2023/09/07(木) - 08:00
平坦路から最後に1級山岳が用意されたブエルタ第11ステージで、逃げに乗ったヘスス・エラダ(コフィディス)がスペインに区間優勝をもたらす。クイックステップがアタックを抑制したメイン集団では、セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がこの日もマイヨロホ保持に成功した。
9月6日(水)第11ステージ
レルマ〜ラ・ラグナ・ネグラ(ヴィヌエサ) 168.2km(平坦/山頂フィニッシュ)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージの分類は平坦。しかしフィニッシュ手前には登りが、それも最大勾配14%の1級山岳が待ち受ける。レルマから西の山岳地帯に向けて平坦路を進み、残り18.2kmの中間スプリントを挟んで1級山岳ラ・ラグナ・ネグラ(距離6.5km/平均6.8%)を登り詰める。
頂上に向けて徐々に勾配は上がり、ラスト1km地点の手前に最大14%が登場。その後は平均11.2%の斜面を登りながら13%の急坂を越えてフィニッシュする。山岳決戦の舞台であるピレネー山脈に向けた移動ステージとなったこの日は、大方の予想通り逃げが躍動するステージとなった。
太陽を遮る雲が気温の上昇を抑え、気温25度のなか午後1時26分にレースがスタートする。直後に総合8位のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が落車したものの、バイク交換とレースドクターによる治療を受け無事にレースに復帰。アクチュアルスタートが切られると逃げを目指す選手たちがアタックを繰り広げ、ハイペースのまま60kmを通過。そして26名による大規模な逃げグループが形成された。
AG2Rシトロエンがドリアン・ゴドン(フランス)ら3名を入れた集団には、総合争いから脱落したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が入った。トーマスは大会3日目の山岳ステージから出遅れ、前日の個人タイムトライアルでもメカトラでタイムを失う不運に見舞われる。そのため7分16秒遅れ(36位)となったトーマスは、前日勝者のフィリッポ・ガンナ(イタリア)と共にステージ優勝を目指した。
一方、逃げに5分差を許したメイン集団はリーダーチームであるユンボ・ヴィスマがコントロールを担う。長らく続いたアタック合戦により平均スピードが46.5km/hに達するなか、14度目のブエルタを走るルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・カザフスタン)を含む逃げ集団は、残り20km地点でプロトンとの差を6分まで拡げた。
残り18.2km地点に設定された中間スプリントをジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)が先頭通過し、いよいよ1級山岳ラ・ラグナ・ネグラ(距離6.5km/平均6.8%)に近づいていく。ユリウス・ヨハンセン(デンマーク、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)の単独アタックを引き戻した逃げ集団からは、今大会3度目の逃げに乗ったポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)が山岳の手前で仕掛けた。
それを集団から飛び出したアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)が追い、トーマスのために牽引するガンナが山岳の序盤でクロンとウルスランをキャッチ。ガンナの高速牽引によって選手たちが続々と遅れていき、そのハイペースはフィニッシュ手前1.5kmまで続いた。
ガンナが牽引を終え、第9ステージでも逃げから勝利に迫ったヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック。しかしトーマスが自らこれを潰し、グルパマFDJが唯一2名を残す8名の先頭集団は牽制に入る。そして勾配が平均10%を超えるフラムルージュ(残り1km)手前で、カイセドが2度目のアタックを仕掛けた。
ここもトーマスが自ら差を縮め、残り300mからヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が加速する。これにトーマスは反応できず、ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)とクロンが追従する3名はカイセドをパス。スタミナの差を見せつけ軽快なダンシングを披露したエラダが後続を引き離し、自身3度目となるブエルタ区間優勝を手に入れた。
大会11日目にして地元スペインに勝利をもたらしたエラダ。「スーパーハッピーだ。ステージ優勝が僕たちチームの目標で、それを第2週目に達成することができて本当に嬉しい。厳しい戦いの中で全力を出した。最後の登りが僕に適していると思っており、ゲラント・トーマスなど有力な選手がいるなか自分の強みを発揮することができた。この勝利はスタートとフィニッシュ地点に来てくれた父に捧げたい」と勝利に加え、マイヨモンターニャ(山岳賞)を獲得したエラダは喜んだ。
先頭集団から約6分遅れで最終山岳に突入したプロトンは、総合3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)を擁するスーダル・クイックステップが先頭で選手を横に並べアタックを抑制する。総合順位を上げたいキアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)とヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出したものの、フィニッシュ手前でエヴェネプールとマイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がキャッチ。そのため総合上位勢は同タイムとなり、順位の変動はなかった。
9月6日(水)第11ステージ
レルマ〜ラ・ラグナ・ネグラ(ヴィヌエサ) 168.2km(平坦/山頂フィニッシュ)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャ第11ステージの分類は平坦。しかしフィニッシュ手前には登りが、それも最大勾配14%の1級山岳が待ち受ける。レルマから西の山岳地帯に向けて平坦路を進み、残り18.2kmの中間スプリントを挟んで1級山岳ラ・ラグナ・ネグラ(距離6.5km/平均6.8%)を登り詰める。
頂上に向けて徐々に勾配は上がり、ラスト1km地点の手前に最大14%が登場。その後は平均11.2%の斜面を登りながら13%の急坂を越えてフィニッシュする。山岳決戦の舞台であるピレネー山脈に向けた移動ステージとなったこの日は、大方の予想通り逃げが躍動するステージとなった。
太陽を遮る雲が気温の上昇を抑え、気温25度のなか午後1時26分にレースがスタートする。直後に総合8位のフアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)が落車したものの、バイク交換とレースドクターによる治療を受け無事にレースに復帰。アクチュアルスタートが切られると逃げを目指す選手たちがアタックを繰り広げ、ハイペースのまま60kmを通過。そして26名による大規模な逃げグループが形成された。
AG2Rシトロエンがドリアン・ゴドン(フランス)ら3名を入れた集団には、総合争いから脱落したゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が入った。トーマスは大会3日目の山岳ステージから出遅れ、前日の個人タイムトライアルでもメカトラでタイムを失う不運に見舞われる。そのため7分16秒遅れ(36位)となったトーマスは、前日勝者のフィリッポ・ガンナ(イタリア)と共にステージ優勝を目指した。
一方、逃げに5分差を許したメイン集団はリーダーチームであるユンボ・ヴィスマがコントロールを担う。長らく続いたアタック合戦により平均スピードが46.5km/hに達するなか、14度目のブエルタを走るルイスレオン・サンチェス(スペイン、アスタナ・カザフスタン)を含む逃げ集団は、残り20km地点でプロトンとの差を6分まで拡げた。
