ツール・ド・ポローニュ最終第7ステージは集団スプリントに持ち込まれ、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が区間2勝目をマーク。アルメイダとのボーナスタイム争いを制したマテイ・モホリッチが総合優勝に輝いた。



前日の個人TTで総合リーダージャージを守ったマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

全7日間に及んだ第80回ツール・ド・ポローニュは最終日を迎えた。第7ステージはポーランド南部ザブジェのサッカースタジアムを出発して、チェコとの国境にも近いクラクフにフィニッシュする166.6km。コース後半に登場する2つの3級山岳はスプリンターの脅威にならない低難易度のため、大方の予想どおり集団スプリントに持ち込まれた。

前日の個人タイムトライアルの結果、総合首位マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)と2位ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)が同タイムとなった総合優勝争い。そのため67.5km地点に設定されたボーナスタイムポイント(最大-3秒)を狙うべく、両チームがハイペースを刻んだ。

序盤2時間の平均スピードが47.4km/hの高速域に達するなか、アンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)のリードアウトを受けたモホリッチがボーナスタイムポイントをトップ通過(-3秒)。2位通過(-2秒)だったアルメイダに対し1秒差をつけ、総合優勝をほぼ確定させた。

UAEチームエミレーツとバーレーン・ヴィクトリアスがボーナスタイムポイントを目指し高速牽引 photo:CorVos

ハンドルを投げ合う接戦をマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)が制す photo:CorVos

その後ドリアン・ゴドン(フランス、AG2Rシトロエン)とクリスティアン・スカローニ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)ら3名が逃げ集団を形成する。しかしフェルナンド・ガビリア(コロンビア)を擁するモビスターなどスプリンターチームがタイトなコントロールを披露。そのため逃げは残り16km地点で飲み込まれ、再びひと塊となった集団によるスプリント勝負に持ち込まれた。

アルペシン・ドゥクーニンクを先頭にフラムルージュ(残り1km地点)を通過し、アルペシンはアーリーアタックを仕掛けたもののグルパマFDJがそれを引き戻す。そしてベルト・ファンレルベルフのリードアウトからティム・メルリール(共にベルギー、スーダル・クイックステップ)がスプリントを開始する直前に、その反対側からアンテルマルシェ・サーカス・ワンティの隊列が先頭に出た。

それを確認したメルリールはコース左側から一気に右側へと進路を変え、アンテルマルシェのトレインを利用したガビリアと横並びに。更に後方から番手を上げたアーヴィッド・デクレイン(オランダ、チューダー・プロサイクリングチーム)による3名がハンドルを投げ、メルリールが大会初日に続く区間2勝目を手に入れた。

接戦のスプリントをティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が勝利 photo:CorVos

区間2勝目を掴んだティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ファンレルベルフの背後から飛び出したメルリールに対し、エドワルト・トゥーンス(ベルギー、リドル・トレック)への進路妨害が疑われたものの、その後正式にメルリールの勝利が認められた。

「今日も混沌としたスプリントとなり、チームは常に僕を集団前方で守ってくれた。ガビリアが早めにスプリントを開始するため、僕たちも比較的早めに踏み始める必要があった。今日はベルト(ファンレルベルフ)がメカニックに56T(のフロントギア)の使用を頼み、僕もそれを使わざるを得なかった。しかし、結果的にそれがいい判断となった。チームとしてステージ3勝は素晴らしい結果だ」と、メルリールは語っている。

そして第80代ツール・ド・ポローニュ総合優勝はモホリッチの手に。「最後まで戦い抜き、掴んだこの結果を誇りに思う。しかし昨夜スロベニアであった洪水によって人の命が失われ、そんな中でレースに集中することは難しかった。僕の心は被害にあった人たちと共にある」とモホリッチは、8月4日(金)に母国スロベニアを襲った洪水について言及。そしてモホリッチは今大会で獲得した賞金を、被災した地域へ寄付すると伝えている。

チームに区間3勝目をもたらしたティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ツール・ド・ポローニュ2023総合表彰台:2位アルメイダ、1位モホリッチ、3位クフィアトコフスキ photo:CorVos
ツール・ド・ポローニュ2023第7ステージ結果
1位 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) 3:28:44
2位 アーヴィッド・デクレイン(オランダ、チューダー・プロサイクリングチーム)
3位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)
4位 ヘルベン・テイッセン(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
5位 ポール・ペンウェット(フランス、グルパマFDJ)
6位 スタニスワフ・アニオコウスキ(ポーランド、ヒューマンパワードヘルス)
7位 ピエール・ゴーテラ(フランス、AG2Rシトロエン)
8位 リュディガー・ゼーリッヒ(ドイツ、ロット・デスティニー)
9位 マッテオ・モスケッティ(イタリア、Q36.5プロサイクリングチーム)
10位 アンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
個人総合成績
1位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) 26:17:48
2位 ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) +0:01
3位 ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) +0:17
4位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +0:22
5位 マティア・カッタネオ(イタリア、スーダル・クイックステップ) +0:41
6位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) +0:42
7位 エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) +0:55
8位 ラファウ・マイカ(ポーランド、UAEチームエミレーツ) +0:58
9位 サムエーレ・バティステッラ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) +1:00
10位 オスカー・オンレー(イギリス、DSM・フィルメニッヒ) +1:07
その他の特別賞
ポイント賞 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)
山岳賞 ジャコポ・モスカ(イタリア、リドル・トレック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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