ヨーロッパでのUCIワールドツアーを締めくくるイル・ロンバルディアが、本日10月8日(土)に開催される。昨年とは逆のコモからベルガモに至るコースや、3連覇を狙うポガチャルやエヴェネプール、ログリッチなど有力選手をプレビューする。



昨年のスタート地点であるベルガモが、今年のフィニッシュ地点となる photo:CorVos

2月に幕を開けたヨーロッパでのUCIワールドツアーは、今年もイル・ロンバルディア(別名ジロ・ディ・ロンバルディア)で締めくくられる。初開催が1905年まで遡る伝統あるイタリアのワンデーレースは自転車選手ならば誰しもが憧れる「モニュメント(5大クラシック)」の一つ。そして秋に開催されることから「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」とも呼ばれる。

獲得標高4,646mのサバイバル 勝負所はガンダ峠

スタートとフィニッシュが年によって入れ替わる本大会。今年は昨年とは逆のコモからベルガモに向かう伝統的なコースレイアウトで争われる。238kmコースは序盤にまずサイクリストの聖地「マドンナ・デル・ギザッロ教会」の丘を登り、続いてロンコラとベルベンノを立て続けにクリア。その後、残り87.1kmから始まるクロチェッタとザンブラを越えていく。

イル・ロンバルディア2023 コースプロフィール image:RCS Sport

勝負所となるのは残り40.6kmから登坂するパッソ・ディ・ガンダ(距離9.2km/平均7.3%)で、頂上手前に設定された最大勾配15%がアタックを誘発する。そこからベルガモのフィニッシュラインに向かうまでは下りと平坦路。同じコースで争われた2021年では、ガンダ峠で仕掛けたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)に下りでファウスト・マスナダ(イタリア、スーダル・クイックステップ)がジョイン。スプリントの末にポガチャルが先着し、自身初の優勝を手に入れた。



好調エヴェネプールvs3連覇を狙うポガチャル

3連覇を狙うタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

今大会でゼッケン1をつけるのは2022年のベルガモ・スタートと2021年のコモ・スタートの両方で優勝経験のあるポガチャル。今年の春はロンド・ファン・フラーンデレンの初制覇を皮切りに、アムステルゴールドレースとラ・フレーシュ・ワロンヌで優勝する圧巻の強さを見せた。

ツール・ド・フランスの後は、ロード世界選手権や前哨戦であるジロ・デッレミリアの優勝を目前で逃したポガチャル。そのため「3連覇の達成は難しい」というのが大方の予想だが、本来持つ走りのキレを取り戻すことができれば、独走やスプリントなどあらゆるシナリオからでも勝利を狙える強さは誰しもが知る所。また優勝候補でもあるアダム・イェーツ(イギリス)やマルク・ヒルシ(スイス)など強力布陣にも注目だ。

そのポガチャルを抑え、現地メディアが優勝候補筆頭に挙げるのがベルギー王者レムコ・エヴェネプール(スーダル・クイックステップ)だ。区間3勝と山岳賞に輝いたブエルタ・ア・エスパーニャ後、TT世界王者は約3週間の休息を経て初タイトルに臨む。今春はステージレースに注力していたが、唯一出場したリエージュ~バストーニュ~リエージュでしっかりと2連覇を達成。ロード世界選手権は脚質に合わず逃したものの、クラシカ・サンセバスティアンでは自身3度目の優勝を飾るなどワンデーレースでは無類の強さを誇っている。

アシストにもジュリアン・アラフィリップ(フランス)やアンドレア・バジオーリ(イタリア)を揃えるなど死角はなく、またユンボ・ヴィスマとの合併の破談報道が追い風となるか。

ブエルタにて区間3勝を手に入れたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

前哨戦ジロ・デッレミリアではポガチャルを下したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

そして三つ巴の一角をなすのが前日にボーラ・ハンスグローエへの移籍を発表したプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)。最高位はコモをスタートした2021年の4位だが、直近のジロ・デッレミリアではポガチャルを下して優勝するなど調子は上場。チームメイトにもティシュ・ベノート (ベルギー)やアッティラ・ヴァルテル(ハンガリー)など心強いメンバーがサポートする。

その他にはエンリク・マス(スペイン、モビスター)やアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)、ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)に注目。また今年ブレイクを果たしたベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)もプロトンが注意を払う選手の一人だ。

ツール第20ステージにて、最後から2つ目の山岳で単独となったティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

そして2018年大会を制し、今年限りでの引退を発表したティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)は、これが現役最後のレースとなる。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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