2023/05/11(木) - 08:15
コースに飛び出した犬と雨によりエヴェネプールが2度の落車に見舞われたジロ・デ・イタリア第5ステージ。フィニッシュ直前にカヴェンディッシュが落車した混沌の集団スプリントで、カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)が勝利を収めた。
今大会2つ目の平坦ステージは、時計回りに円を描くようにアトリパルダからアドリア海に面したサレルノに至る172km。スタート直後に3級山岳を越え、細かなアップダウンと2つ目の3級山岳をクリアした中盤からは50kmの平坦路がフィニッシュラインまで続いていく。ラスト15kmは直線路のため大集団によるスプリントが予想されたレースは、雨で滑る路面が混沌を作り出した。
連日降り続ける雨の影響からか、体調不良でラモン・シンケルダム(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)ら3名が未出走。そしてこの日のジロも雨。選手全員がレインウェアを着てスタートを切り、ステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)とマリアアッズーラ(山岳賞)を着用するティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が逃げを打つ。そこにグリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネのマルティン・マルチェルージとサムエーレ・ゾッカラート(共にイタリア)が合流し、4名の逃げグループが形成された。
最初の3級山岳に入る手前、スタートから僅か5kmのコーナーでマルチェルージとガンディンがそれぞれタイヤを滑らせ落車する。レース復帰に時間のかかったマルチェルージが遅れ、入れ代わるようにトマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)が合流。再び4名となった先頭集団はピノが先頭で3級山岳をクリアし、狙い通り山岳ポイントを9点加算。その後ピノは早々とメイン集団に戻っている。
逃げとそれを追うメイン集団という典型的なスプリントステージの展開に持ち込まれると思いきや、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が沿道から飛び出した犬と接触して落車。それに総合2位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が巻き込まれたものの、大きな怪我もなくチームメイトのアシストによって無事に集団復帰を果たしている。
そしてようやく落ち着いたプロトンは、ステージ優勝を狙うトレック・セガフレードとアルペシン・ドゥクーニンクがタイム差のコントロールにあたる。逃げの3名が通過した中間スプリント(残り105.7km地点)では、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)がマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)に先着して5ポイントを獲得した。
2分30秒前後のリードを得た逃げ集団では、故郷のオリヴェート・チトラに設定された3級山岳をゾッカラートがトップ通過。総合エースの安全確保のためスーダル・クイックステップやユンボ・ヴィスマもプロトン先頭に人数を集める。一方、タイム差が1分を切った逃げ集団からゾッカラートがアタック。地元勝利を飾るべく一人フィニッシュを目指した。
サレルノの街に引かれたフィニッシュに向けアドリア海沿岸を進むプロトンは、平均速度が35km台とスローペースでシャンピオンとガンディンを飲み込む。途中、大会2勝目を目指すミランを集団前方へと引き上げる新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の姿もありながら、ゾッカラートの姿が見えた残り7km地点で再びプロトンで落車が発生する。
右コーナーにタイヤを滑らせ転倒したアルペシン・ドゥクーニンクの選手に、そのエースであるカーデン・グローブス(オーストラリア)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)などスプリンターたちが巻き込まれる。またこの落車によってプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)やマリアローザのアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)が遅れを取った一方で、免れたエヴェネプールらが約30名の先頭集団を形成した。
スーダル・クイックステップが牽引する先頭集団がゾッカラートを捉え、遅れたログリッチたちが残り3km地点で復帰を果たす。しかしその直後、直線路で番手を上げるトレック・セガフレードの選手とエヴェネプールが接触して落車。そこにアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)やヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)らが巻き込まれたものの、ラスト3km以内でのアクシデントだったため、救済措置によりタイム差なし扱いになっている。
マイケル・マシューズ(オーストラリア)を擁するジェイコ・アルウラーやグローブス(オーストラリア)のアルペシン・ドゥクーニンクがスプリントトレインを並べながらフラムルージュ(残り1km地点)を通過する。アルベルト・ダイネーゼ(イタリア)のため先頭に出たチームDSMがコントロールを終え、残り200mでグローブスがスプリントを開始。ミランやマシューズもそれに続く。
先行したグローブスは猛追するミランに先頭を譲らず、ピーダスンはスピードが伸びない。その後方ではコース上の白線に後輪を滑らせたカヴェンディッシュが減速し、その前を横切りながら番手を上げたダイネーゼと接触。カヴェンディッシュが落車するなか、ミランとピーダスンを抑え込んだグローブスが勝利した。
混沌のステージで勝利を挙げたグローブスは「驚きの勝利だ。残り7km地点で落車し、外れたチェーンを直して再出走した。幸運にも集団に復帰して、最後はチームDSMのトレインの背後から勝利することができた」とコメント。「昨年の11月頃からずっと目標にしていたジロでの勝利。僕を勝利へと導いてくれたチームメイトに感謝したい」と、グローブスは自身初となるジロでのステージ優勝を喜んだ。
