2023/05/16(火) - 18:45
マリアローザを着るエヴェネプールが棄権という衝撃で幕を下ろしたジロ・デ・イタリア第1週目。つづく第2週目はチーマコッピ(2,469m地点)のグラン・サンベルナールが登場し、いよいよ本格的に総合争いが動き出す。そんな第10〜15ステージのコースを紹介します。
5月16日(火)第10ステージ → コースマップ
スカンディアーノ〜ヴィアレッジョ 196km(平坦)
大会最初の休息日明けに行われる第10ステージはアドリア海から再びティレニア海に戻っていく。コースは脚のフレッシュなスプリンターたちによる集団スプリントが予想される平坦ステージ。とはいえスカンディアーノを出発直後からカテゴリーなき山岳を登り、コース中盤には2級山岳と急勾配の下りを経て4級山岳が登場する。
総獲得標高差3,000mオーバーの登りは前半に詰め込まれているため、”登れるスプリンター”のマイケル・マシューズ(オーストラリア)を擁するジェイコ・アルウラーやマッズ・ピーダスン(デンマーク)のトレック・セガフレードが登坂でペースアップするだろう。そのためピュアスプリンターにとっては序盤から試練の時となる。
5月17日(水)第11ステージ → コースマップ
カマイオーレ〜トルトナ 219km(平坦)
第106回大会の最長距離を誇るのが、ティレニア海に面したカマイオーレを出発して内陸部のトルトナに至る219kmだ。途中に3級、3級、4級山岳を越えるものの、いずれも平均勾配5%以下と難易度は低い。前日に登坂のペースアップに苦しんだピュアスプリンターたちもこの程度なら問題なく登れるだろう。
ラスト30kmからは道幅の広い直線路。遮るものはラウンドアバウト以外何もないが、残り500m地点に右コーナーが設定されているため、そこまでの位置取り争いが勝負にどんな影響を及ぼすか。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)、または新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)のサポートを受けるジョナサン・ミラン(イタリア)たちによるスピードバトルが期待される。
5月18日(木)第12ステージ → コースマップ
ブラ〜リーヴォリ 179km(丘陵)
アルプス山脈での山岳決戦を前に、選手たちはその手前にあるブラからリーヴォリを目指す。このステージが逃げ集団に有利と見られている理由は、スタート直後にカテゴリーなき山岳と3級山岳が連続して登場するため。一度フィニッシュ地点を通過していから臨む2級山岳コッレ・ブライダ(残り37.7km地点)は、全長9.8kmに加え平均勾配7.1%(最大12%)と総合勢によるアタックすら考えられる急坂だ。
フィニッシュ地点までの約13kmは平坦路だが、このレイアウトはピュアスプリンターには厳しそう。またリーヴォリ市街地に突入してからの道は狭く、鋭角コーナーも多い。そして残りフィニッシュ手前750m地点に8%の短い登りが、勝負にどう影響を及ぼすだろうか。
逃げ切りや集団スプリント、はたまた総合上位陣による争いなど、様々な可能性が考えられる。
5月19日(金)第13ステージ → コースマップ
ボルゴフランコ・ディヴレーア〜クラン・モンタナ(スイス) 207km(山岳/山頂)
今大会で初の難易度5つ星がついたアルプス山脈を舞台とした第13ステージ。距離207km/獲得標高差5,100mオーバーと過酷極まりない山岳決戦は平坦路で静かに始まり、コース中盤で早くも全長34km(!)のグラン・サンベルナール峠に突入する。
平均勾配は5.5%(最大勾配も10%)と数字上の難易度は低めだが、標高1,700mを超えて平均7.6%に跳ね上がる登坂を越え、2,469m地点は今年の「チーマ・コッピ(大会最標高地点)」に至る。そしてスイスに入国後は31kmに及ぶ急勾配のダウンヒルを経て、そのまま1級山岳クロワ・ド・クール(距離15.4km/平均8.8%)へ。再び22kmの下り最後は1級山岳クラン・モンタナ(距離13.1km/平均7.2%)にフィニッシュする。
第1週目の終了時点でグラン・サンベルナールにまだ雪が残っているため、レース主催者は山道を上がりきらずトンネルを通過するプランを検討中。しかし、直後のクロワ・ド・クールとクラン・モンタナは変わらないため、総合成績がシャッフルされることは間違いない。
5月20日(土)第14ステージ → コースマップ
シエール(スイス)〜カッサーノ・マニャーゴ 194km(平坦)
