2023/07/21(金) - 12:00
平坦ステージで驚きの逃げ切りを決めたカスパー・アスグリーンは「チームとして難しい大会で掴んだ価値ある勝利」と喜んだ。敢闘賞に輝いたカンペナールツやスプリントの機会を逃したフィリプセンなど、ツール第18ステージを選手のコメントで振り返ります。
区間優勝 カスパー・アスグリーン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)
レース直後インタビュー
6〜8人ほどの逃げ集団を望んでいた。しかしツールは第3週目に入り、ここまで本当に厳しいステージを乗り越えてきた。そんな中では今日のように小さい集団でも逃げ切りが可能だということを知っていた。最後はまるでチームタイムトライアルのようだった。パスカル(エインコールン)とヴィクトル(カンペナールツ)、そしてヨナス(アブラハムセン)という3人の素晴らしい走りがなければ、この勝利は不可能だった。正直、この勝利は共に逃げた全員に相応しいと思っている。
この勝利が意味するものは大きい。昨年はツール・ド・スイスで落車し、その影響で直後に臨んだツールも途中リタイアとなった。勝利までの道のりは長く、ようやく掴むことができて嬉しい。辛い時期にあった昨年の僕をサポートしてくれた全ての人たちに感謝したい。
またチームメイトはもちろん、これが現役最後のツールとなったドリース(デヴェナインス)と彼の妻、その家族に捧げたい。
表彰式後インタビュー
ファビオ(ヤコブセン)がレースを去り、難しい大会となった中で掴んだ勝利。この結果によってチームスタッフや監督、チームメイトの努力に報いることができた。メイン集団との激しい戦いとなり、僕ら4人は最後まで全力で駆け抜けた。幸いにもプロトンがあと少しのところまで迫っていたおかげで、ロットの2人が交互に仕掛けるということができなかった。それがこのスプリント勝利に繋がったのだろう。
区間2位 パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・デスティニー)
僕らは計画を完璧に遂行することができた。僕の飛び出しに誰かが反応し、一緒に逃げに乗ることができればよかったが誰もついてこなかった。また先頭の2人に追いつくためにはヴィクトルの力が必要で、合流後はひたすら全力で脚を回した。
十分なタイム差まで拡がることはなかったが、ツールではどこから勝利が生まれるのか予測できないものだ。ヴィクトルがクレイジーなほどハイスピードで牽引してくれたおかげで、最後まで捉まることなくフィニッシュできた。スプリントで敗れ、2位という結果は残念。だがアスグリーンが単純に強かっただけだ。
区間3位 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
スタート直後から1分〜1分半の差で推移した、厳しいステージだった。そしてパスカル・エインコールンが合流し、逃げ集団のスピードが上がった。残り10kmから20秒のまま縮まらず、逃げ切りの可能性を考えながらフィニッシュを目指した。この逃げに乗ることができて、とてもクールな体験だったよ。
区間4位&マイヨヴェール(ポイント賞) ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
まさか逃げ切られるとは思わなかった。彼らの走りには脱帽だよ。僕らはチームとして逃げ集団のリードを1分前後に留めた。その後パスカルが合流を目指し、既に強い3名が逃げていたので、自ら脚を使い彼を引き戻した。結局彼が逃げに追いつき、それがこの結果に繋がってしまったのだろう。
―SNSでは(自ら引き戻したことが)フェアプレーではないという批判もあるが?
ツールでは全ての事柄が大げさに取られてしまう。これほど高いレベルのレースでは、勝利のためにあらゆる手を尽くさなければならない。僕自身、何も間違ったことをしたつもりはない。僕らはスプリントに持ち込みたかったのだが、今日は逃げた彼らが強かった。それだけだ。
―具体的にエインコールンに対し、どのような言葉をかけたのか?
「今日はスプリントに持ち込みたいので、逃げるなら明日にしてくれない?」って伝えたよ。それでも彼は逃げに乗り、チャンスを掴んだ。
敢闘賞 ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)
今日のステージを狙っていたのだが、残念ながら勝利には届かなった。平坦ステージで逃げ切るという不可能とも思えることも、挑み続ければ叶うときは来る。敢闘賞は慰めにしかならないが、ツールで表彰台に上がることはいつだって嬉しい。
ラスト1kmから集団の先頭でスピードを上げ、残り500mまで牽き続けた。そうすれば彼らが焦って仕掛けると思ったのだが、上手くいかなかった。2位という結果はほろ苦いものの、今日の走りを誇りに思う。
マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
そこまでストレスのない良き日となった。トラブルなく乗り越えることが重要なステージで、チームメイトが終始僕を守ってくれた。それが僕の自信に繋がり、ステージを通して集団前方に位置を取ることができた。
いつもならば厳しい山岳ステージの翌日は調子が落ちるのだが、今日はそのままのコンディションでステージを終えることができた。精神的な余裕もその理由の一因なのだろう。だがパリまで集中力を切らすことなく、気をつけながら走りたい。
スタート前のタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)
昨日のことは忘れ、今日という新たなステージに集中する。そして脚と身体の調子を取り戻したい。(前日の落車は)そこまで酷いものではなかったので、怪我は深刻ではない。
text:Sotaro.Arakawa
photo: So Isobe, CorVos, A.S.O.
