2023/07/12(水) - 08:15
第2週目に突入したツール・ド・フランス第10ステージは、3級山岳で絞られた逃げの6名によるスプリントで決着。持ち前のスピードを発揮したペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)が、開幕直前に死去したジーノ・メーダー(スイス)に捧ぐ初勝利を手に入れた。
クレルモン・フェランで第1週目の疲れを癒やした選手たちは、レース主催者も「逃げ向き」と太鼓判を押す丘陵ステージに臨む。167.2kmと比較的短いコースは3級山岳の登坂から始まり、直後の3級山岳は逃げを目指したアタックを誘発する。その後もカテゴリーのつかない1,000m超えの登りをこなしながら、59.9km地点でようやく中間スプリントがやってくる。
レース中盤からも2級、3級と逃げるには好ましい丘が連続。そして最後は3級山岳シャペル・マルクス(距離6.5km/平均5.6%)の頂上から更に少し登り、27kmのダウンヒル+平坦路の先にフィニッシュ地点が待っている。
出発地点であるビュルカニアのチームプレゼンテーションに現れたのは169名の選手たち。中でも休息日に今季限りの引退を発表した35歳トニー・ガロパン(フランス、リドル・トレック)には母国のファンから盛大な歓声が飛んだ。そして序盤から始まる厳しい丘に向け、たっぷりとウォーミングアップをこなした選手たちが午後1時20分にスタートを切った。
逃げ切り向きのレイアウトは予想通りアタッカーたちを大いに刺激した。その結果レミ・カヴァニャ(フランス、スーダル・クイックステップ)やミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)ら7名の先頭集団が出来上がる。しかしメイン集団は落ち着かず、マイヨジョーヌのヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)やタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)ら総合上位勢さえも動く慌ただしい展開の末、最終的に14名が逃げグループを形成した。
スタート直後から動いたクフィアトコフスキが残る逃げ集団には、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)など強力なメンバーの他、総合争いから脱落したベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)やマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)も乗った。
それを追うプロトンではユンボ・ヴィスマが牽引し、乱高下するペースに一時遅れたダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)やロマン・バルデ(フランス、DSM・フィルメニッヒ)も合流。ここまで3つの山岳を含むレース前半を過ぎ、ようやく選手たちが一呼吸をつけた。
フィニッシュ地点イソワールが43℃と今大会の最高気温を記録するなか、逃げと3分差のついたプロトン先頭でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が牽引を始める。すると最終3級山岳シャペル・マルクス(距離6.5km/平均5.6%)に続く約14kmの下りで、集団から抜け出したファンデルプールにワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が反応。競技を超えてライバル関係を築く2人が2分15秒先のレース先頭を目指した。
強力な2人が迫る逃げ集団では、スプリント勝負では分が悪いクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)が残り32km地点から仕掛ける。3級山岳シャペル・マルクス頂上で38秒のリードを得たニーランズに対し、コロンビア王者エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)やビルバオら5名が追走。一方でツールでステージ優勝の経験があるアラフィリップやクフィアトコフスキ、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)らが遅れを取った。
ファンデルプールとファンアールトが追走を諦めてプロトンに戻る一方で、チャベスやオコーナーたちは残り3kmでニーランズをキャッチ。アラフィリップらの追走は届かなかったため、第10ステージの勝利は先頭にいる6名に絞られた。
オコーナーが残り2km地点からアーリーアタックを仕掛けるものの、スプリントにも長けたビルバオがピッタリとマーク。そしてフラムルージュ(残り1km地点)の直前で、前哨戦のクリテリウム・デゥ・ドーフィネで勝利を挙げたゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出す。それにもビルバオが唯一反応し、牽制で緩んだペースにオコーナーたちが追いつく。しかし勝負所を見逃さなかったビルバオが、スプリントでツィマーマンらを下した。
母国バスクで開幕を迎え、故郷の街を通過した今年のツールで自身初となるステージ優勝を飾ったビルバオ。直前にチームメイトであるジーノ・メーダー(スイス)を失ったビルバオは「ツールに来るまで様々なことが起こったため、レースに集中することが難しかった。だがジーノのためにどうしても勝利が欲しかった。それを今日叶え、彼に勝利を捧げることができて本当に嬉しい」と語る。
また、「暑さには弱いのだが、チームスタッフが氷やドリンクを適切な場所で渡してくれた。最後の6名で僕が最もスプリントがあることは分かっていたが、決定的な動きに反応することができてラッキーだったよ」と喜んだ。
ステージ2位にはツィマーマンが入り、オコーナーは3位。アラフィリップは32秒遅れの10位と勝利を掴むには至らなかった。そしてヴィンゲゴーはポガチャルを含むプロトンと共に2分53秒遅れでフィニッシュし、マイヨジョーヌのキープに成功。逃げ切り勝利を決めたビルバオが総合5位にジャンプアップした以外、総合上位陣に大きな動きはなかった。
クレルモン・フェランで第1週目の疲れを癒やした選手たちは、レース主催者も「逃げ向き」と太鼓判を押す丘陵ステージに臨む。167.2kmと比較的短いコースは3級山岳の登坂から始まり、直後の3級山岳は逃げを目指したアタックを誘発する。その後もカテゴリーのつかない1,000m超えの登りをこなしながら、59.9km地点でようやく中間スプリントがやってくる。
レース中盤からも2級、3級と逃げるには好ましい丘が連続。そして最後は3級山岳シャペル・マルクス(距離6.5km/平均5.6%)の頂上から更に少し登り、27kmのダウンヒル+平坦路の先にフィニッシュ地点が待っている。
出発地点であるビュルカニアのチームプレゼンテーションに現れたのは169名の選手たち。中でも休息日に今季限りの引退を発表した35歳トニー・ガロパン(フランス、リドル・トレック)には母国のファンから盛大な歓声が飛んだ。そして序盤から始まる厳しい丘に向け、たっぷりとウォーミングアップをこなした選手たちが午後1時20分にスタートを切った。
逃げ切り向きのレイアウトは予想通りアタッカーたちを大いに刺激した。その結果レミ・カヴァニャ(フランス、スーダル・クイックステップ)やミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ)ら7名の先頭集団が出来上がる。しかしメイン集団は落ち着かず、マイヨジョーヌのヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)やタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)ら総合上位勢さえも動く慌ただしい展開の末、最終的に14名が逃げグループを形成した。
スタート直後から動いたクフィアトコフスキが残る逃げ集団には、ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)など強力なメンバーの他、総合争いから脱落したベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン)やマティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック)も乗った。
