2023/05/07(日) - 08:30
5月6日(土)に開幕したジロ・デ・イタリア初日は19.6kmの個人タイムトライアル。レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が2位ガンナに22秒差、ライバルのログリッチに43秒差をつける圧巻の走りを披露し、早くもマリアローザに袖を通した。
「全ての道はローマに通ずる」ように、第106回大会もまたイタリアを巡り終着地点のローマを目指す。その3週間におよぶ戦いの初日は、イタリア半島の中部、アブルッツォ州フォッサチェジーアで行われる19.6kmの個人タイムトライアルだ。
そのコースはスタートから約14kmの平坦路を経て、残り3km地点から距離2km/平均勾配5.4%(最大8%)の登りと7箇所のコーナーが登場する。ノーマルバイクに乗り換えるほどの登坂ではないものの、TTバイクでの登坂やコーナリング技術も求められるテクニカルなコースとなっている。
今大会3度設定された個人TTのファーストラウンド。気温24度の晴天に恵まれた好条件のなかローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が第1出走者としてスタートを切る。序盤に好タイムを叩き出したのはステファン・デボッド(南アフリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)で、22分32秒をマークした南アフリカTT王者は、この後1時間近くホットシートに座ることとなった。
そのタイムを追い風の力を借りたマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が更新し、全体の95番目にスタートしたブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が22分6秒の暫定トップタイムをマーク。マクナルティはこの日初めて平均時速53kmを上回るハイペースを刻んだものの、すぐさまチームメイトのジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が2秒上回るタイムでフィニッシュした。
今年1月のサントス・ツアー・ダウンアンダーで総合優勝に輝きながらも、膝の怪我で2月下旬より戦線を離脱したヴァイン。厳しいリハビリと高地トレーニングを乗り越え、最終的に区間7位に入る好成績を掴んでいる。
しかしそのタイムは同じ1995年生まれのテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)によって更新される。登りの麓に設置された2つ目の中間計測地点をヴァインから7秒遅れで通過したゲイガンハートは、2020年大会を制した驚異の登坂スピードを披露。この21分58秒という好タイムを、この後3名しか上回ることができなかった。
その一人目となったのは全体の139番目に出走したジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)。昨年は15日間に渡りマリアローザを着用しながらも、コロナ陽性で悔しい途中リタイアとなったアルメイダは21分47秒をマーク。続いてゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が最終的にステージ9位とまずまずなタイムを出し、急遽の出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も90位(トップから2分33秒遅れ)でジロ初日を終えている。
そしていよいよ、この日の優勝候補や総合争いに臨む選手たちがスタートを切る。フロントに60Tのビックギヤ(リア11-28T)をつけたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)に続いて、フロント58T×リア10-30Tをセットしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が飛び出す。先を行くエヴェネプールは最初の3分27秒を平均430Wで踏み続け、9km地点の中間計測でトップタイムを20秒更新するハイスピードを披露。最後の登り区間も軽快なダンシングでこなしたエヴェネプールが、21分18秒という圧巻のタイムでフィニッシュした。
その平均時速は55.211kmと、176名の中で唯一55kmを上回ったエヴェネプール。この異次元とも言えるタイムからログリッチは43秒遅れ、自身3度目のジロ初日勝利を狙ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)も22秒及ばず。13日前にリエージュ~バストーニュ~リエージュを制した23歳が、大会初日でジロ初優勝を挙げ、ピンク色のマリアローザに袖を通した。
ジロ初出場の2021年の初日個人TTは7位。その時の優勝者であるガンナを22秒も上回ってみせたエヴェネプールは「完璧な形でジロに戻ってくることができ、これ以上嬉しい結果はない。初日に掴むことができた最良の結果は、喜びと共にこの後の自信に繋がる。今日は”できる限り速く”を目標とし、自分の想像していた速さを上回ることができた」と振り返った。
ロード世界王者がジロで総合優勝を挙げることになれば、1983年のジュゼッペ・サローニ(イタリア)以来40年振りの快挙。また初日から最終日までマリアローザを着用すればジュゼッペ・サローニ(イタリア)が1990年に達成して以来33年振り。2つの偉業達成に向け、エヴェネプールにとって最良の滑り出しとなった。
2位のガンナは「目標にしていた数字やスピードに達することができたので満足している。今日はレムコ(エヴェネプール)がバケモノだっただけ(笑)」と敗者の弁。またログリッチも「脚の調子は良く満足な結果だ。その差は3分遅れのように絶望的な数字ではなく、大事なのは21ステージを終えた時点で誰が首位に立っているかだ」と、前向きなコメントを残している。
選手たちの詳細なコメントは、別記事で紹介します。
「全ての道はローマに通ずる」ように、第106回大会もまたイタリアを巡り終着地点のローマを目指す。その3週間におよぶ戦いの初日は、イタリア半島の中部、アブルッツォ州フォッサチェジーアで行われる19.6kmの個人タイムトライアルだ。
そのコースはスタートから約14kmの平坦路を経て、残り3km地点から距離2km/平均勾配5.4%(最大8%)の登りと7箇所のコーナーが登場する。ノーマルバイクに乗り換えるほどの登坂ではないものの、TTバイクでの登坂やコーナリング技術も求められるテクニカルなコースとなっている。
今大会3度設定された個人TTのファーストラウンド。気温24度の晴天に恵まれた好条件のなかローレンス・ハイス(ベルギー、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)が第1出走者としてスタートを切る。序盤に好タイムを叩き出したのはステファン・デボッド(南アフリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)で、22分32秒をマークした南アフリカTT王者は、この後1時間近くホットシートに座ることとなった。
そのタイムを追い風の力を借りたマッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)が更新し、全体の95番目にスタートしたブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ)が22分6秒の暫定トップタイムをマーク。マクナルティはこの日初めて平均時速53kmを上回るハイペースを刻んだものの、すぐさまチームメイトのジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が2秒上回るタイムでフィニッシュした。
今年1月のサントス・ツアー・ダウンアンダーで総合優勝に輝きながらも、膝の怪我で2月下旬より戦線を離脱したヴァイン。厳しいリハビリと高地トレーニングを乗り越え、最終的に区間7位に入る好成績を掴んでいる。