区間優勝 カスパー・アスグリーン(デンマーク、スーダル・クイックステップ)
レース直後インタビュー
6〜8人ほどの逃げ集団を望んでいた。しかしツールは第3週目に入り、ここまで本当に厳しいステージを乗り越えてきた。そんな中では今日のように小さい集団でも逃げ切りが可能だということを知っていた。最後はまるでチームタイムトライアルのようだった。パスカル(エインコールン)とヴィクトル(カンペナールツ)、そしてヨナス(アブラハムセン)という3人の素晴らしい走りがなければ、この勝利は不可能だった。正直、この勝利は共に逃げた全員に相応しいと思っている。
この勝利が意味するものは大きい。昨年はツール・ド・スイスで落車し、その影響で直後に臨んだツールも途中リタイアとなった。勝利までの道のりは長く、ようやく掴むことができて嬉しい。辛い時期にあった昨年の僕をサポートしてくれた全ての人たちに感謝したい。
またチームメイトはもちろん、これが現役最後のツールとなったドリース(デヴェナインス)と彼の妻、その家族に捧げたい。
表彰式後インタビュー
ファビオ(ヤコブセン)がレースを去り、難しい大会となった中で掴んだ勝利。この結果によってチームスタッフや監督、チームメイトの努力に報いることができた。メイン集団との激しい戦いとなり、僕ら4人は最後まで全力で駆け抜けた。幸いにもプロトンがあと少しのところまで迫っていたおかげで、ロットの2人が交互に仕掛けるということができなかった。それがこのスプリント勝利に繋がったのだろう。
区間2位 パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・デスティニー)
僕らは計画を完璧に遂行することができた。僕の飛び出しに誰かが反応し、一緒に逃げに乗ることができればよかったが誰もついてこなかった。また先頭の2人に追いつくためにはヴィクトルの力が必要で、合流後はひたすら全力で脚を回した。
十分なタイム差まで拡がることはなかったが、ツールではどこから勝利が生まれるのか予測できないものだ。ヴィクトルがクレイジーなほどハイスピードで牽引してくれたおかげで、最後まで捉まることなくフィニッシュできた。スプリントで敗れ、2位という結果は残念。だがアスグリーンが単純に強かっただけだ。
区間3位 ヨナス・アブラハムセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)
スタート直後から1分〜1分半の差で推移した、厳しいステージだった。そしてパスカル・エインコールンが合流し、逃げ集団のスピードが上がった。残り10kmから20秒のまま縮まらず、逃げ切りの可能性を考えながらフィニッシュを目指した。この逃げに乗ることができて、とてもクールな体験だったよ。
区間4位&マイヨヴェール(ポイント賞) ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)
まさか逃げ切られるとは思わなかった。彼らの走りには脱帽だよ。僕らはチームとして逃げ集団のリードを1分前後に留めた。その後パスカルが合流を目指し、既に強い3名が逃げていたので、自ら脚を使い彼を引き戻した。結局彼が逃げに追いつき、それがこの結果に繋がってしまったのだろう。
―SNSでは(自ら引き戻したことが)フェアプレーではないという批判もあるが?
ツールでは全ての事柄が大げさに取られてしまう。これほど高いレベルのレースでは、勝利のためにあらゆる手を尽くさなければならない。僕自身、何も間違ったことをしたつもりはない。僕らはスプリントに持ち込みたかったのだが、今日は逃げた彼らが強かった。それだけだ。
―具体的にエインコールンに対し、どのような言葉をかけたのか?
「今日はスプリントに持ち込みたいので、逃げるなら明日にしてくれない?」って伝えたよ。それでも彼は逃げに乗り、チャンスを掴んだ。
敢闘賞 ヴィクトル・カンペナールツ(ベルギー、ロット・デスティニー)
今日のステージを狙っていたのだが、残念ながら勝利には届かなった。平坦ステージで逃げ切るという不可能とも思えることも、挑み続ければ叶うときは来る。敢闘賞は慰めにしかならないが、ツールで表彰台に上がることはいつだって嬉しい。
ラスト1kmから集団の先頭でスピードを上げ、残り500mまで牽き続けた。そうすれば彼らが焦って仕掛けると思ったのだが、上手くいかなかった。2位という結果はほろ苦いものの、今日の走りを誇りに思う。
マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)
そこまでストレスのない良き日となった。トラブルなく乗り越えることが重要なステージで、チームメイトが終始僕を守ってくれた。それが僕の自信に繋がり、ステージを通して集団前方に位置を取ることができた。
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text:Sotaro.Arakawa
photo: So Isobe, CorVos, A.S.O.
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