2023/05/08(月) - 07:30
ラスト4kmで落車が発生したジロ・デ・イタリア第2ステージ。アルペシンの隊列を利用した22歳ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)が、初出場のジロで初勝利を飾った。
前日の個人タイムトライアルを終え、選手たちは第106回ジロ・デ・イタリア最初のロードステージに臨む。コースはアドリア海に面したテラーモからサン・サルヴォまでの204kmで、ほぼ真っ平らな沿岸線を進むコースは中盤に設定された2つの4級山岳を登坂する。
残り1km地点(フラムルージュ)の手前にラウンドアバウトと直角コーナーが連続するものの、ジロにありがちなフィニッシュ手前の登りはなし。紫色のマリアチクラミーノ(ポイント賞)をかけ、スピード自慢のスプリンターたちが白熱バトルを繰り広げた。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が2011年大会で勝利を挙げたテラーモのスタート地点では、ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)がマリアアッズーラ(山岳賞)を着用して登場するトラブル。確かに山岳賞トップはマクナルティなのだが、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)で首位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がマリアローザを、2位のジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)はポルトガル王者ジャージの着用を選んだため、マクナルティは繰り下げでマリアビアンカを優先しなければならず、マリアアッズーラは2位のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が着ることとなった。
アクチュアルスタートの直後に成立した逃げグループは4名。そこに出場選手中2番目に若い21歳アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・サムシック)が合流し、5名がアドリア海沿岸を進むコースで先頭に立った。
第2ステージ逃げメンバー
ポール・ラペラ(フランス、AG2Rシトロエン)
トマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)
マッティア・バイス(フランス、エオーロ・コメタ)
アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・サムシック)
ステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)
メイン集団ではリーダーチームであるスーダル・クイックステップが牽引し、2分のリードを築いた逃げグループではマリアアッズーラをかけた登坂バトルが勃発する。今大会最初のカテゴリー山岳、4級山岳シルヴィ・パエセをトップ通過したのはラペラ。フランス・ノルマンディー出身の22歳で、これがグランツール初出場のラペラは続く4級山岳も先頭で通過してマリアアッズーラの獲得に成功している。
大仕事を果たしたラペラは残り50kmでプロトンに戻り、最後まで粘った逃げの3名も残り38km地点で吸収される。メイン集団の先頭ではエーススプリンターを抱えるアルペシン・ドゥクーニンクやトレック・セガフレード、チームDSMが牽引に選手を送り、フィニッシュ地点であるサン・サルヴォに向けて徐々に緊張感が高まっていく。
残り11kmを過ぎ、日本王者ジャージを着た新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で22歳の若手スプリンター、ジョナサン・ミラン(イタリア)を引き上げるシーンも。またスプリンターチームとエースの安全を確保したい総合チームの隊列が、2車線道路を横いっぱいに拡がっていった。
残り4kmを表すバナーを通過直後、救済措置が適用される残り3km地点まであと僅かのところで落車が発生する。集団前方で起こったこの落車には優勝候補のカヴェンディッシュやマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が巻き込まれ、また総合上位のジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)やゲイガンハートも遅れ、タイムを失う不運に見舞われた。
落車を免れたエヴェネプールやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を含む44名は、ジェイコ・アルウラーが先頭でフラムルージュ(残り1km地点)を通過。この時点でカーデン・グローブス(オーストラリア)で勝負したいアルペシン・ドゥクーニンクはアシスト2枚を残す、理想的な体勢に持ち込んだ。
ラモン・シンケルダム(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトからグローブスが残り150mで発射し、時を同じく加速したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)と横並びに。大外からパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)も詰め寄るなか、グローブスの番手につけていたミランのスプリントが伸びた。
フィニッシュ手前で失速するガビリアとグローブスの間に割って入った194cmと大柄なミランはトップスピードに到達。その速度にはグローブスや追い上げるダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック)も敵わず、グランツール初出場のイタリアンスプリンターがジロ2日目を制した。
