今年からUCIプロシリーズに昇格したツール・ド・ハンガリーが5月10日(水)に開幕。豪華スプリンターによる初日の集団スプリントをディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)が制した。



ハンガリー5日間レースに臨むディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

ツール・ド・ハンガリー2023 コースマップ image:Tour de Hongrie
5月10日(水)に中央ヨーロッパのハンガリーを舞台にしたツール・ド・ハンガリーが開幕した。1925年にスタートした歴史深いステージレースだが、1990〜2000年代にかけて30年もの休止期間を挟んだだめ開催されるのは今年で44回目。今年からレースカテゴリーがUCIプロシリーズ(上から2番目)に昇格させた大会は、首都ブタペストとその西部を巡る5日間で争われる。

1級山岳にフィニッシュする4日目を除き、いずれも集団スプリントが濃厚なステージが並ぶため、ファビオ・ヤコブセン(オランダ、スーダル・クイックステップ)やディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)、カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・デスティニー)など世界のトップスプリンターが集結。その他にもツール・ド・フランスに向け調子を上げたいエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)も出場した。

大会初日に逃げ集団を形成した5名 photo:CorVos

ボーラ・ハンスグローエなどスプリンターチームがプロトンをコントロール photo:CorVos

大会初日はコース真ん中に3級山岳が設定された平坦ステージ。序盤からシャルル・プラネ(フランス、ノボノルディスク)ら5名が逃げグループを作り、それをワールドチームのジェイコ・アルウラーやスーダル・クイックステップ、ボーラ・ハンスグローエなどのスプリンターチームが先導するメイン集団が追う展開に。しかし残り27kmで逃げが捉まり、直後にベルナルがプロトンを牽引するシーンもありながら集団はフィニッシュラインの引かれたセントゴットハールド市街地へ突入した。

残り2km地点を過ぎて各チームが並べたトレインが狭い道幅いっぱいに拡がるなか、集団から外へ弾かれるようにミカ・ヘミング(ドイツ、チューダー・プロサイクリングチーム)が沿道に投げ出される。これは大勢に影響はなかったものの、位置取りが激しさをましたプロトンはフラムルージュ(残り1km地点)の直前で再び落車が発生。これにベルナルやチームメイトのルーク・プラップ(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)ら12名程度の選手が巻き込まれた。

終盤でもメイン集団の先頭はスプリンターチームが先導する photo:CorVos

フルーネウェーヘンが先頭に立ち、ユアンとベネットが迫る photo:CorVos

3人が同時にハンドルを投げたスプリントをディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)が制す photo:CorVos

一方の先頭では、ダニー・ファンポッペル(オランダ、ボーラ・ハンスグローエ)のリードアウトからサム・ベネット(アイルランド)が発射。それにフルーネウェーヘンとユアンが並び、3人同時にハンドルを投げたる接戦をフルーネウェーヘンが制した。

「予想通り混沌となったレース。追い風の高速スプリントとなり、ストレスのかかるなかチームが僕を適切な位置まで運んでくれた。ベネット相手にとても良いスプリトができたよ。ツール・ド・ハンガリーを最高の形でスタートすることができた」と豪華スプリンターを退け、今季3勝目を飾ったフルーネウェーヘンは語っている。

また、終盤で落車したベルナルに大きな怪我はなかったものの、プラップは脳震盪により途中リタイアとなっている。

大会初日で勝利を飾ったディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) photo:CorVos

落車するも、無事フィニッシュしたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
ツール・ド・ハンガリー2023第1ステージ結果
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) 3:42:56
2位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・デスティニー)
4位 フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)
5位 アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)
個人総合成績
1位 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー) 3:42:46
2位 マティアス・ストチェック(スロバキア、ATTイベストメント) +0:02
3位 サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) +0:04
4位 シャルル・プラネ(フランス、ノボノルディスク) +0:05
5位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・デスティニー) +0:06
その他の特別賞
ポイント賞 ディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)
山岳賞 マティアス・ストチェック(スロバキア、ATTイベストメント)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツ
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos