょうか?
全くない。それがプロ選手としての仕事だからね。自分のレベルが100%でなければ、すぐに(考えをアシストに)スイッチすることができる。それに僕が100%の時はチームメイトがサポートしてくれる。僕がそのコンディションにないのであれば彼らをサポートすることの自然なことだ。
―それはプロキャリアの初期から同じスタンスなのでしょうか?
もちろん。プロになった1年目から僕はチームのために走っている。
―まさに真のエースという振る舞いですね。
僕は常に若手選手たちにアドバイスを送り、彼らのサポートも厭わない。もちろんエースとして「勝利を求められるプレッシャー」を感じながら走ることは好きだ。だが当時に自分が勝てない状態であると分かればサポートに回るよ。だからイル・ロンバルディアではバジオーリを勝たせるために全力を尽くした。僕自身が例え15位でフィニッシュしたところで何の意味もないからね。
―エヴェネプールはもちろん、その同世代であるバジオーリやファンウィルデルなど、スーダル・クイックステップから次から次へと強い選手が現れるのはなぜでしょうか?
モチベーションが高く、常にチーム一丸となり勝利を目指す唯一無二のスピリットがあるからだろう。それはバジオーリという選手からも見て取れる。彼は強いのにもかかわらずチームへの献身を厭わない。イラン(ファンウィルデル)についても同じ。強い選手が揃ったチームが一丸となりより強い選手を勝利へと導くという、今の自転車界で重要なマインドだ。
僕らの強さに秘密はなく、その走り方を徹底しているだけ。それに近年は特に勝利が難しくなっており、エースだけではなくアシストも全力を尽くさないければ勝てないようになったからね。
―それはあなたがチームに入った当初(2013年)から徹底されていることなのでしょうか?
僕がチームに加入する前から、そのスピリットは一貫している。
―昨年からチームの総合エースへと成長したエヴェネプールですが、エースとしての立ち振舞いなど直接アドバイスすることはありますか?
何もない。彼は彼の思ったことをするタイプで、自身の目標に向かって努力できる選手。グランツールや1週間程度のステージレースで総合優勝を狙う才能は、僕よりも優れている。そもそも脚質が違うので彼にアドバイスできる事なんてない。
ただ、レース中に「もっと落ち着け」ということはあるけどね(笑)。これは僕自身も同じだが、彼はこの数年で本当に多くのことを学んだと思うよ。
―最後に、2024年に向けた抱負をお願いします。
常に地に足つけてプロ生活を送らなければならないと思っている。どれだけ良いレースを勝とうが、浮足立ってはいけない。例え前年にそのレースを勝っていたとしても、自転車レースは常に未知なることが起きるもの。だから僕は新しいシーズンを始めるたびに「これが現役最後のシーズンだ」と思って臨んでいるんだ。
text:Sotaro.Arakawa
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