第14ステージは前日のフィニッシュ地点であるクラン・モンタナの麓、スイスのシエールをスタートする。そのレイアウトはシンプルで、コース前半に登場する1級山岳シンプロンパス・パッソ・デル・センピオーネ以外は平坦路。しかし登坂距離が20.2kmあるこの山岳は、序盤に最大勾配14%が訪れる平均6.5%の過酷な登りとなっている。
序盤に何名の逃げグループが形成されるか、あるいはスプリンターたちが総合チームのペースに食らいつくことができるのか。その後は約100kmに及ぶ平坦路を経て、アルベルト・コンタドール共にエオーロ・コメタのオーナーを務めるイヴァン・バッソ(イタリア)が居を構えるカッサーノ・マニャーゴにフィニッシュする。
5月21日(日)第15ステージ → コースマップ
セレーニョ〜ベルガモ 195km(山岳)
フィニッシュ地点であるベルガモという名に聞き覚えがあるのは、毎年10月に開催されるイル・ロンバルディアの舞台だから。ジロ第2週目は、主催者が”アーバン(都会の)山岳ステージ”と呼ぶ195kmコースで締めくくられる。
登場するのは1級山岳ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァ(残り160.2km)から始まる4つのカテゴリー山岳。コース中盤に2連続の2級山岳を越え、最後は2021年のイル・ロンバルディアでも通った2級ロンコラ・アルタ(距離10km/平均6.7%)をクリア。その頂上からフィニッシュまではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が優勝した2021年の「落ち葉のクラシック」と重なる。
長い距離の登坂を得意とするクライマーよりも、クラシックレースが得意なパンチャー寄りの選手に向いているレイアウト。爆発力のあるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はもちろん、過去にイル・ロンバルディアを制したことのあるティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)やバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)の走りに注目したい。
5月22日(月)休息日
text:Sotaro.Arakawa
5月16日(火)第10ステージ → コースマップ
スカンディアーノ〜ヴィアレッジョ 196km(平坦)
大会最初の休息日明けに行われる第10ステージはアドリア海から再びティレニア海に戻っていく。コースは脚のフレッシュなスプリンターたちによる集団スプリントが予想される平坦ステージ。とはいえスカンディアーノを出発直後からカテゴリーなき山岳を登り、コース中盤には2級山岳と急勾配の下りを経て4級山岳が登場する。
総獲得標高差3,000mオーバーの登りは前半に詰め込まれているため、”登れるスプリンター”のマイケル・マシューズ(オーストラリア)を擁するジェイコ・アルウラーやマッズ・ピーダスン(デンマーク)のトレック・セガフレードが登坂でペースアップするだろう。そのためピュアスプリンターにとっては序盤から試練の時となる。
5月17日(水)第11ステージ → コースマップ
カマイオーレ〜トルトナ 219km(平坦)
第106回大会の最長距離を誇るのが、ティレニア海に面したカマイオーレを出発して内陸部のトルトナに至る219kmだ。途中に3級、3級、4級山岳を越えるものの、いずれも平均勾配5%以下と難易度は低い。前日に登坂のペースアップに苦しんだピュアスプリンターたちもこの程度なら問題なく登れるだろう。
ラスト30kmからは道幅の広い直線路。遮るものはラウンドアバウト以外何もないが、残り500m地点に右コーナーが設定されているため、そこまでの位置取り争いが勝負にどんな影響を及ぼすか。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)やフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)、または新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)のサポートを受けるジョナサン・ミラン(イタリア)たちによるスピードバトルが期待される。
5月18日(木)第12ステージ → コースマップ
ブラ〜リーヴォリ 179km(丘陵)
