三重県の鈴鹿サーキットで国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」が8月19日と20日に開催された。1,648名が参加した2時間エンデュランスやタイムトライアル種目、様々なカテゴリーで実施されたロードレース、小学生以下を対象としたミルキーなど、多くのサイクリストたちが集まった2日間をレポートしよう。



三重県の鈴鹿サーキットで国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」が開催された photo:Michinari TAKAGI

8月19日と20日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された国内最大のロードレースイベント「シマノ鈴鹿ロード」。両日ともに青空が広がる絶好の自転車日和。2日間の自転車祭りの幕を上げる開会式には主催者であるシマノの取締役社長の島野泰三氏が登壇し、世界最大の自転車部品メーカーがイベントに懸ける想いを込めた挨拶が行われた。

両日ともに最低気温は25℃、最高気温は33℃、降水確率は0%と100%の晴れ予報。夏らしい日差しが強く、サーキット特有の路面からの照り返しも強く、体感温度はそれ以上の気温に感じるほどの真夏日に。今年の夏は例年よりも過酷なものに感じる気がするのは、私だけだろうか。

開会式にはシマノの取締役社長である島野泰三氏が駆け付けた photo:Michinari TAKAGI

スタートを待つ小学生女子カテゴリーの選手たち photo:Michinari TAKAGI
勢いよくスタートをしていく photo:Michinari TAKAGI


スタート前に親子で一枚 photo:Michinari TAKAGI
我が子のスタートを待つ親御さん photo:Michinari TAKAGI


小学生カテゴリーの白熱したゴールスプリント photo:Michinari TAKAGI
シマノ鈴鹿ロードレースクラシック女子を制した髙橋由佳(バルバクラブエチゼン) photo:Michinari TAKAGI


どのカテゴリーもチャンピオンジャージが用意された photo:Michinari TAKAGI

あらゆるサイクリストが分け隔てなく自転車の楽しみを味わえるイベントとして、初級者から上級者まで、個人種目やチーム種目の多くの種目が用意されているのが、シマノ鈴鹿ロードの特徴。さらに、小学生や中学生、エリート、マスターズなど年代別のカテゴリーが用意されるなど、老若男女を問わず気軽に参加できるのも人気イベントであるポイントだ。

更に、レース未経験者のために、体験レースというカテゴリーも用意され、2日間で4レースが行われた。サーキットは公道のロードレースやクリテリウムと違って、コース幅は非常に広く、モータースポーツサーキットであるため、路面も綺麗で走りやすい。レース未経験の方は来年チャレンジしてみてはいかがだろうか。

参加者が一番多い2時間エンデュランスがスタート photo:Michinari TAKAGI

YouTuberのまさくんが率いるMAS×SAURUSがエンデューロに参加し、まさくんが2位を獲得 photo:Michinari TAKAGI

ダンロップコーナーを駆け抜けていくエンデューロの大集団 photo:Michinari TAKAGI
エンデューロのピットの様子 photo:Michinari TAKAGI


大会の中で最も参加者が多い種目となるのは、走者交代しながら一人ずつ走行する2時間エンデュランス。ソロと2~4人チーム、レディース、JCF登録とカテゴリーも多く、1,648名が参加した人気種目だ。優勝や入賞を目指すも良し、家族やサイクリング仲間と楽しみながら完走を目指すなど、目標は参加者によって様々であるのも、多くの参加者が集まる理由だろう。

ホームストレートからシケインに向かって大集団が登ってくる様子は圧巻の景色だ。先導バイクが通過してから2~3分経っても、サイクリストの波が押し寄せ続ける様子に、参加者の多さを感じる大人気イベントに感じる。使用する車種も様々で、ロードバイクやシクロクロス、グラベルバイク、クロスバイクなど多種多様なバイクで参加している様子だった。

ハンドサイクルのエキシビションレースが開催された photo:Michinari TAKAGI

体験レースなど初心者でも参加しやすい種目を用意 photo:Michinari TAKAGI
UCIワールドチームと同じ仕様のTTバイクで参戦 photo:Michinari TAKAGI


珍しい車種と言えば、ハンドサイクルによるエキシビションレースも開催された。着座位置が低い競技用ハンドサイクルが鈴鹿サーキットを疾走する様子はまるでモータースポーツを見ているかのよう。バイクのカスタムも十人十色で、ロードバイクでおなじみのパーツだけでなく初めて見るようなパーツも装着されており、機材面でも非常に興味をそそられる。

普段見る機会が少ないという意味では、TTバイクの姿が珍しくないのもシマノ鈴鹿ロードのユニークなポイント。国内でロードレースやヒルクライムイベントは日本全国で開催されているが、タイムトライアルの大会は片手で数えるほどしか開催されていないのが実情。シマノ鈴鹿では個人タイムトライアルに加え、チームタイムトライアルも開催され、TT好きのサイクリストにとってはまたとないイベントになっている。

個人タイムトライアル決勝ではサンドゥ・ヨノツ(ルーマニア、洛和会)が優勝 photo:Michinari TAKAGI

夕暮れと共に、個人タイムトライアルで戦った仲間と記念写真 photo:Michinari TAKAGI

個人タイムトライアルは予選と決勝を実施。予選は2.2kmの東コースで行い、上位20人が5.8kmのフルコースで行われる順位決定戦に進出することができる。そして、大会1日目の最終種目として行われる決勝のタイムで順位が決まる。