しかしそのタイムは同じ1995年生まれのテイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)によって更新される。登りの麓に設置された2つ目の中間計測地点をヴァインから7秒遅れで通過したゲイガンハートは、2020年大会を制した驚異の登坂スピードを披露。この21分58秒という好タイムを、この後3名しか上回ることができなかった。
その一人目となったのは全体の139番目に出走したジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)。昨年は15日間に渡りマリアローザを着用しながらも、コロナ陽性で悔しい途中リタイアとなったアルメイダは21分47秒をマーク。続いてゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)が最終的にステージ9位とまずまずなタイムを出し、急遽の出場となった新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)も90位(トップから2分33秒遅れ)でジロ初日を終えている。
そしていよいよ、この日の優勝候補や総合争いに臨む選手たちがスタートを切る。フロントに60Tのビックギヤ(リア11-28T)をつけたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)に続いて、フロント58T×リア10-30Tをセットしたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)が飛び出す。先を行くエヴェネプールは最初の3分27秒を平均430Wで踏み続け、9km地点の中間計測でトップタイムを20秒更新するハイスピードを披露。最後の登り区間も軽快なダンシングでこなしたエヴェネプールが、21分18秒という圧巻のタイムでフィニッシュした。
その平均時速は55.211kmと、176名の中で唯一55kmを上回ったエヴェネプール。この異次元とも言えるタイムからログリッチは43秒遅れ、自身3度目のジロ初日勝利を狙ったフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)も22秒及ばず。13日前にリエージュ~バストーニュ~リエージュを制した23歳が、大会初日でジロ初優勝を挙げ、ピンク色のマリアローザに袖を通した。
ジロ初出場の2021年の初日個人TTは7位。その時の優勝者であるガンナを22秒も上回ってみせたエヴェネプールは「完璧な形でジロに戻ってくることができ、これ以上嬉しい結果はない。初日に掴むことができた最良の結果は、喜びと共にこの後の自信に繋がる。今日は”できる限り速く”を目標とし、自分の想像していた速さを上回ることができた」と振り返った。
ロード世界王者がジロで総合優勝を挙げることになれば、1983年のジュゼッペ・サローニ(イタリア)以来40年振りの快挙。また初日から最終日までマリアローザを着用すればジュゼッペ・サローニ(イタリア)が1990年に達成して以来33年振り。2つの偉業達成に向け、エヴェネプールにとって最良の滑り出しとなった。
2位のガンナは「目標にしていた数字やスピードに達することができたので満足している。今日はレムコ(エヴェネプール)がバケモノだっただけ(笑)」と敗者の弁。またログリッチも「脚の調子は良く満足な結果だ。その差は3分遅れのように絶望的な数字ではなく、大事なのは21ステージを終えた時点で誰が首位に立っているかだ」と、前向きなコメントを残している。
選手たちの詳細なコメントは、別記事で紹介します。
ジロ・デ・イタリア2023第1ステージ結果
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 21:18 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:22 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:29 |
4位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:40 |
5位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:43 |
6位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
7位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | +0:46 |
8位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +0:48 |
9位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:55 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) | |
90位 | 新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) | +2:33 |
マリアローザ 個人総合成績
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 21:18 |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | +0:22 |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:29 |
4位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:40 |
5位 | シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) | +0:43 |
6位 | プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) | |
7位 | ジェイ・ヴァイン(オーストラリア、UAEチームエミレーツ) | +0:46 |
8位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +0:48 |
9位 | ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | +0:55 |
10位 | アレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ) |
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 15pts |
2位 | フィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ) | 12pts |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 9pts |
マリアアッズーラ 山岳賞
1位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | 3pts |
2位 | テイオ・ゲイガンハート(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) | 2pts |
3位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | 1pts |
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 21:18 |
2位 | ジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) | +0:29 |
3位 | ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) | +0:48 |
チーム総合成績
1位 | イネオス・グレナディアーズ | 1:05:51 |
2位 | UAEチームエミレーツ | +0:06 |
3位 | スーダル・クイックステップ | +0:38 |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
Amazon.co.jp