29歳でプロデビューし、36歳にして自身初のツール区間優勝を達成したマイケル・ウッズは「タイムトライアルと思い登った」と勝因を語った。タイム差を奪ったポガチャルや遅れを最小限に留めたヴィンゲゴーなど、ツール第1週目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝 マイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック)

第2追走集団から飛び出し、ハイスピードでヨルゲンソンに迫るマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

いま肌をつねってこれが夢ではないことを確かめている。勝利を掴んだ自分自身とチームを誇りに思う。特別な気持ちだよ。

耳をつんざくような大歓声から(登坂に入り)一転の静寂に変わった。だがその喧騒は耳に残り続けていながらも、思考を巡らせ苦しみを味わう時間が長かった。だから自分が進むコースを見据え、ヨルゲンソンを目指し踏み込んだ。

僕はいま36歳で、今年37歳になる。加齢に抗うことのできない僕は、常にツールでの区間優勝を目標としてきた。それをいままさに達成することができたんだ。苦しい時期を支えてくれた家族やチーム、(カナダ人オーナーの)シルヴァン・アダムス、両親、妻と子どもたち全ての人に感謝したい。

残り450mでヨルゲンソンを抜き、念願の初勝利を飾ったマイケル・ウッズ(カナダ、イスラエル・プレミアテック) photo:A.S.O.

―全ては計画通りだったのか?

そう言うことができれば最高だけど、違うよ。ヨルゲンソンのアタックに反応できればよかったし、自分の持つ手札で勝負した結果だ。逃げ集団で僕が最もマークされる存在ということは意識していた。最も理想的な展開ではなかったものの、冷静さを保ちながら登り続けた。

正直、残り4km地点から勝利のことは考えておらず、単純に頂上までのタイムトライアルと思いながら登っていた。結果を気にせず全力を尽くし、ヨルゲンソンにたどり着くまで厳しい道のりだった。

―ピュイ・ド・ドームの感想は?

ツールの象徴となる登りで、美しく特別な気持ちがしたよ。近い将来、またツールがここに来ることを願っている。

区間4位 マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ、モビスター)

ツール仕様に特別カラーリングが施された登山列車を通過するヨルゲンソン photo:CorVos

決して報われなかったとしても今日の自分の走りを誇りに思う。また今日の走りが結果に繋がる日は来るだろう。沿道にファンのいない殺伐とした雰囲気の中、僕の無線が切れてしまったため静寂の中走っていた。だから自分の身体と頭と戦っていた。

後続とのタイム差や状況が分からず、頼りはモトバイクの教えてくれる数字だけだった。マイケル・ウッズが追いついてきたときは驚いたよ。僅かなチェーンの音しか聞こえなかったから恐ろしさすら感じた。そして、それで勝利とはおさらばだった。

今日は逃げに乗る予定はなかった。しかし逃げに乗り、周りにいる選手たちを見てプランを練り直した。ウッズとパウレスの方が登坂力に優れていると分かっていた。特に勾配が12%、13%に達する区間ではね。だからこそ先に仕掛け、麓での1分差は十分ではないと思っていた。

ヴィンゲゴーから8秒を奪い返したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

第1週目を理想的な形で締めくくったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:CorVos

最終山岳まで比較的楽なステージで、脚の調子もかなり良かった。そしてアタックを仕掛け、ヨナス(ヴィンゲゴー)の脚も良かったのだが、今日は僕の方が力を出すことができた。僅かながらもタイムを稼ぐことができ、彼にプレッシャーを駆けることができて嬉しいよ。

逃げ集団が大幅にタイム差を稼ぎ、ステージ優勝が遠のいてしまったのは悲しかったが、彼らは本当に強かったので勝利に相応しい。昨年から「常にステージ優勝を争えるわけではない」ということを学んだ。だから僕は総合優勝を最優先に考えている。

マイヨジョーヌ ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

マイヨジョーヌのまま第1週目を終えたヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

8秒差をつけるのに相応しい走りをタデイ(ポガチャル)は見せつけた。でも僕はパリまでマイヨジョーヌを守るべく力を尽くすだけ。この後の2週間は激しい戦いが繰り広げられることだろう。この山岳(ピュイ・ド・ドーム)はとても急勾配で厳しく、気温も高かった。今日は絶好調ではなく、明日の休息日が調子を取り戻すきっかけとなるだろう。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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