個人タイムトライアル決勝ではサンドゥ・ヨノツ(ルーマニア、洛和会)が平均時速47.63kmで最速タイムを叩き出し、優勝を決めた。「コロナ前の開催は3位、昨年は2位でした。そして、リベンジした今年は優勝できて、とても嬉しい!」とコメントし、チームメイトや競い合ったライバルたちと喜びを分かち合っていた。

JCF登録のチームTTを制した宇都宮ブリッツェン photo:Michinari TAKAGI

2位はJCL TEAM UKYO photo:Michinari TAKAGI
ホストチームのシマノレーシングは4位 photo:Michinari TAKAGI


チームタイムトライアルではJCF登録、JCF未登録、レディースの3カテゴリーが開催された。JCF登録にはシマノレーシングチームやチームブリヂストンサイクリング、宇都宮ブリッツェン、JCL TEAM UKYOなど、国内プロチームを始め、全国のアマチュアチームやショップチームが参戦した。

JCF登録では阿部嵩之や谷順成、小野寺玲、本多晴飛で編成された宇都宮ブリッツェンが平均時速51.06kmをマーク。トップタイムを叩き出し、見事優勝を決めた。2位はJCL TEAM UKYO、3位はチームブリヂストンサイクリング、4位はシマノレーシングチームと続いた。

真夏の乙女たちの皆さん photo:Michinari TAKAGI
おしゃれなチームジャージのHum系女子の皆さん photo:Michinari TAKAGI


登りのホームストレートはチームで息を合わせて photo:Michinari TAKAGI
チームTTレディースAの表彰式 photo:Michinari TAKAGI


なんと、表彰式でサプライズプロポーズが行われました! photo:Michinari TAKAGI

サプライズプロポーズもチームTTレディースAも最高の形で終えたバルバクラブの皆さん photo:Michinari TAKAGI

レディースカテゴリーは14チームがチームタイムトライアルに参戦し、1位はバルバレーシングクラブ エチゼン、2位はバルバクラブタカオカ44、3位はHum系女子。そして、表彰式では「優勝したら、表彰台でプロポーズすると決めていました」というバルバレーシングクラブ エチゼンの野添さんがサプライズプロポーズを行い、プロポーズは成功。会場は2人を祝福する拍手が起こり、幸せムードが会場を包み込んでいった。末永くお幸せに!

会場では至る所に熱中症対策の取り組みが見受けられた。計測チップの回収テントからすぐ近くにシャワーコーナーが用意され、走り切った火照った身体をアイシングしたり、汗を流したりして、利用する参加者が非常に多かった。また、参加者には受付時にドリンクの引替券が配られ、よく冷えたスポーツドリンクが配布されていた。

ハンディーファンや日傘で子供たちを涼ませる photo:Michinari TAKAGI

シャワーコーナーが用意された photo:Michinari TAKAGI
参加者にはスポーツドリンクが配られた photo:Michinari TAKAGI


西ストレートには給水ポイントが photo:Michinari TAKAGI

西ストレートにもシャワーゾーンがあった photo:Michinari TAKAGI

2時間エンデュランスなどでは西コースのピットに給水場とシャワーゾーンが用意され、多くの参加者が立ち寄っていた。真夏のサーキットの暑さは過酷。取材しているだけで走っている訳ではない私ですらかなり疲労が溜まり、こまめな水分補給と熱中症対策の重要さを体感した。日陰で休む参加者や、応援するチームメイトや観戦者は帽子を被り、日焼け止めを塗っている様子。レース以外の待機時間でも熱中症対策は欠かせない。

2日に渡って続いたシマノ鈴鹿ロードレースを締めくくる閉会式の前、最後に開催される種目が、0~6歳までの小学校入学前の子どもたちによるミニレース、「ミルキー」だ。ベビーカーやランニングバイク、補助輪付きの自転車でも参加でき、ゴール後には参加賞もプレゼントされる、ある意味最も充実したクラス。サーキット内で写真やビデオを撮影することも出来るので、家族の思い出作りにぴったりだ。

ベビーカーやランニングバイク、補助輪付きの自転車でも参加できる、最終種目のミルキー photo:Masanao Tomita

解説や実況のDJがらぱや絹代さん、2日間お疲れ様でした! photo:Michinari TAKAGI

イベント開催期間の2日間は予報通りに雨が降ることもなく、終始青空の自転車日和で無事終了した。イベントから帰る参加者の表情を見ていると、達成感と満足感に満ち溢れている様子。気心の知れたチームメイトや仲間たちと一緒にこういったイベントに参加するのはやっぱり良いものだな、と実感する。

そして最後にスタッフとして大会を作り上げた主催者であるシマノのみなさんたちと記念撮影。ファインダー越しには達成感や安堵した大会実行委員の皆さんの笑顔が広がっていた。多くの方々によって、作り上げられているシマノ鈴鹿ロード。来年もまたパワーアップしたイベントが開催されることを期待しています!

ファインダー越しには達成感や安堵した大会実行委員の皆さんの笑顔が広がっていた photo:Michinari TAKAGI


text:Michinari TAKAGI
photo :Michinari TAKAGI、Masanao Tomita

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