2023/08/28(月) - 08:45
悪天候により残り9km地点で総合タイムが計測されたブエルタ2日目。急坂で飛び出したアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)が勝利し、グランツールデビューのアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)がマイヨロホに袖を通した。
8月27日(日)第2ステージ
マタロ〜バルセロナ 181.8km(丘陵)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャの2日目は、フィニッシュ手前に急坂が設定された丘陵ステージ。前日のフィニッシュ地点であるムンジュイック公園をスタート直後に3級山岳を越え、緩やかに高度を上げながら2級山岳エステナレス(距離12.1km/平均3.9%)を登坂。下り基調でカテゴリーのつかない2つの丘をクリアし、バルセロナ市街地に引かれたフィニッシュへと戻っていく。
勝負所となるのは残り4.7kmから始まる3級山岳ムンジュイック城(距離0.9km/平均9.4%)。その頂上から1度下り、フィニッシュ地点は登り返した先にある。
前日に引き続きこの日のレースも雨模様。そのためレース主催者は3級山岳ムンジュイック城の手前である「残り9km地点で総合タイムの計測をする措置」を発表し、ボーナスタイムに関しては変わらずフィニッシュした上位3名に付与されることになった。
序盤にマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)や22歳のアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出し、ハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン)が今大会最初のカテゴリー山岳である3級を先頭通過。その下りでイェツセ・ボル(オランダ、ブルゴスBH)が追いつき、5名の逃げグループが形成された。
一時は3分を超えるリードを得た逃げ集団は、DSM・フィルメニッヒの先導するメイン集団によって2分前後に抑え込まれる。続く2級山岳エステナレスはソブレロが先頭通過し、狙い通りマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を獲得。一方のプロトンでは前日にレースの安全性を声高に訴えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がパンクで遅れたものの、無事に集団復帰をしている。
レース後半に入っても約2ヶ月振りという雨により、落車が続出する。プロトンではカラム・スコットソン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)とペラヨ・サンチェス(スペイン、ブルゴスBH)が地面に叩きつけられ、その後オスカー・オンレー(イギリス、DSM・フィルメニッヒ)もタイヤを滑らせ落車。それにより、これがグランツールデビューだった20歳オンレーは右鎖骨骨折によってレースを去った。
逃げ切りを目指してペースを上げる先頭集団からは2名が遅れ、ピッコロとソブレロ、ロモの3名が突き進む。それを1分27秒差で追いかけるメイン集団ではラウンドアバウトでルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)の落車にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とトーマスが巻き込まれる。それを無線で伝えられたユンボのディラン・ファンバーレ(オランダ)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は、エヴェネプールと共に集団にペースダウンを訴えた。
しかし逃げを捉えてステージ優勝を狙いたいDSM・フィルメニッヒとアルペシン・ドゥクーニンクが徐々にペースを上げ、単独落車して素早く復帰したピッコロを含む逃げ集団との差を1分まで縮める。強まる雨に落車の連鎖は止まらず、今度はバーレーン・ヴィクトリアスの総合エースであるサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)らが落車。ブイトラゴが集団に戻った一方で、スピードの上がるプロトンからはマイヨロホを着るロレンツォ・ミレージ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ)が遅れていった。
先頭からはソブレロが遅れ、総合タイムが計測される残り9km地点をピッコロが先頭で通過。しかし直後にグルパマFDなどステージ優勝を狙う約25名の先鋭集団が逃げをキャッチし、総合を狙うユンボ・ヴィスマやスーダル・クイックステップ、イネオス・グレナディアーズなどは危険回避のため踏むのを止めた。
最後の勝負所である3級山岳ムンジュイック城(距離0.9km/平均9.4%)に入り、レミ・ロシャス(フランス、コフィディス)が飛び出す。それを頂上手前でアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)が捉え、そのまま単独先頭に立つ。スプリントに持ち込みたいカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)やイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が追いかけたものの、ハイペースで踏み続けるクロンに届かない。そしてクロンが天を指差しながらフィニッシュラインを通過した。
