2023/05/22(月) - 08:15
レース直前にカヴェンディッシュの引退報道があったジロ・デ・イタリア第15ステージ。イル・ロンバルディアともコースが重なる中級山岳コースでブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が逃げ切り勝利し、アルミライルがマリアローザ保持に成功した。
第106回ジロ・デ・イタリアの第2週目を締めくくるのは、毎年10月に開催されるイル・ロンバルディアのコースをなぞる中級山岳ステージ。そのため”ミニ・ロンバルディア”と呼ばれる195kmコースには1級山岳ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァ(残り160.2km)から始まる4つのカテゴリー山岳が詰め込まれており、最終2級山岳ロンコラ・アルタ(距離10km/平均6.7%)をクリアし、その頂上からベルガモまでのフィニッシュまでは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が制した2021年のイル・ロンバルディアと重なるレイアウトだ。
長い距離の登坂を得意とするクライマーよりも、クラシックレースが得意なパンチャー寄りの選手に向いているステージ。もちろん連日レースを盛り上げる逃げ切りに適したコースであり、また翌日が大会最後の休息日であることから総合上位勢による争いも注目された。
この日はスタートの直前に、イタリアメディアのガゼッタがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)の今年限りでの引退を伝えた。報道によるとカヴェンディッシュは翌日の休息日に正式発表をする予定なのだという。そんなざわめきの中選手たちは、マリアローザに身を包んだブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)を先頭にスタートを切った。
レースは序盤から予想通りの激しいアタック合戦で幕開け、第8ステージで初勝利を挙げたベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出しにシモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)が追従する。それにバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が合流し、遅れて2日前の勝者エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)もジョイン。スタート後僅か15kmで17名の逃げグループが形成された。
最初の1級山岳ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァの麓で逃げに5分30秒のリードを許したメイン集団は、フランス人として24年振りのマリアローザ着用者となったアルミライルを擁するグルパマFDJが先導する。トップ通過者に最大40ポイントが与えられるその頂上は、ルビオと肩をぶつけ合う熱戦をヒーリーが制してランキング4位にジャンプアップ。逃げに乗ることができなかったマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)や2位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)に対し、ルビオとヒーリーが山岳賞争いに名乗りを上げた。
逃げの中で最も総合タイムが良いシモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)でも15分33秒遅れのため、マリアローザ保持が至上命題のグルパマFDJは先頭との差を6分前後でキープする。そしてコース中盤に訪れる2連続の2級山岳では1つ目をヒーリー、2つ目をルビオがトップ通過し、それぞれ18ポイントを上積みした。
この日最後の2級山岳ロンコラ・アルタ(距離10km/平均6.7%)に続く約30kmの平坦区間で、15名に減った逃げ集団からニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出す。スプリンター寄りのボニファツィオは最大1分18秒までリードを拡げながら最終山岳に入り、後続ではルビオのアシストをする37歳のベテラン、ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)を先頭とする8名が追いかけた。
登りで早々とボニファツィオを捉えた逃げ集団からは地元イタリア出身のマルコ・フリーゴ(イスラエル・プレミアテック)が飛び出し、一定のペースで踏み続けたマクナルティが合流。その後ろでロハスに感謝を告げたルビオとヒーリーが追い、呼吸を整えたヒーリーが軽快なダンシングでスピードアップして、単独で先頭に追いつく。
フリーゴとマクナルティに合流したヒーリーは、しばらく脚を休めた後にマクナルティの加速を利用してアタック。頂上を先頭通過したヒーリーは18ポイントを加算して山岳賞ランキングで4位(合計108ポイント)まで上がり、またルビオも4位通過(+4ポイント)で2位に浮上したため、カテゴリー山岳の連続する第3週目を前にマリアアッズーラ争いは混迷の様相を呈することに。
一方、最終山岳でユンボ・ヴィスマが一瞬攻勢に出たプロトンは落ち着きを取り戻し、UAEチームエミレーツやボーラ・ハンスグローエがアタックを抑制しながら頂上を通過。この時点で7分17秒までその差が拡大したため、勝利は4日連続で逃げ集団に委ねられることになった。
登りでリードを稼いだヒーリーだったが下りでマクナルティが追いつき、2人はローテーションを回しながらベルガモに向かって突き進む。ハイペースで踏み続ける2人に残り10kmでフリーゴも合流し、3名でイル・ロンバルディアでお馴染みのフィニッシュ前の丘「コッレ・アペルト」に突入。ここでもヒーリーがアタックし、フリーゴを振り落とせたもののマクナルティは食い下がった。
スプリントを意識した牽制によるスピードダウンに、フリーゴが最終ストレートで再び合流を果たす。2人の後ろについたフリーゴは脚を休めることなくスプリントを開始。しかしフィニッシュ手前でヒーリーとマクナルティが追い抜き、白熱のスプリントをマクナルティが制した。
フィニッシュ後何度もガッツポーズを繰り返し、自身初となるグランツール区間優勝を喜んだマクナルティ。「素晴らしい気持ちだ。ステージ優勝は個人的に掲げていた大きな目標だった。ヒーリーの登坂アタックに食らいつき、スプリントに持ち込むことができた。ステージ優勝という成果を挙げたいま、これでチームの目標である総合争いに集中ができるよ」と、念願の勝利を掴んだマクナルティは語っている。