それを追うプロトンではユンボ・ヴィスマが牽引し、乱高下するペースに一時遅れたダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)やロマン・バルデ(フランス、DSM・フィルメニッヒ)も合流。ここまで3つの山岳を含むレース前半を過ぎ、ようやく選手たちが一呼吸をつけた。
フィニッシュ地点イソワールが43℃と今大会の最高気温を記録するなか、逃げと3分差のついたプロトン先頭でマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)が牽引を始める。すると最終3級山岳シャペル・マルクス(距離6.5km/平均5.6%)に続く約14kmの下りで、集団から抜け出したファンデルプールにワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)が反応。競技を超えてライバル関係を築く2人が2分15秒先のレース先頭を目指した。
強力な2人が迫る逃げ集団では、スプリント勝負では分が悪いクリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック)が残り32km地点から仕掛ける。3級山岳シャペル・マルクス頂上で38秒のリードを得たニーランズに対し、コロンビア王者エステバン・チャベス(EFエデュケーション・イージーポスト)やビルバオら5名が追走。一方でツールでステージ優勝の経験があるアラフィリップやクフィアトコフスキ、ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック)らが遅れを取った。
ファンデルプールとファンアールトが追走を諦めてプロトンに戻る一方で、チャベスやオコーナーたちは残り3kmでニーランズをキャッチ。アラフィリップらの追走は届かなかったため、第10ステージの勝利は先頭にいる6名に絞られた。
オコーナーが残り2km地点からアーリーアタックを仕掛けるものの、スプリントにも長けたビルバオがピッタリとマーク。そしてフラムルージュ(残り1km地点)の直前で、前哨戦のクリテリウム・デゥ・ドーフィネで勝利を挙げたゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出す。それにもビルバオが唯一反応し、牽制で緩んだペースにオコーナーたちが追いつく。しかし勝負所を見逃さなかったビルバオが、スプリントでツィマーマンらを下した。
母国バスクで開幕を迎え、故郷の街を通過した今年のツールで自身初となるステージ優勝を飾ったビルバオ。直前にチームメイトであるジーノ・メーダー(スイス)を失ったビルバオは「ツールに来るまで様々なことが起こったため、レースに集中することが難しかった。だがジーノのためにどうしても勝利が欲しかった。それを今日叶え、彼に勝利を捧げることができて本当に嬉しい」と語る。
また、「暑さには弱いのだが、チームスタッフが氷やドリンクを適切な場所で渡してくれた。最後の6名で僕が最もスプリントがあることは分かっていたが、決定的な動きに反応することができてラッキーだったよ」と喜んだ。
ステージ2位にはツィマーマンが入り、オコーナーは3位。アラフィリップは32秒遅れの10位と勝利を掴むには至らなかった。そしてヴィンゲゴーはポガチャルを含むプロトンと共に2分53秒遅れでフィニッシュし、マイヨジョーヌのキープに成功。逃げ切り勝利を決めたビルバオが総合5位にジャンプアップした以外、総合上位陣に大きな動きはなかった。
ツール・ド・フランス2023第10ステージ結果
1位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | 3:52:34 |
2位 | ゲオルク・ツィマーマン(ドイツ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
3位 | ベン・オコーナー(オーストラリア、AG2Rシトロエン) | |
4位 | クリスツ・ニーランズ(ラトビア、イスラエル・プレミアテック) | |
5位 | エステバン・チャベス(コロンビア、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
6位 | アントニオ・ペドレロ(スペイン、モビスター) | +0:03 |
7位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +0:27 |
8位 | ミハウ・クフィアトコフスキ(ポーランド、イネオス・グレナディアーズ) | |
9位 | ワレン・バルギル(フランス、アルケア・サムシック) | +0:30 |
10位 | ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) | +0:32 |
21位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | |
27位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +2:53 |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 | ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) | 42:33:13 |
2位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | +0:17 |
3位 | ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) | +2:40 |
4位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +4:22 |
5位 | ペリョ・ビルバオ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:34 |
6位 | アダム・イェーツ(イギリス、UAEチームエミレーツ) | +4:39 |
7位 | サイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー) | +4:44 |
8位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +5:26 |
9位 | ダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | +6:01 |
10位 | セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) | +6:45 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) | 260pts |
2位 | ブライアン・コカール(フランス、コフィディス) | 149pts |
3位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) | 143pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
1位 | ニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト) | 46pts |
2位 | フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) | 28pts |
3位 | トビアス・ヨハンネセン(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) | 26pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) | 42:33:30 |
2位 | カルロス・ロドリゲス(スペイン、イネオス・グレナディアーズ) | +4:05 |
3位 | トーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +5:09 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 127:54:45 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +1:11 |
3位 | ユンボ・ヴィスマ | +5:00 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos
photo:So Isobe, CorVos
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