「信じれない勝利に言葉がない」と語るのはピレネー初日に初優勝を掴んだジャイ・ヒンドレー。本格山岳バトルの幕開けとなるツール第5ステージで遅れを喫したポガチャルなど、選手たちのコメントを紹介します。



区間優勝&マイヨジョーヌ ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)

ツール初出場で早速ステージ優勝を掴んだジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:So Isobe

この勝利が信じられず、言葉がない。逃げに乗り、プロトンが容認してくれたことに驚いた。その後は集団内で協力し合いながら楽しんで走ることができた。逃げに乗った最初の目的は総合勢からバッファー(タイム差)を作り出すこと。(超級山岳)スデ峠の登坂に入った頃からステージ優勝のことを考え始め、その下った麓で応援する両親の姿が見え、特別な気持ちになったよ。

アタックしてから全てがあっという間に進んだ。勝利するチャンスは十分あると思っていたが、本当に勝利を実感したのは最終ストレートに入ってから。また、マイヨジョーヌを獲得したことはいまだ信じられないよ。

マイヨジョーヌに袖を通すことは全てのサイクリストの夢。それが現実となり、大きな喜びと誇りに満ちあふれている。夢が叶ったよ。6歳の時からツールを観ており、ツールで走ることを夢見ていた。その夢が叶い、ステージ優勝に加えマイヨジョーヌを着ることになるなんて、本当に信じられないことだよ。

ステージ優勝と共にマイヨジョーヌに袖を通したジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

フランスメディアへの自己紹介

僕はオーストラリア西部、パース出身の左利き。好きな食べ物は潰したアボカドを載せたトーストとフラットホワイト(エスプレッソ+スチームミルク)だ。

区間2位 ジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック)

ステージ2位に入り、山岳賞ランキングでも2位に浮上したジュリオ・チッコーネ(イタリア、リドル・トレック) photo:Lidl - Trek

逃げ切りに適したステージになると分かっていたが、ここまで強力な逃げ集団になるとは予想外だった。ツール・ド・フランスでステージ2位は悔しさを感じるのが普通の感覚だろう。最後の登りでチームカーとのコミュニケーションの齟齬があり、僕がヒンドレーとのタイム差を勘違いしていたんだ。だから正しいタイム差を知っていた監督の”前を牽くな”という指示は正しかった。だからフィニッシュで見せた苛立ちのジェスチャーに、それ以上の意味は含まれていない。

総合3位につけているが、大会前に定めたステージ優勝という目標に変更はない。あくまでもチームの総合エースはマティアス(スケルモース)であり、彼の上位入賞に向けてチームはフルサポートする。だから今日の僕が目指していたのは勝利と山岳賞ジャージ。それをここでハッキリと明言しておきたい。

区間5位&総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

トップから34秒遅れでフィニッシュし、ライバルからタイム差を奪ったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

最終山岳での脚の状態は完璧で、ポガチャルを試してみたかった。作戦については事前に話し合っていたものの、ここまで上手くいくとは思っていなかった。今日はレースを厳しいものにしたく、見事成功した。チームは今日もまた素晴らしい走りを見せてくれた。

総合上位につける選手に対し、タイム差を稼ぐことができて嬉しいよ。だがヒンドレーは強く、決して過小評価してはならない選手だ。

区間8位&総合6位&マイヨブラン(ヤングライダー賞) タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)

トップから1分38秒遅れでフィニッシュしたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ) photo:So Isobe

ジロ・ドンネで落車し、脳震盪を起こしたガールフレンド(ウルシュカ・ジガート)のことが心配だ。それに比べればヨナス(ヴィンゲゴー)から約50秒失ったことなんて些細なこと。僕にできることはステージ毎に集中して走るだけだ。

セップ(クス)の牽引に喘ぐ僕の表情を見て、ヨナスはアタックしたのだろう。今日の彼は強く、全力で追いかけたのだがついていくことはできなかった。明日はこの脚に力が戻っていることを願っているし、まだまだ道のりは長い。何よりも僕の調子は悪くない。それが最も大切なことだ。

逃げに乗り、最終山岳でヴィンゲゴーを牽引したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ)

敢闘賞を獲得したワウト・ファンアールト(ベルギー、ユンボ・ヴィスマ) photo:So Isobe

チームとして逃げに選手を乗せるべきステージで、谷間があるレイアウトだったのでレース先頭にチームメイトがいる必要があった。最初に僕が、続いてティシュ(ベノート)が前待ち作戦を実行する予定だったのだが、予想よりも総合勢のスピードが速かった。それでもライバルチームにプレッシャーを与えることはできただろう。

(ヴィンゲゴーがポガチャルから得た53秒は)予想以上のタイム差だ。今日はヨナスがアタックする予定ではなかったものの、状況がそうさせたのだろう。逃げにヒンドレーとチッコーネが入ったのは予想外で、彼らにあまり総合タイムを稼いでほしくはなかった。今後はポガチャルだけでなく、ヒンドレーも警戒しなければならない。

text:Sotaro.Arakawa
photo:So Isobe, CorVos

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