ここまでのスプリントで圧倒したフィリプセンを下し、新スポンサーに勝利をもたらしたマッズ・ピーダスン(リドル・トレック)。惜しくも敗れたファンアールトやカヴの落車について語るデラクルス、観客と接触し落車したクラスらのコメントを紹介します。



区間優勝 マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)

ロングスプリントで先頭に立つマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:A.S.O.

レース直後インタビュー

今朝の段階で今日が逃げの勝負になるか、集団スプリントで決着するか分からなかった。だが、スプリンターチームが逃げ切りを許さず、僕らはその中でも冷静に走ることができた。そしてチームメイトによる完璧なリードアウトのおかげで、ロングスプリントから勝利できるほど最後まで脚を温存することができた。(昨年大会で3度の2位からようやく勝利した)第13ステージよりも、今年は早く勝つことができたから嬉しいね。

―序盤では逃げに乗ろうと動いたシーンもあったが?

何度かアタックしたのだが、今日は決まらないと悟り諦めた。その後は集団スプリントに向けて脚を溜めることに集中したんだ。フィニッシュした瞬間、自分が勝ったと分かった。だがこの登りスプリントは厳しく、残り50mでダンシングが続けられないと思うほど脚は限界に達していた。

ヤスペル(フィリプセン)はさぞ凄いスピードで迫ってきたのだろうね。しかし、たとえその差が2mだろうと、また2cmだろうと大事なのは勝利。接戦での勝利こそツール・ド・フランスの美しさが詰まっている。

チーム一丸となり、区間優勝を掴んだマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) photo:So Isobe

―棄権したマーク・カヴェンディッシュに対して言葉はあるか?

彼と共にレースすることができ、喜びを感じている。彼とは仲が良く、レジェンドである彼がこんな形でツールを去らなければならないなんて悲しいよ。僕らはジャージを交換する約束をしていたんだ。彼の無事を祈ると同時に、彼の最後のレースを一緒に走りたいね。

表彰式後インタビュー

チームが素晴らしい走りをしてくれたおかげ。特にジュリオ(チッコーネ)とフアン(ロペス)は最後まで牽引してくれた。僕は他のスプリンターとは違い、平坦路で勝負することはできない。また絶好調の時と比較してスピードがないことを感じていたが、今日の終盤はスピードよりもパワーが重要だった。これまでのスプリントではミスも犯していたので、この勝利が本当に嬉しいよ。

区間3位 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

惜しくも勝利を逃したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

少し変に聞こえるかもしれないがチームとしての走りは完璧だった。チーム一丸となった走りを勝利に繋げられず、悲しいよ。クリストフ(ラポルト)が良い位置まで僕を導いてくれたものの、マチュー(ファンデルプール)とヤスペル(フィリプセン)に抜かれた瞬間、囲まれてスピードを失ってしまったんだ。だから僕自身の走りに負けた原因がある。

―先頭集団に(ピュアスプリンターである)フィリプセンが残っていたことに驚きはあったか?

ツール・ド・フランスに出場する選手たちは皆強いので、驚きはなかった。僕らも比較的大きな集団のまま争うことは予想していたので、僕に適した厳しいレースにするべくチーム一丸となり牽引した。だから勝利を逃した僕を除き、チームとしてやれることは全てやった。

―カヴェンディッシュの棄権についてはどう思うか?

いまそれを初めて聞いた。それは残念だね。昨日のステージで彼は勝利を狙える脚を見せていた。そんな彼が落車という形でレースを去るのは悲しい事実だ。

カヴェンディッシュの落車について語るダビ・デラクルス(スペイン、アスタナ・カザフスタン)

落車し、右肩を押さえながら倒れ込むマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

数日前にルイスレオン(サンチェス)を失い、今度はマークだなんて信じられない。しかも共に同じ鎖骨の骨折。落車が発生した時のコースは何の難しさもなく、一定のテンポで登っていた。その時選手同士が接触し、不運にもマークが悪い姿勢で落車してしまったのだろう。

開幕前からマークが35勝目を挙げることができると思っていた。そして昨日の走りで僕らのその自信はより増していた。

残り6km地点で落車、棄権したステフ・クラス(ベルギー、トタルエネルジー)

プロトンがやってきたのにもかかわらず、沿道から1メートル前に出てコースに踏み入れる観客は家で観戦した方がいい。それは選手への敬意のない行為だし(落車を引き起こした)観客には罪悪感を持って欲しい。あなたのせいで僕はツールを去らなければならなくなった。

明日の超級山岳ピュイ・ド・ドームについて語るヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

大会8日目にしてようやくマイヨジョーヌとひまわりが揃う photo:A.S.O.

今日は安全にフィニッシュすることができて良かったものの、ワウト(ファンアールト)で勝ちたかった。6月にピュイ・ド・ドームの試走をしたんだ。とても急勾配で、ツールの重要な登りとなるだろう。良い調子であることを願いながら、完璧といえる準備をしたい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos, A.S.O.

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