フィニッシュ後、新城らチームメイトと勝利の喜びを分かち合ったミラン。「信じられない勝利で言葉がない。初めてのジロで掴んだ勝利。チームメイトからは”落ち着け”と何度も伝えられ、完璧な位置まで僕を導いてくれた。本当に嬉しいが、いまはまだこの勝利が信じられない」と戸惑いながらも、ミランは笑顔で喜びを語った。
ミランはオーストリアとの国境にほど近いイタリア北部トルメッツォ出身の22歳。東京五輪ではチームパシュートで金メダルを獲得し、今年のトラック欧州選手権ではチームパシュートと個人パシュートの2冠を達成した。ロードでは2021年にバーレーンでプロデビューしたミラン。昨年は2勝、今年も1月のサウジ・ツアーで1勝を挙げ、プロ4勝目が母国イタリアでの金星となった。
2位には25歳のデッケルが入り、3位は24歳のグローブス。また5位に入ったマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)まで全員がマリアビアンカ(ヤングライダー賞)対象者と、若手選手の活躍が目立つスプリントとなった。
落車で遅れたゲイガンハートやヴァインは19秒遅れでフィニッシュしてタイムロスを最小限に抑え、終盤での牽引が光った新城は125位の34秒遅れでジロ2日目を終えている。
前日の個人タイムトライアルを終え、選手たちは第106回ジロ・デ・イタリア最初のロードステージに臨む。コースはアドリア海に面したテラーモからサン・サルヴォまでの204kmで、ほぼ真っ平らな沿岸線を進むコースは中盤に設定された2つの4級山岳を登坂する。
残り1km地点(フラムルージュ)の手前にラウンドアバウトと直角コーナーが連続するものの、ジロにありがちなフィニッシュ手前の登りはなし。紫色のマリアチクラミーノ(ポイント賞)をかけ、スピード自慢のスプリンターたちが白熱バトルを繰り広げた。
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)が2011年大会で勝利を挙げたテラーモのスタート地点では、ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)がマリアアッズーラ(山岳賞)を着用して登場するトラブル。確かに山岳賞トップはマクナルティなのだが、マリアビアンカ(ヤングライダー賞)で首位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)がマリアローザを、2位のジョアン・アルメイダ(UAEチームエミレーツ)はポルトガル王者ジャージの着用を選んだため、マクナルティは繰り下げでマリアビアンカを優先しなければならず、マリアアッズーラは2位のテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が着ることとなった。
アクチュアルスタートの直後に成立した逃げグループは4名。そこに出場選手中2番目に若い21歳アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・サムシック)が合流し、5名がアドリア海沿岸を進むコースで先頭に立った。
第2ステージ逃げメンバー
ポール・ラペラ(フランス、AG2Rシトロエン)
トマ・シャンピオン(フランス、コフィディス)
マッティア・バイス(フランス、エオーロ・コメタ)
アレッサンドロ・ヴェッレ(イタリア、アルケア・サムシック)
ステファノ・ガンディン(イタリア、チーム・コラテック)
メイン集団ではリーダーチームであるスーダル・クイックステップが牽引し、2分のリードを築いた逃げグループではマリアアッズーラをかけた登坂バトルが勃発する。今大会最初のカテゴリー山岳、4級山岳シルヴィ・パエセをトップ通過したのはラペラ。フランス・ノルマンディー出身の22歳で、これがグランツール初出場のラペラは続く4級山岳も先頭で通過してマリアアッズーラの獲得に成功している。
大仕事を果たしたラペラは残り50kmでプロトンに戻り、最後まで粘った逃げの3名も残り38km地点で吸収される。メイン集団の先頭ではエーススプリンターを抱えるアルペシン・ドゥクーニンクやトレック・セガフレード、チームDSMが牽引に選手を送り、フィニッシュ地点であるサン・サルヴォに向けて徐々に緊張感が高まっていく。
残り11kmを過ぎ、日本王者ジャージを着た新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)が先頭で22歳の若手スプリンター、ジョナサン・ミラン(イタリア)を引き上げるシーンも。またスプリンターチームとエースの安全を確保したい総合チームの隊列が、2車線道路を横いっぱいに拡がっていった。
残り4kmを表すバナーを通過直後、救済措置が適用される残り3km地点まであと僅かのところで落車が発生する。集団前方で起こったこの落車には優勝候補のカヴェンディッシュやマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が巻き込まれ、また総合上位のジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ)やゲイガンハートも遅れ、タイムを失う不運に見舞われた。
落車を免れたエヴェネプールやプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)を含む44名は、ジェイコ・アルウラーが先頭でフラムルージュ(残り1km地点)を通過。この時点でカーデン・グローブス(オーストラリア)で勝負したいアルペシン・ドゥクーニンクはアシスト2枚を残す、理想的な体勢に持ち込んだ。
ラモン・シンケルダム(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)のリードアウトからグローブスが残り150mで発射し、時を同じく加速したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター)と横並びに。大外からパスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ)も詰め寄るなか、グローブスの番手につけていたミランのスプリントが伸びた。