総合2位のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)など総合上位陣を含むプロトンは6分53秒遅れでフィニッシュ。コッレ・アペルトで遅れを取ったアルミライルも、33秒遅れに食い止めてマリアローザの保持に成功している。
レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)と言ったマリアローザ候補がレースを去ったジロ第2週目。ここまで個人タイムトライアルを除けばほとんど争いがなく膠着状態の総合争いは、翌日の休息日を挟んだ後”山岳尽くし”の第3週目を迎える。
第106回ジロ・デ・イタリアの第2週目を締めくくるのは、毎年10月に開催されるイル・ロンバルディアのコースをなぞる中級山岳ステージ。そのため”ミニ・ロンバルディア”と呼ばれる195kmコースには1級山岳ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァ(残り160.2km)から始まる4つのカテゴリー山岳が詰め込まれており、最終2級山岳ロンコラ・アルタ(距離10km/平均6.7%)をクリアし、その頂上からベルガモまでのフィニッシュまでは、タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が制した2021年のイル・ロンバルディアと重なるレイアウトだ。
長い距離の登坂を得意とするクライマーよりも、クラシックレースが得意なパンチャー寄りの選手に向いているステージ。もちろん連日レースを盛り上げる逃げ切りに適したコースであり、また翌日が大会最後の休息日であることから総合上位勢による争いも注目された。
この日はスタートの直前に、イタリアメディアのガゼッタがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)の今年限りでの引退を伝えた。報道によるとカヴェンディッシュは翌日の休息日に正式発表をする予定なのだという。そんなざわめきの中選手たちは、マリアローザに身を包んだブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ)を先頭にスタートを切った。
レースは序盤から予想通りの激しいアタック合戦で幕開け、第8ステージで初勝利を挙げたベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出しにシモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)が追従する。それにバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)やブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が合流し、遅れて2日前の勝者エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)もジョイン。スタート後僅か15kmで17名の逃げグループが形成された。
最初の1級山岳ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァの麓で逃げに5分30秒のリードを許したメイン集団は、フランス人として24年振りのマリアローザ着用者となったアルミライルを擁するグルパマFDJが先導する。トップ通過者に最大40ポイントが与えられるその頂上は、ルビオと肩をぶつけ合う熱戦をヒーリーが制してランキング4位にジャンプアップ。逃げに乗ることができなかったマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)や2位ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)に対し、ルビオとヒーリーが山岳賞争いに名乗りを上げた。
逃げの中で最も総合タイムが良いシモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン)でも15分33秒遅れのため、マリアローザ保持が至上命題のグルパマFDJは先頭との差を6分前後でキープする。そしてコース中盤に訪れる2連続の2級山岳では1つ目をヒーリー、2つ目をルビオがトップ通過し、それぞれ18ポイントを上積みした。
この日最後の2級山岳ロンコラ・アルタ(距離10km/平均6.7%)に続く約30kmの平坦区間で、15名に減った逃げ集団からニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が飛び出す。スプリンター寄りのボニファツィオは最大1分18秒までリードを拡げながら最終山岳に入り、後続ではルビオのアシストをする37歳のベテラン、ホセ・ロハス(スペイン、モビスター)を先頭とする8名が追いかけた。
登りで早々とボニファツィオを捉えた逃げ集団からは地元イタリア出身のマルコ・フリーゴ(イスラエル・プレミアテック)が飛び出し、一定のペースで踏み続けたマクナルティが合流。その後ろでロハスに感謝を告げたルビオとヒーリーが追い、呼吸を整えたヒーリーが軽快なダンシングでスピードアップして、単独で先頭に追いつく。
フリーゴとマクナルティに合流したヒーリーは、しばらく脚を休めた後にマクナルティの加速を利用してアタック。頂上を先頭通過したヒーリーは18ポイントを加算して山岳賞ランキングで4位(合計108ポイント)まで上がり、またルビオも4位通過(+4ポイント)で2位に浮上したため、カテゴリー山岳の連続する第3週目を前にマリアアッズーラ争いは混迷の様相を呈することに。
一方、最終山岳でユンボ・ヴィスマが一瞬攻勢に出たプロトンは落ち着きを取り戻し、UAEチームエミレーツやボーラ・ハンスグローエがアタックを抑制しながら頂上を通過。この時点で7分17秒までその差が拡大したため、勝利は4日連続で逃げ集団に委ねられることになった。
登りでリードを稼いだヒーリーだったが下りでマクナルティが追いつき、2人はローテーションを回しながらベルガモに向かって突き進む。ハイペースで踏み続ける2人に残り10kmでフリーゴも合流し、3名でイル・ロンバルディアでお馴染みのフィニッシュ前の丘「コッレ・アペルト」に突入。ここでもヒーリーがアタックし、フリーゴを振り落とせたもののマクナルティは食い下がった。
スプリントを意識した牽制によるスピードダウンに、フリーゴが最終ストレートで再び合流を果たす。2人の後ろについたフリーゴは脚を休めることなくスプリントを開始。しかしフィニッシュ手前でヒーリーとマクナルティが追い抜き、白熱のスプリントをマクナルティが制した。
