2023/05/20(土) - 08:00
悪天候のためチーマ・コッピ(大会最標高地点)であるグラン・サンベルナール峠が除外され、74.6kmの短縮コースで争われたジロ・デ・イタリア13日目。ピノを退けたエイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)が逃げ切り勝利を挙げ、総合上位陣に動きはなかった。
ジロ・デ・イタリア第2週目の山場である第13ステージは、アルプス山脈を舞台に今大会初の5つ星(難易度)がついた山岳決戦。しかし、レース主催者はコース中盤に設定されたチーマ・コッピ(大会最高地点)のグラン・サンベルナール峠を「悪天候により走行は危険」と判断。そのため本来のスタート地点であるボルゴフランコ・ディヴレーアでパレード走行を行った後、チームバスで1級山岳クロワ・ド・クールの麓に移動して再スタートする、74.6kmの短縮コースで行われることになった。
今大会最長かつ最高地点の登坂はなくなったものの、スタート直後から登坂する1級山岳クロワ・ド・クールは距離15.4km/平均8.8%と過酷。その後22kmの急勾配な下りの途中でスイスに入国し、最後は1級山岳クラン・モンタナ(距離13.1km/平均7.2%)を登り詰める。
この日は第6ステージで勝利したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が気管支炎のためレースを去った。ピーダスンは中間スプリントでも積極的にポイントを狙いマリアチクラミーノのランキングでも2位につけていたため、マリアチクラミーノを着るジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の最終的なポイント賞獲得が現実味を帯びることに。また、2022年までエオーロ・コメタに所属していた25歳のアルトゥロ・グラヴァロス(スペイン)が脳腫瘍のため死去。そのためエオーロ・コメタは全員が左腕に黒の紋章をつけてスタートしている。
約2時間のバス移動の末にアクチュアルスタートが切られ、レースはカレル・ヴァチェク(チェコ、チーム・コラテック)のファーストアタックで幕を開ける。しかし直後にヴァチェクのチェーンが外れ、代わってサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)が先頭へ。一方、集団の後方では8%前後の勾配にフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)らスプリンターたちが早々と遅れ、グルペットを形成してフィニッシュを目指した。
アタックと吸収を繰り返す集団からジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出し、それをティボー・ピノ(フランス)を擁するグルパマFDJが組織的に捉える。そのペースアップに追従した選手たちを含めた5名が先頭グループを形成したものの、序盤から積極的に逃げを狙ったマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)は入ることができなかった。
第13ステージで逃げた5名
ヴァランタン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン)
ジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)
ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)
逃げを容認したメイン集団ではジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れたものの、バーレーンが先頭に出てペースダウンを実施。その甲斐もありヘイグは集団復帰を果たし、直後に雨が降り始めたため選手たちはこの日もレインジャケットを着用することになった。
今年が現役ラストイヤーのピノは最初の登りから積極的で、ほぼ先頭固定のまま1級山岳クロワ・ド・クールの頂上をトップでクリアして40ポイントを獲得。その後は道幅が狭く、ところどころ濡れた路面の下りでパレパントルが仕掛けたものの、逃げグループから抜け出すには至らない。
プロトンはこの日もマリアローザを擁するイネオスが牽引し、特に35歳のベン・スウィフト(イギリス)がライバルたちのアタックを防ぐ巧みなペースコントロールを披露。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)などが時折笑顔を見せるリラックスした雰囲気で、最終山岳に向かって距離を消化していった。
先頭の5名はメイン集団との差を3分まで築いてフィニッシュ地点の引かれた1級山岳クラン・モンタナ(距離13.1km/平均7.2%)に突入する。ほぼ逃げ切りが確定した逃げ集団から登坂の序盤でピノがアタックすると、すかさずセペダが追いつき、遅れてルビオやジーが合流する一方でパレパントルが脱落した。
その後ピノは何度もダンシングで仕掛けるものの、一定のペースで踏み続けるセペダとルビオがその都度追いつく。途中セペダが仕掛けるシーンもありながらも決定打に欠いたため3名のままフラムルージュ(残り1km)を通過。先んじて腰を上げ、ダンシングするセペダにルビオとピノが食らいつき、ここまで力を溜めていたルビオが残り300mで先頭へ。そしてルビオの加速にセペダが諦め、最後まで粘るピノも引き離したルビオが勝利した。
「ようやく僕の日がやってきた。悪天候の連続だったここまでのステージは辛く、それでも諦めることなくチャンスを伺い続けていた。セペダとピノが強いことは知っていたので、彼らに争いをさせるしか僕が勝つ方法はなかった。そして今日、ようやく僕の夢が叶ったんだ」とルビオは語る。
ルビオは2020年にモビスターでプロデビューしたコロンビア出身のクライマー。今年2月のUAEツアーでは25歳の誕生日にプロ初勝利を飾り、「今大会に向けて一生懸命準備してきた」と語る3度目のジロで念願の区間初優勝を掴み取った。
一方で、惜しくも敗れ区間2位のピノはバイスから山岳賞ジャージの奪還に成功。だがピノはレース後、先頭交代を断り続けた3位のセペダに対し「癪に障る彼にだけは勝ってほしくなかった」と不満を口にした。
プロトンではロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、エオーロ・コメタ)のアタックから総合ジャンプアップを目指すヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が仕掛ける。集団を牽引するイネオスはカーシーの加速は許したものの、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)のアタックを潰し、総合上位陣はトップから1分35秒遅れでフィニッシュしている。
ジロ・デ・イタリア第2週目の山場である第13ステージは、アルプス山脈を舞台に今大会初の5つ星(難易度)がついた山岳決戦。しかし、レース主催者はコース中盤に設定されたチーマ・コッピ(大会最高地点)のグラン・サンベルナール峠を「悪天候により走行は危険」と判断。そのため本来のスタート地点であるボルゴフランコ・ディヴレーアでパレード走行を行った後、チームバスで1級山岳クロワ・ド・クールの麓に移動して再スタートする、74.6kmの短縮コースで行われることになった。
今大会最長かつ最高地点の登坂はなくなったものの、スタート直後から登坂する1級山岳クロワ・ド・クールは距離15.4km/平均8.8%と過酷。その後22kmの急勾配な下りの途中でスイスに入国し、最後は1級山岳クラン・モンタナ(距離13.1km/平均7.2%)を登り詰める。
この日は第6ステージで勝利したマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が気管支炎のためレースを去った。ピーダスンは中間スプリントでも積極的にポイントを狙いマリアチクラミーノのランキングでも2位につけていたため、マリアチクラミーノを着るジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)の最終的なポイント賞獲得が現実味を帯びることに。また、2022年までエオーロ・コメタに所属していた25歳のアルトゥロ・グラヴァロス(スペイン)が脳腫瘍のため死去。そのためエオーロ・コメタは全員が左腕に黒の紋章をつけてスタートしている。
約2時間のバス移動の末にアクチュアルスタートが切られ、レースはカレル・ヴァチェク(チェコ、チーム・コラテック)のファーストアタックで幕を開ける。しかし直後にヴァチェクのチェーンが外れ、代わってサイモン・クラーク(オーストラリア、イスラエル・プレミアテック)が先頭へ。一方、集団の後方では8%前後の勾配にフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)やマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)らスプリンターたちが早々と遅れ、グルペットを形成してフィニッシュを目指した。
アタックと吸収を繰り返す集団からジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)の飛び出し、それをティボー・ピノ(フランス)を擁するグルパマFDJが組織的に捉える。そのペースアップに追従した選手たちを含めた5名が先頭グループを形成したものの、序盤から積極的に逃げを狙ったマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)のダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ)は入ることができなかった。
第13ステージで逃げた5名
ヴァランタン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン)
ジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)
ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)
デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター)
逃げを容認したメイン集団ではジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が遅れたものの、バーレーンが先頭に出てペースダウンを実施。その甲斐もありヘイグは集団復帰を果たし、直後に雨が降り始めたため選手たちはこの日もレインジャケットを着用することになった。
今年が現役ラストイヤーのピノは最初の登りから積極的で、ほぼ先頭固定のまま1級山岳クロワ・ド・クールの頂上をトップでクリアして40ポイントを獲得。その後は道幅が狭く、ところどころ濡れた路面の下りでパレパントルが仕掛けたものの、逃げグループから抜け出すには至らない。
プロトンはこの日もマリアローザを擁するイネオスが牽引し、特に35歳のベン・スウィフト(イギリス)がライバルたちのアタックを防ぐ巧みなペースコントロールを披露。プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)などが時折笑顔を見せるリラックスした雰囲気で、最終山岳に向かって距離を消化していった。
先頭の5名はメイン集団との差を3分まで築いてフィニッシュ地点の引かれた1級山岳クラン・モンタナ(距離13.1km/平均7.2%)に突入する。ほぼ逃げ切りが確定した逃げ集団から登坂の序盤でピノがアタックすると、すかさずセペダが追いつき、遅れてルビオやジーが合流する一方でパレパントルが脱落した。
その後ピノは何度もダンシングで仕掛けるものの、一定のペースで踏み続けるセペダとルビオがその都度追いつく。途中セペダが仕掛けるシーンもありながらも決定打に欠いたため3名のままフラムルージュ(残り1km)を通過。先んじて腰を上げ、ダンシングするセペダにルビオとピノが食らいつき、ここまで力を溜めていたルビオが残り300mで先頭へ。そしてルビオの加速にセペダが諦め、最後まで粘るピノも引き離したルビオが勝利した。
「ようやく僕の日がやってきた。悪天候の連続だったここまでのステージは辛く、それでも諦めることなくチャンスを伺い続けていた。セペダとピノが強いことは知っていたので、彼らに争いをさせるしか僕が勝つ方法はなかった。そして今日、ようやく僕の夢が叶ったんだ」とルビオは語る。
