毎年コースが変わることで知られるグラン・ピエモンテは、4名によるスプリントで決着。来年リドル・トレックに移籍するアンドレア・バジオーリ(イタリア)がヒルシらを退け、合併問題に揺れるスーダル・クイックステップに勝利をもたらした。



ジャパンカップに出場予定のアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

モニュメントの一つであるイル・ロンバルディアの2日前、同じイタリアで最後の前哨戦とも言われるグラン・ピエモンテが開催された。舞台となったのはボルゴフランコ・ディヴレーアからファヴリアに向かう比較的距離の短い152kmだ。

1906年に初開催され、今年で107回目を数える歴史深いレースは毎年そのコースが変わることで知られている。そのため過去の優勝者にはスプリンターのソンニ・コルブレッリ(イタリア)やクライマーのエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)など様々な脚質の選手が並び、昨年は登りでクライマーに食らいついたイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が制した。そして今年はコース後半から4つの山岳が登場するパンチャー向きのレイアウトとなった。

スタート地点に集ったのは10月8日(日)の第2回グラベル世界選手権に臨むワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)やイル・ロンバルディアを控えるマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)たち。序盤にマイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)を含む14名の逃げ集団が形成され、それをユンボ・ヴィスマが中心となるメイン集団が追いかけた。

グラベル世界選手権を目指すワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos
落車し、リタイアしたハイス・レームライゼ(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos


ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)ら4名に絞られた逃げ集団 photo:CorVos

この日3つ目にして最高難度のアルペッテ(距離5km/平均8.8%)に入り、逃げとプロトンの差は1分15秒。その頂上を越え、続く山岳を越える頃に先頭はダヴィデ・フォルモロ(イタリア、UAEチームエミレーツ)やルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)ら4名となり、ファンアールトが遅れたプロトンはスーダル・クイックステップが中心の牽引。そして残り18kmで逃げを吸収し、集団が再び一つになった。

相変わらずクイックステップがコントロールする集団から、マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)がアタック。それにアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が反応し、今年もジャパンカップに参戦予定のギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)とアレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター)の4名が先頭集団を形成する。

終盤で先頭集団を形成したマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)ら4名 photo:CorVos

最終ストレート手前で集団落車の発生した追走集団は先頭4名を引き戻すことができず、勝負はスプリントへ。ヒルシが先んじて腰を上げ、それを横目に見たバジオーリが反応。マルタンとアランブルがスプリントを諦めるなか、ヒルシとの争いを地元イタリア出身のバジオーリが制した。

バジオーリとヒルシによるスプリントバトル photo:CorVos

勝利を掴んだアンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

イラン・ファンウィルデル(ベルギー)が優勝した10月3日のトレ・ヴァッリ・ヴァレジーネに続き、イタリアのワンデーレースを制したスーダル・クイックステップ。ユンボ・ヴィスマとの合併問題に揺れるチームに勝利をもたらしたバジオーリは、「このチームには良い選手が揃っている。その選手たちが一丸となれば、ワンデーレースで勝利を量産した数年前のような活躍ができるはず。大きな問題(チーム合併)の行方は不透明だが、僕らの気持ちはトレ・ヴァッリ・ヴァレジーネで勝利したイラン(ファンウィルデル)が代弁してくれた。僕らは前に進みたいだけだ」と複雑な胸中を言葉にした。

なお、4着でフィニッシュしたマルタンにはレース中に規則違反のポジションで走行したとして、失格処分が下されている。

グラン・ピエモンテ2023表彰台:2位ヒルシ、1位バジオーリ、3位アランブル photo:CorVos

グラン・ピエモンテ2023結果
1位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) 3:20:25
2位 マルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)
3位 アレクサンデル・アランブル(スペイン、モビスター)
4位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) +0:11
5位 ルイ・コスタ(ポルトガル、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
6位 ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
7位 マルティン・マルチェルージ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ) +0:16
8位 アロルド・テハダ(コロンビア、アスタナ・カザフスタン)
9位 アントニオ・ティベーリ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
10位 ニック・シュルツ(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)
52位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) +3:37
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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