フィニッシュ後何度もガッツポーズを繰り返し、自身初となるグランツール区間優勝を喜んだマクナルティ。「素晴らしい気持ちだ。ステージ優勝は個人的に掲げていた大きな目標だった。ヒーリーの登坂アタックに食らいつき、スプリントに持ち込むことができた。ステージ優勝という成果を挙げたいま、これでチームの目標である総合争いに集中ができるよ」と、念願の勝利を掴んだマクナルティは語っている。
総合2位のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)やプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)など総合上位陣を含むプロトンは6分53秒遅れでフィニッシュ。コッレ・アペルトで遅れを取ったアルミライルも、33秒遅れに食い止めてマリアローザの保持に成功している。
レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)やテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)、アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)と言ったマリアローザ候補がレースを去ったジロ第2週目。ここまで個人タイムトライアルを除けばほとんど争いがなく膠着状態の総合争いは、翌日の休息日を挟んだ後”山岳尽くし”の第3週目を迎える。
ジロ・デ・イタリア2023第15ステージ結果
1位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 5:13:39 |
2位 | ベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
3位 | マルコ・フリーゴ(イタリア、イスラエル・プレミアテック) | |
4位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | +1:51 |
5位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | |
6位 | シモーネ・ヴェラスコ(イタリア、アスタナ・カザフスタン) | +2:26 |
7位 | アンドレア・パスクアロン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
8位 | ローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | +3:10 |
9位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ) | +4:13 |
10位 | フランソワ・ビダール(フランス、コフィディス) | |
13位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +6:53 |
15位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
18位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
32位 | ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ) | +7:26 |
117位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +29:44 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ブルーノ・アルミライル(フランス、グルパマFDJ) | 61:38:06 |
2位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:08 |
3位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:10 |
4位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:39 |
5位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +1:50 |
6位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:26 |
7位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +3:02 |
8位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +3:40 |
9位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +3:55 |
10位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +4:18 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 164pts |
2位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | 112pts |
3位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | 88pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) | 144pts |
2位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | 116pts |
3位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 114pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 61:39:36 |
2位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:20 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:25 |
チーム総合成績
1位 | バーレーン・ヴィクトリアス | 184:21:09 |
2位 | EFエデュケーション・イージーポスト | +27:23 |
3位 | イスラエル・プレミアテック | +27:52 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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