身体を地面に打ちつけながらフィニッシュラインを通過したカヴェンディッシュはレース後にコメント動画を公開。「膝が痛むものの、骨折はないだろう。アルベルト(ダイネーゼ)から電話をもらったが、これもスプリントの一部だ。皆の無事を祈ると同時に、勝利したグローブスにおめでとうと伝えたい」と語っている。なお4着でフィニッシュしたダイネーゼには斜行によって降格ペナルティが課されている。
また、2度の落車に見舞われたエヴェネプールやログリッチ、アルメイダ、そしてマリアローザのレックネスンなどの総合上位陣は、トップと同タイムでレースを終えている。
今大会2つ目の平坦ステージは、時計回りに円を描くようにアトリパルダからアドリア海に面したサレルノに至る172km。スタート直後に3級山岳を越え、細かなアップダウンと2つ目の3級山岳をクリアした中盤からは50kmの平坦路がフィニッシュラインまで続いていく。ラスト15kmは直線路のため大集団によるスプリントが予想されたレースは、雨で滑る路面が混沌を作り出した。
連日降り続ける雨の影響からか、体調不良でラモン・シンケルダム(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)ら3名が未出走。そしてこの日のジロも雨。選手全員がレインウェアを着てスタートを切り、ステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)とマリアアッズーラ(山岳賞)を着用するティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)が逃げを打つ。そこにグリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネのマルティン・マルチェルージとサムエーレ・ゾッカラート(共にイタリア)が合流し、4名の逃げグループが形成された。
最初の3級山岳に入る手前、スタートから僅か5kmのコーナーでマルチェルージとガンディンがそれぞれタイヤを滑らせ落車する。レース復帰に時間のかかったマルチェルージが遅れ、入れ代わるようにトマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)が合流。再び4名となった先頭集団はピノが先頭で3級山岳をクリアし、狙い通り山岳ポイントを9点加算。その後ピノは早々とメイン集団に戻っている。
逃げとそれを追うメイン集団という典型的なスプリントステージの展開に持ち込まれると思いきや、ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、スーダル・クイックステップ)が沿道から飛び出した犬と接触して落車。それに総合2位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が巻き込まれたものの、大きな怪我もなくチームメイトのアシストによって無事に集団復帰を果たしている。
そしてようやく落ち着いたプロトンは、ステージ優勝を狙うトレック・セガフレードとアルペシン・ドゥクーニンクがタイム差のコントロールにあたる。逃げの3名が通過した中間スプリント(残り105.7km地点)では、マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)がマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)を着るジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)に先着して5ポイントを獲得した。
2分30秒前後のリードを得た逃げ集団では、故郷のオリヴェート・チトラに設定された3級山岳をゾッカラートがトップ通過。総合エースの安全確保のためスーダル・クイックステップやユンボ・ヴィスマもプロトン先頭に人数を集める。一方、タイム差が1分を切った逃げ集団からゾッカラートがアタック。地元勝利を飾るべく一人フィニッシュを目指した。
サレルノの街に引かれたフィニッシュに向けアドリア海沿岸を進むプロトンは、平均速度が35km台とスローペースでシャンピオンとガンディンを飲み込む。途中、大会2勝目を目指すミランを集団前方へと引き上げる新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)の姿もありながら、ゾッカラートの姿が見えた残り7km地点で再びプロトンで落車が発生する。
右コーナーにタイヤを滑らせ転倒したアルペシン・ドゥクーニンクの選手に、そのエースであるカーデン・グローブス(オーストラリア)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)などスプリンターたちが巻き込まれる。またこの落車によってプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)やマリアローザのアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)が遅れを取った一方で、免れたエヴェネプールらが約30名の先頭集団を形成した。
スーダル・クイックステップが牽引する先頭集団がゾッカラートを捉え、遅れたログリッチたちが残り3km地点で復帰を果たす。しかしその直後、直線路で番手を上げるトレック・セガフレードの選手とエヴェネプールが接触して落車。そこにアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)やヒュー・カーシー(イギリス、EFエデュケーション・イージーポスト)らが巻き込まれたものの、ラスト3km以内でのアクシデントだったため、救済措置によりタイム差なし扱いになっている。
マイケル・マシューズ(オーストラリア)を擁するジェイコ・アルウラーやグローブス(オーストラリア)のアルペシン・ドゥクーニンクがスプリントトレインを並べながらフラムルージュ(残り1km地点)を通過する。アルベルト・ダイネーゼ(イタリア)のため先頭に出たチームDSMがコントロールを終え、残り200mでグローブスがスプリントを開始。ミランやマシューズもそれに続く。