残り18.2km地点に設定された中間スプリントをジョエル・ニコラウ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA)が先頭通過し、いよいよ1級山岳ラ・ラグナ・ネグラ(距離6.5km/平均6.8%)に近づいていく。ユリウス・ヨハンセン(デンマーク、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)の単独アタックを引き戻した逃げ集団からは、今大会3度目の逃げに乗ったポール・ウルスラン(フランス、トタルエネルジー)が山岳の手前で仕掛けた。
それを集団から飛び出したアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)が追い、トーマスのために牽引するガンナが山岳の序盤でクロンとウルスランをキャッチ。ガンナの高速牽引によって選手たちが続々と遅れていき、そのハイペースはフィニッシュ手前1.5kmまで続いた。
ガンナが牽引を終え、第9ステージでも逃げから勝利に迫ったヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)がアタック。しかしトーマスが自らこれを潰し、グルパマFDJが唯一2名を残す8名の先頭集団は牽制に入る。そして勾配が平均10%を超えるフラムルージュ(残り1km)手前で、カイセドが2度目のアタックを仕掛けた。
ここもトーマスが自ら差を縮め、残り300mからヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)が加速する。これにトーマスは反応できず、ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ)とクロンが追従する3名はカイセドをパス。スタミナの差を見せつけ軽快なダンシングを披露したエラダが後続を引き離し、自身3度目となるブエルタ区間優勝を手に入れた。
大会11日目にして地元スペインに勝利をもたらしたエラダ。「スーパーハッピーだ。ステージ優勝が僕たちチームの目標で、それを第2週目に達成することができて本当に嬉しい。厳しい戦いの中で全力を出した。最後の登りが僕に適していると思っており、ゲラント・トーマスなど有力な選手がいるなか自分の強みを発揮することができた。この勝利はスタートとフィニッシュ地点に来てくれた父に捧げたい」と勝利に加え、マイヨモンターニャ(山岳賞)を獲得したエラダは喜んだ。
先頭集団から約6分遅れで最終山岳に突入したプロトンは、総合3位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー)を擁するスーダル・クイックステップが先頭で選手を横に並べアタックを抑制する。総合順位を上げたいキアン・アイデブルックス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)とヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出したものの、フィニッシュ手前でエヴェネプールとマイヨロホを着るセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がキャッチ。そのため総合上位勢は同タイムとなり、順位の変動はなかった。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第11ステージ結果
1位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 3:29:17 |
2位 | ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) | +0:03 |
3位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー) | +0:08 |
4位 | ヨナタン・カイセド(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:12 |
5位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:19 |
6位 | ペラヨ・サンチェス(スペイン、ブルゴスBH) | +0:24 |
7位 | ルディ・モラール(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | ニコラ・プロドム(フランス、AG2Rシトロエン) | +0:27 |
9位 | ドリアン・ゴドン(フランス、AG2Rシトロエン) | +0:58 |
10位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +1:16 |
30位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +5:50 |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | 39:27:45 |
2位 | マルク・ソレル(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +0:26 |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +1:09 |
4位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:36 |
5位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +2:02 |
6位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +2:16 |
7位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | +2:22 |
8位 | フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ) | +2:25 |
9位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | +2:50 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:14 |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 158pts |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 79pts |
3位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー) | 77pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) | 22pts |
2位 | エドゥアルド・セプルベダ(アルゼンチン、ロット・デスティニー) | 21pts |
3位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 20pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 39:28:54 |
2位 | レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ) | +0:53 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:07 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 117:51:25 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +0:57 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +7:27 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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