「亡き母には申し訳ないが、この勝利はティール・デデッカーに捧げたい」と8月25日にトレーニング中の事故で命を落としたチームメイトのティール・デデッカー(ベルギー)への思いを語ったクロン。そして「ツールの出場を逃し、このブエルタに向けて厳しい練習を積み重ねてきた。だからこの勝利が意味するものは大きい。本当に嬉しいよ」と、自身初となるグランツールの区間優勝を喜んだ。
クロンはデンマーク出身の25歳。2021年に初出場したブエルタでは逃げから何度も勝利に迫ったものの、あと一歩のところで逃していた。
ミレージがメイン集団から遅れたため、マイヨロホはピッコロの手に。昨年のジャパンカップで2位に入った22歳は「今日の走りには満足している。自分を信じて走り、チームもまた僕を信じてくれた。そのおかげでスタート地点から狙っていたマイヨロホ獲得という目標が叶った」とコメントしている。
8月27日(日)第2ステージ
マタロ〜バルセロナ 181.8km(丘陵)
第78回ブエルタ・ア・エスパーニャの2日目は、フィニッシュ手前に急坂が設定された丘陵ステージ。前日のフィニッシュ地点であるムンジュイック公園をスタート直後に3級山岳を越え、緩やかに高度を上げながら2級山岳エステナレス(距離12.1km/平均3.9%)を登坂。下り基調でカテゴリーのつかない2つの丘をクリアし、バルセロナ市街地に引かれたフィニッシュへと戻っていく。
勝負所となるのは残り4.7kmから始まる3級山岳ムンジュイック城(距離0.9km/平均9.4%)。その頂上から1度下り、フィニッシュ地点は登り返した先にある。
前日に引き続きこの日のレースも雨模様。そのためレース主催者は3級山岳ムンジュイック城の手前である「残り9km地点で総合タイムの計測をする措置」を発表し、ボーナスタイムに関しては変わらずフィニッシュした上位3名に付与されることになった。
序盤にマッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)や22歳のアンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト)が飛び出し、ハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン)が今大会最初のカテゴリー山岳である3級を先頭通過。その下りでイェツセ・ボル(オランダ、ブルゴスBH)が追いつき、5名の逃げグループが形成された。
一時は3分を超えるリードを得た逃げ集団は、DSM・フィルメニッヒの先導するメイン集団によって2分前後に抑え込まれる。続く2級山岳エステナレスはソブレロが先頭通過し、狙い通りマイヨモンターニャ(山岳賞ジャージ)を獲得。一方のプロトンでは前日にレースの安全性を声高に訴えたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)がパンクで遅れたものの、無事に集団復帰をしている。
レース後半に入っても約2ヶ月振りという雨により、落車が続出する。プロトンではカラム・スコットソン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)とペラヨ・サンチェス(スペイン、ブルゴスBH)が地面に叩きつけられ、その後オスカー・オンレー(イギリス、DSM・フィルメニッヒ)もタイヤを滑らせ落車。それにより、これがグランツールデビューだった20歳オンレーは右鎖骨骨折によってレースを去った。
逃げ切りを目指してペースを上げる先頭集団からは2名が遅れ、ピッコロとソブレロ、ロモの3名が突き進む。それを1分27秒差で追いかけるメイン集団ではラウンドアバウトでルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)の落車にプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)とトーマスが巻き込まれる。それを無線で伝えられたユンボのディラン・ファンバーレ(オランダ)とヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)は、エヴェネプールと共に集団にペースダウンを訴えた。
しかし逃げを捉えてステージ優勝を狙いたいDSM・フィルメニッヒとアルペシン・ドゥクーニンクが徐々にペースを上げ、単独落車して素早く復帰したピッコロを含む逃げ集団との差を1分まで縮める。強まる雨に落車の連鎖は止まらず、今度はバーレーン・ヴィクトリアスの総合エースであるサンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア)らが落車。ブイトラゴが集団に戻った一方で、スピードの上がるプロトンからはマイヨロホを着るロレンツォ・ミレージ(イタリア、DSM・フィルメニッヒ)が遅れていった。
先頭からはソブレロが遅れ、総合タイムが計測される残り9km地点をピッコロが先頭で通過。しかし直後にグルパマFDなどステージ優勝を狙う約25名の先鋭集団が逃げをキャッチし、総合を狙うユンボ・ヴィスマやスーダル・クイックステップ、イネオス・グレナディアーズなどは危険回避のため踏むのを止めた。