先行したグローブスは猛追するミランに先頭を譲らず、ピーダスンはスピードが伸びない。その後方ではコース上の白線に後輪を滑らせたカヴェンディッシュが減速し、その前を横切りながら番手を上げたダイネーゼと接触。カヴェンディッシュが落車するなか、ミランとピーダスンを抑え込んだグローブスが勝利した。
混沌のステージで勝利を挙げたグローブスは「驚きの勝利だ。残り7km地点で落車し、外れたチェーンを直して再出走した。幸運にも集団に復帰して、最後はチームDSMのトレインの背後から勝利することができた」とコメント。「昨年の11月頃からずっと目標にしていたジロでの勝利。僕を勝利へと導いてくれたチームメイトに感謝したい」と、グローブスは自身初となるジロでのステージ優勝を喜んだ。
身体を地面に打ちつけながらフィニッシュラインを通過したカヴェンディッシュはレース後にコメント動画を公開。「膝が痛むものの、骨折はないだろう。アルベルト(ダイネーゼ)から電話をもらったが、これもスプリントの一部だ。皆の無事を祈ると同時に、勝利したグローブスにおめでとうと伝えたい」と語っている。なお4着でフィニッシュしたダイネーゼには斜行によって降格ペナルティが課されている。
また、2度の落車に見舞われたエヴェネプールやログリッチ、アルメイダ、そしてマリアローザのレックネスンなどの総合上位陣は、トップと同タイムでレースを終えている。
ジロ・デ・イタリア2023第5ステージ結果
1位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 4:30:19 |
2位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
3位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | |
4位 | マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) | |
5位 | ニコラス・ダッラヴァッレ(イタリア、チーム・コラテック) | |
6位 | ミルコ・マエストリ(イタリア、エオーロ・コメタ) | |
7位 | フィリッポ・フィオレッリ(イタリア、グリーンプロジェクト・バルディアーニCSF・ファイザネ) | |
8位 | アンドレア・ヴェンドラーメ(イタリア、AG2Rシトロエン) | |
9位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
10位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
25位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | |
60位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | |
68位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
107位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | |
157位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) | 19:06:03 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | +0:28 |
3位 | オレリアン・パレパントル(フランス、AG2Rシトロエン) | +0:30 |
4位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:00 |
5位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | +1:12 |
6位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:26 |
7位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | トムス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) | +1:29 |
9位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +1:30 |
10位 | ヴィンチェンツォ・アルバネーゼ(イタリア、エオーロ・コメタ) | +1:39 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 92pts |
2位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 91pts |
3位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード) | 56pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ) | 40pts |
2位 | ポール・ラペラ(フランス、AG2Rシトロエン) | 26pts |
3位 | サンティアゴ・ブイトラゴ(コロンビア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 22pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM), | 19:06:03 |
2位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ), | +0:28 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +1:00 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 57:21:58 |
2位 | ユンボ・ヴィスマ | +1:49 |
3位 | バーレーン・ヴィクトリアス | +2:15 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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