ルビオは2020年にモビスターでプロデビューしたコロンビア出身のクライマー。今年2月のUAEツアーでは25歳の誕生日にプロ初勝利を飾り、「今大会に向けて一生懸命準備してきた」と語る3度目のジロで念願の区間初優勝を掴み取った。
一方で、惜しくも敗れ区間2位のピノはバイスから山岳賞ジャージの奪還に成功。だがピノはレース後、先頭交代を断り続けた3位のセペダに対し「癪に障る彼にだけは勝ってほしくなかった」と不満を口にした。
プロトンではロレンツォ・フォルトゥナート(イタリア、エオーロ・コメタ)のアタックから総合ジャンプアップを目指すヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)が仕掛ける。集団を牽引するイネオスはカーシーの加速は許したものの、ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)やエディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー)のアタックを潰し、総合上位陣はトップから1分35秒遅れでフィニッシュしている。
ジロ・デ・イタリア2023第13ステージ結果
1位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | 2:16:21 |
2位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | +0:06 |
3位 | ジェフェルソン・セペダ(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) | +0:12 |
4位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | +1:01 |
5位 | ヴァランタン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | +1:29 |
6位 | ヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト) | |
7位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:35 |
8位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | |
9位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | |
10位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
11位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | |
13位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
105位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +20:56 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 51:20:01 |
2位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +0:02 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:22 |
4位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:42 |
5位 | ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | +1:28 |
6位 | レナード・ケムナ(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) | +1:52 |
7位 | エディ・ダンバー(アイルランド、ジェイコ・アルウラー) | +2:32 |
8位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:45 |
9位 | ローレンス・デプルス(ベルギー、イネオス・グレナディアーズ) | +3:08 |
10位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | +3:13 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 164pts |
2位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | 88pts |
3位 | デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) | 71pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 114pts |
2位 | ダヴィデ・バイス(イタリア、エオーロ・コメタ) | 104pts |
3位 | エイネルアウグスト・ルビオ(コロンビア、モビスター) | 68pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 51:20:23 |
2位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | +0:20 |
3位 | テイメン・アレンスマン(オランダ、イネオス・グレナディアーズ) | +2:23 |
チーム総合成績
1位 | ユンボ・ヴィスマ | 153:56:55 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +4:02 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +9:15 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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