アルプス山脈での山岳決戦を前に、選手たちはその手前にあるブラからリーヴォリを目指す。このステージが逃げ集団に有利と見られている理由は、スタート直後にカテゴリーなき山岳と3級山岳が連続して登場するため。一度フィニッシュ地点を通過していから臨む2級山岳コッレ・ブライダ(残り37.7km地点)は、全長9.8kmに加え平均勾配7.1%(最大12%)と総合勢によるアタックすら考えられる急坂だ。
フィニッシュ地点までの約13kmは平坦路だが、このレイアウトはピュアスプリンターには厳しそう。またリーヴォリ市街地に突入してからの道は狭く、鋭角コーナーも多い。そして残りフィニッシュ手前750m地点に8%の短い登りが、勝負にどう影響を及ぼすだろうか。
逃げ切りや集団スプリント、はたまた総合上位陣による争いなど、様々な可能性が考えられる。
5月19日(金)第13ステージ → コースマップ
ボルゴフランコ・ディヴレーア〜クラン・モンタナ(スイス) 207km(山岳/山頂)
今大会で初の難易度5つ星がついたアルプス山脈を舞台とした第13ステージ。距離207km/獲得標高差5,100mオーバーと過酷極まりない山岳決戦は平坦路で静かに始まり、コース中盤で早くも全長34km(!)のグラン・サンベルナール峠に突入する。
平均勾配は5.5%(最大勾配も10%)と数字上の難易度は低めだが、標高1,700mを超えて平均7.6%に跳ね上がる登坂を越え、2,469m地点は今年の「チーマ・コッピ(大会最標高地点)」に至る。そしてスイスに入国後は31kmに及ぶ急勾配のダウンヒルを経て、そのまま1級山岳クロワ・ド・クール(距離15.4km/平均8.8%)へ。再び22kmの下り最後は1級山岳クラン・モンタナ(距離13.1km/平均7.2%)にフィニッシュする。
第1週目の終了時点でグラン・サンベルナールにまだ雪が残っているため、レース主催者は山道を上がりきらずトンネルを通過するプランを検討中。しかし、直後のクロワ・ド・クールとクラン・モンタナは変わらないため、総合成績がシャッフルされることは間違いない。
5月20日(土)第14ステージ → コースマップ
シエール(スイス)〜カッサーノ・マニャーゴ 194km(平坦)
第14ステージは前日のフィニッシュ地点であるクラン・モンタナの麓、スイスのシエールをスタートする。そのレイアウトはシンプルで、コース前半に登場する1級山岳シンプロンパス・パッソ・デル・センピオーネ以外は平坦路。しかし登坂距離が20.2kmあるこの山岳は、序盤に最大勾配14%が訪れる平均6.5%の過酷な登りとなっている。
序盤に何名の逃げグループが形成されるか、あるいはスプリンターたちが総合チームのペースに食らいつくことができるのか。その後は約100kmに及ぶ平坦路を経て、アルベルト・コンタドール共にエオーロ・コメタのオーナーを務めるイヴァン・バッソ(イタリア)が居を構えるカッサーノ・マニャーゴにフィニッシュする。
5月21日(日)第15ステージ → コースマップ
セレーニョ〜ベルガモ 195km(山岳)
フィニッシュ地点であるベルガモという名に聞き覚えがあるのは、毎年10月に開催されるイル・ロンバルディアの舞台だから。ジロ第2週目は、主催者が”アーバン(都会の)山岳ステージ”と呼ぶ195kmコースで締めくくられる。
登場するのは1級山岳ヴァリコ・ディ・ヴァルカヴァ(残り160.2km)から始まる4つのカテゴリー山岳。コース中盤に2連続の2級山岳を越え、最後は2021年のイル・ロンバルディアでも通った2級ロンコラ・アルタ(距離10km/平均6.7%)をクリア。その頂上からフィニッシュまではタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が優勝した2021年の「落ち葉のクラシック」と重なる。
長い距離の登坂を得意とするクライマーよりも、クラシックレースが得意なパンチャー寄りの選手に向いているレイアウト。爆発力のあるプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)はもちろん、過去にイル・ロンバルディアを制したことのあるティボー・ピノ(フランス、グルパマFDJ)やバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)の走りに注目したい。
5月22日(月)休息日
text:Sotaro.Arakawa
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