フィニッシュ手前で失速するガビリアとグローブスの間に割って入った194cmと大柄なミランはトップスピードに到達。その速度にはグローブスや追い上げるダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック)も敵わず、グランツール初出場のイタリアンスプリンターがジロ2日目を制した。
フィニッシュ後、新城らチームメイトと勝利の喜びを分かち合ったミラン。「信じられない勝利で言葉がない。初めてのジロで掴んだ勝利。チームメイトからは”落ち着け”と何度も伝えられ、完璧な位置まで僕を導いてくれた。本当に嬉しいが、いまはまだこの勝利が信じられない」と戸惑いながらも、ミランは笑顔で喜びを語った。
ミランはオーストリアとの国境にほど近いイタリア北部トルメッツォ出身の22歳。東京五輪ではチームパシュートで金メダルを獲得し、今年のトラック欧州選手権ではチームパシュートと個人パシュートの2冠を達成した。ロードでは2021年にバーレーンでプロデビューしたミラン。昨年は2勝、今年も1月のサウジ・ツアーで1勝を挙げ、プロ4勝目が母国イタリアでの金星となった。
2位には25歳のデッケルが入り、3位は24歳のグローブス。また5位に入ったマリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM)まで全員がマリアビアンカ(ヤングライダー賞)対象者と、若手選手の活躍が目立つスプリントとなった。
落車で遅れたゲイガンハートやヴァインは19秒遅れでフィニッシュしてタイムロスを最小限に抑え、終盤での牽引が光った新城は125位の34秒遅れでジロ2日目を終えている。
ジロ・デ・イタリア2023第2ステージ結果
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 4:55:11 |
2位 | ダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック) | |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | |
4位 | アルネ・マーリッツ(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
5位 | マリウス・マイヤーホーファー(ドイツ、チームDSM) | |
6位 | パスカル・アッカーマン(ドイツ、UAEチームエミレーツ) | |
7位 | フェルナンド・ガビリア(コロンビア、モビスター) | |
8位 | ニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) | |
9位 | ジェイク・スチュワート(イギリス、グルパマFDJ) | |
10位 | マイケル・マシューズ(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー) | |
125位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +0:34 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 5:16:29 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:22 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:29 |
4位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:43 |
5位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
6位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:55 |
7位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
8位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:59 |
9位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +1:00 |
10位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | +1:05 |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス) | 50pts |
2位 | ダヴィド・デッケル(オランダ、アルケア・サムシック) | 35pts |
3位 | カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) | 25pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ポール・ラペラ(フランス、AG2Rシトロエン) | 6pts |
2位 | トマ・シャンピオン(フランス、コフィディス) | 4pts |
3位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 3pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 5:16:29 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:29 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +1:00 |
チーム総合成績
1位 | UAEチームエミレーツ | 15:51:30 |
2位 | イネオス・グレナディアーズ | +0:13 |
3位 | スーダル・クイックステップ | +0:32 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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