2023/05/23(火) - 10:15
「ようやく自分のリズムを掴むことができ、仕事に専念できました」と語る新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)。右目のトラブルや連日の雨や寒さを乗り越え、迎えたジロ・デ・イタリア最後の休息日にオンライン記者会見で話を聞いた。
「全く知らなかったです。昨日は”誕生日おめでとう”と伝えただけ」。オンライン記者会見の直前に発表されたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)の引退について、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)はそう語った。
「ここ3〜4年で”ニューサイクリング”と言われるように、レースは色んなものが変わってきました。僕自身もそれにアジャストしていくのは大変ですし、ましてやスプリンターならなおさら。スプリンターもある程度は登れないといけない時代になっていまからね。そういう所で区切りをつけるのはしょうがないと思います」。
プロトンでの新型コロナウイルス感染拡大や悪天候など、近年稀に見るほど”過酷”となっている今年のジロ・デ・イタリア。連日降り続ける雨の影響で、第10ステージで右目に異物が入るトラブルに見舞われた新城。しかし「フィニッシュ後に病院で異物を取り除き、洗浄してもらいました。その後は毎晩目薬をさして、今は100%の状態です」とその回復具合を伝えた。
調子自体も本人が「距離をこなせばこなすほど調子は上がっていく」と言うように、上向き。「急遽呼ばれ、準備が整っていなかったこともあり1週目は楽しめませんでした。でも2週目は集団の中で動けたり、自分の好きなタイミングで前に上がることができたりと、自分のリズムを掴むことができたので仕事に専念できました」と語る。
チームとしては大会2日目以降勝利はないものの、エーススプリンターのジョナサン・ミラン(イタリア)が第11ステージのスプリントで写真判定に持ち込む僅差の2位。更にチームはチーム総合成績でも首位浮上するなど、ジャック・ヘイグ(オーストラリア)の落車による総合争いからの脱落を除けば順調だ。
特にチームの中で好調なのは、第2週目もマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)のキープに成功したミラン。ライバルの一人であるマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が体調不良でレースを去ったこともあり、最終的なポイント賞獲得が近づいてきた22歳のスプリンターを新城は、「大きな赤ちゃん」と冗談交じりに表現する。
「もちろん(東京五輪の)チームパシュートで金メダルを獲った力ある選手で、このジロで最もスプリント力のある選手というのは確かです。ただ、まだ若いので焦りすぎたり、登りでスピードを上げすぎたりとグルペットでの走り方がわかっていない。でもチームメイトである僕の話は聞いてくれるので、隣で”グルペットでの走り方”を教えています」。
第2週目で新城が特に辛かったと語るのは、序盤の1級山岳の登坂中で雨が降りはじめた第14ステージ。体感気温0度に達する約30kmに及ぶ下りの間、新城は「”自分はいま何をやっているのだろう?”という気持ちになりました。それぐらい辛かった。脚の感覚もなく口元も震え、でも脚を回して進み続けるしかない。無理やり脳から脚に”動け!”と信号を送り続けました」と、その過酷なレース状況を振り返る。「でも、レース後に同じ体験をした皆と”あそこの下りはクレイジーだったよね!”と笑い合えるのが楽しかったです。またそれが翌日に走る力になっています」とも。
新城が「てんこ盛りです!」と語る3週目は、個人タイムトライアルを含め山頂フィニッシュが4度設定された山岳決戦。ただ第17ステージは平坦コースのため「スプリンターがいない(棄権した)なか、僕たちが集団スプリントまで持っていかなければなりません」と、総合上位とスプリントを狙う複雑なチーム事情のなか、新城が担うことになる役割は多い。
また、日本王者ジャージを着て走るジロについては「皆さんに見つけてもらいやすいのですが、雨続きの2週目は(レインジャケットを着ているため)あまりお披露目できませんでした。だからその分第3週目が楽しみです」と、残す6日間に向けて意気込みを語った。
text:Sotaro.Arakawa(オンライン記者会見より)
photo:CorVos
「全く知らなかったです。昨日は”誕生日おめでとう”と伝えただけ」。オンライン記者会見の直前に発表されたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)の引退について、新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)はそう語った。
「ここ3〜4年で”ニューサイクリング”と言われるように、レースは色んなものが変わってきました。僕自身もそれにアジャストしていくのは大変ですし、ましてやスプリンターならなおさら。スプリンターもある程度は登れないといけない時代になっていまからね。そういう所で区切りをつけるのはしょうがないと思います」。
プロトンでの新型コロナウイルス感染拡大や悪天候など、近年稀に見るほど”過酷”となっている今年のジロ・デ・イタリア。連日降り続ける雨の影響で、第10ステージで右目に異物が入るトラブルに見舞われた新城。しかし「フィニッシュ後に病院で異物を取り除き、洗浄してもらいました。その後は毎晩目薬をさして、今は100%の状態です」とその回復具合を伝えた。
調子自体も本人が「距離をこなせばこなすほど調子は上がっていく」と言うように、上向き。「急遽呼ばれ、準備が整っていなかったこともあり1週目は楽しめませんでした。でも2週目は集団の中で動けたり、自分の好きなタイミングで前に上がることができたりと、自分のリズムを掴むことができたので仕事に専念できました」と語る。
チームとしては大会2日目以降勝利はないものの、エーススプリンターのジョナサン・ミラン(イタリア)が第11ステージのスプリントで写真判定に持ち込む僅差の2位。更にチームはチーム総合成績でも首位浮上するなど、ジャック・ヘイグ(オーストラリア)の落車による総合争いからの脱落を除けば順調だ。
特にチームの中で好調なのは、第2週目もマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)のキープに成功したミラン。ライバルの一人であるマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が体調不良でレースを去ったこともあり、最終的なポイント賞獲得が近づいてきた22歳のスプリンターを新城は、「大きな赤ちゃん」と冗談交じりに表現する。
「もちろん(東京五輪の)チームパシュートで金メダルを獲った力ある選手で、このジロで最もスプリント力のある選手というのは確かです。ただ、まだ若いので焦りすぎたり、登りでスピードを上げすぎたりとグルペットでの走り方がわかっていない。でもチームメイトである僕の話は聞いてくれるので、隣で”グルペットでの走り方”を教えています」。
第2週目で新城が特に辛かったと語るのは、序盤の1級山岳の登坂中で雨が降りはじめた第14ステージ。体感気温0度に達する約30kmに及ぶ下りの間、新城は「”自分はいま何をやっているのだろう?”という気持ちになりました。それぐらい辛かった。脚の感覚もなく口元も震え、でも脚を回して進み続けるしかない。無理やり脳から脚に”動け!”と信号を送り続けました」と、その過酷なレース状況を振り返る。「でも、レース後に同じ体験をした皆と”あそこの下りはクレイジーだったよね!”と笑い合えるのが楽しかったです。またそれが翌日に走る力になっています」とも。
新城が「てんこ盛りです!」と語る3週目は、個人タイムトライアルを含め山頂フィニッシュが4度設定された山岳決戦。ただ第17ステージは平坦コースのため「スプリンターがいない(棄権した)なか、僕たちが集団スプリントまで持っていかなければなりません」と、総合上位とスプリントを狙う複雑なチーム事情のなか、新城が担うことになる役割は多い。
また、日本王者ジャージを着て走るジロについては「皆さんに見つけてもらいやすいのですが、雨続きの2週目は(レインジャケットを着ているため)あまりお披露目できませんでした。だからその分第3週目が楽しみです」と、残す6日間に向けて意気込みを語った。
text:Sotaro.Arakawa(オンライン記者会見より)
photo:CorVos
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