最後の勝負所である3級山岳ムンジュイック城(距離0.9km/平均9.4%)に入り、レミ・ロシャス(フランス、コフィディス)が飛び出す。それを頂上手前でアンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー)が捉え、そのまま単独先頭に立つ。スプリントに持ち込みたいカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)やイバン・ガルシア(スペイン、モビスター)が追いかけたものの、ハイペースで踏み続けるクロンに届かない。そしてクロンが天を指差しながらフィニッシュラインを通過した。
「亡き母には申し訳ないが、この勝利はティール・デデッカーに捧げたい」と8月25日にトレーニング中の事故で命を落としたチームメイトのティール・デデッカー(ベルギー)への思いを語ったクロン。そして「ツールの出場を逃し、このブエルタに向けて厳しい練習を積み重ねてきた。だからこの勝利が意味するものは大きい。本当に嬉しいよ」と、自身初となるグランツールの区間優勝を喜んだ。
クロンはデンマーク出身の25歳。2021年に初出場したブエルタでは逃げから何度も勝利に迫ったものの、あと一歩のところで逃していた。
ミレージがメイン集団から遅れたため、マイヨロホはピッコロの手に。昨年のジャパンカップで2位に入った22歳は「今日の走りには満足している。自分を信じて走り、チームもまた僕を信じてくれた。そのおかげでスタート地点から狙っていたマイヨロホ獲得という目標が叶った」とコメントしている。
ブエルタ・ア・エスパーニャ2023第2ステージ結果
1位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー) | 4:10:25 |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
3位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | |
4位 | アンドレア・バジオーリ(イタリア、スーダル・クイックステップ) | |
5位 | フェルナンド・バルセロ(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) | |
6位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | |
7位 | ロマン・グレゴワール(フランス、グルパマFDJ) | |
8位 | レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・デスティニー) | |
9位 | マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
10位 | コーブ・ホーセンス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) |
マイヨロホ(個人総合成績)
1位 | アンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | 4:27:23 |
2位 | ハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン) | +0:11 |
3位 | イバン・ガルシア(スペイン、モビスター) | +0:13 |
4位 | ロマン・バルデ(フランス、DSM・フィルメニッヒ) | |
5位 | マックス・プール(イギリス、DSM・フィルメニッヒ) | |
6位 | ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) | |
7位 | イマノル・エルビティ(スペイン、モビスター) | |
8位 | エンリク・マス(スペイン、モビスター) | |
9位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
10位 | ショーン・フリン(イギリス、DSM・フィルメニッヒ) |
マイヨプントス(ポイント賞)
1位 | アンドレアス・クロン(デンマーク、ロット・デスティニー) | 30pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 25pts |
3位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | 22pts |
マイヨモンターニャ(山岳賞)
1位 | マッテオ・ソブレロ(イタリア、ジェイコ・アルウラー) | 6pts |
2位 | ハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン) | 6pts |
3位 | アンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | 3pts |
マイヨブランコ(ヤングライダー賞)
1位 | アンドレア・ピッコロ(イタリア、EFエデュケーション・イージーポスト) | 4:27:23 |
2位 | ハビエル・ロモ(スペイン、アスタナ・カザフスタン) | +0:11 |
3位 | マックス・プール(イギリス、DSM・フィルメニッヒ) | +0:13 |
チーム総合成績
1位 | EFエデュケーション・イージーポスト | 12:47:35 |
2位 | アスタナ・カザフスタン | +0:11 |
3位 | DSM・フィルメニッヒ | +0:13 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:Unipublic, CorVos
photo:Unipublic, CorVos
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