2023/05/01(月) - 18:13
本日5月1日(日)、第9回ラ・ブエルタ・フェメニーナが開幕する。総合2連覇中のファンフルーテンに今春敵なしのデミ・フォレリングがどう挑むか。昨年の9月から開催時期を変え、大会名も改めてパワーアップした7日間の戦いをプレビュー。
昨年より開始したツール・ド・フランス・ファムにより、3大グランツール(ブエルタ、ジロ、ツール)が揃った女子ロードレース。その一つである女子ブエルタ・ア・エスパーニャこと「ラ・ブエルタ・フェメニーナ」が、本日5月1日に開幕を迎える。
2015年にワンデーレースとして始まった本大会は2018年に2日間、2020年には3日間レースとその規模を拡大させ、昨年の5日間から全7ステージにパワーアップ。セラティジット・チャレンジbyブエルタから名前を改め、更に時期も9月から5月に移しての開催となった。
スペイン南東部バレンシアで開幕するレースは、7日間をかけてスペイン北部アストゥリアス州に向かって北上。近年、女子はもちろん男子でも珍しい存在となったチームタイムトライアルや、集団スプリントが予想される平坦ステージ、丘陵や山岳フィニッシュなど様々な脚質の選手にチャンスある大会だ。
初日は男子の2019年ブエルタの第1ステージと同じく、地中海に面した観光地トレビエハのチームTT(14.5km)でスタートする。そして2、3、4日目の集団スプリントが予想される平坦ステージを経て、第5ステージにようやく総合を争うクライマーとオールラウンダーの出番となる。
その山岳ステージは序盤に1級山岳プエルト・デ・ナバフリアを越え、最後に登坂距離5kmの2級山岳ミラドール・デ・ペーニャス・リャナスを駆け上がる。その後は逃げや集団スプリント、はたまた総合上位による争いなど様々な可能性のある6日目の丘陵ステージを経て、大会最終日は超級山岳ラゴ・デ・コバドンガを舞台とした山岳決戦。そこで第9代の総合優勝者が決定する。
ファンフルーテンとフォレリングの総合争いに注目
出場するのは12のUCIワールドチームを含む23チーム。その優勝候補の筆頭に挙げられるのは大会2連覇中の世界王者、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)だ。今年が現役ラストイヤーであるファンフルーテンは、春のクラシックでは表彰台に上がることすら出来なかった。3大グランツールを完全制覇した昨年のキレは影を潜め、登坂スピードやその持続力もライバルたちを引き離すほどではなかった。
そんな低迷するファンフルーテンにとって、好材料となるのは今年補強に成功したチーム力。自身も総合上位が期待されるドイツ王者リアヌ・リッパートは、ラ・フレーシュ・ワロンヌで2位などシングルリザルトを連発する好調ぶり。リエージュ~バストーニュ~リエージュで披露したコンビネーション・アタックはライバルたちの驚異となるはずで、もしファンフルーテンの低迷がグランツールに向けた調整だとすれば、昨年の輝きが再現されるかもしれない。
その対抗となるのはアルデンヌクラシック3連戦全勝を達成したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)。本人は「目標はあくまでも7月のツール・ド・フランス・ファム」と言っているものの、春のクラシックでフォレリングの登坂力に敵う選手はいなかった。春に大活躍したマーレン・ローセル(スイス)と共に、昨年の総合3位を更新すべく本気で総合優勝を狙ってくるのであれば、ファンフルーテンを凌ぐ存在となる。
春のクラシックで積極的なレース運びをしながらも、終盤の失速が目立ったカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)はその悔しさを晴らせるか。また昨年のジロ・ドンネで区間1勝を挙げ、ツール・ファムでは総合4位と表彰台に迫ったジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM)は豊富なチームスタッフと分析力を武器に優勝を目指す。
チーム力ではU23シクロクロス世界王者のシリン・ファンアンローイ(オランダ)や第2子出産から復帰したエリザベス・ダイグナン(イギリス)を揃えるトレック・セガフレードが頭一つ出ているか。その総合エースは35歳のベテラン、アマンダ・スプラット(オーストラリア)が担う予定で、また昨年大会で区間優勝を挙げたシルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)も注目のクライマーだ。
スプリンターでは、2月のUAEツアーで世界最速と称されるロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)に競り勝ったシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)に注目。そしてマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)も今季怪我による出遅れを挽回すべく出場を決めている。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
昨年より開始したツール・ド・フランス・ファムにより、3大グランツール(ブエルタ、ジロ、ツール)が揃った女子ロードレース。その一つである女子ブエルタ・ア・エスパーニャこと「ラ・ブエルタ・フェメニーナ」が、本日5月1日に開幕を迎える。
2015年にワンデーレースとして始まった本大会は2018年に2日間、2020年には3日間レースとその規模を拡大させ、昨年の5日間から全7ステージにパワーアップ。セラティジット・チャレンジbyブエルタから名前を改め、更に時期も9月から5月に移しての開催となった。
スペイン南東部バレンシアで開幕するレースは、7日間をかけてスペイン北部アストゥリアス州に向かって北上。近年、女子はもちろん男子でも珍しい存在となったチームタイムトライアルや、集団スプリントが予想される平坦ステージ、丘陵や山岳フィニッシュなど様々な脚質の選手にチャンスある大会だ。
初日は男子の2019年ブエルタの第1ステージと同じく、地中海に面した観光地トレビエハのチームTT(14.5km)でスタートする。そして2、3、4日目の集団スプリントが予想される平坦ステージを経て、第5ステージにようやく総合を争うクライマーとオールラウンダーの出番となる。
その山岳ステージは序盤に1級山岳プエルト・デ・ナバフリアを越え、最後に登坂距離5kmの2級山岳ミラドール・デ・ペーニャス・リャナスを駆け上がる。その後は逃げや集団スプリント、はたまた総合上位による争いなど様々な可能性のある6日目の丘陵ステージを経て、大会最終日は超級山岳ラゴ・デ・コバドンガを舞台とした山岳決戦。そこで第9代の総合優勝者が決定する。
ファンフルーテンとフォレリングの総合争いに注目
出場するのは12のUCIワールドチームを含む23チーム。その優勝候補の筆頭に挙げられるのは大会2連覇中の世界王者、アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)だ。今年が現役ラストイヤーであるファンフルーテンは、春のクラシックでは表彰台に上がることすら出来なかった。3大グランツールを完全制覇した昨年のキレは影を潜め、登坂スピードやその持続力もライバルたちを引き離すほどではなかった。
そんな低迷するファンフルーテンにとって、好材料となるのは今年補強に成功したチーム力。自身も総合上位が期待されるドイツ王者リアヌ・リッパートは、ラ・フレーシュ・ワロンヌで2位などシングルリザルトを連発する好調ぶり。リエージュ~バストーニュ~リエージュで披露したコンビネーション・アタックはライバルたちの驚異となるはずで、もしファンフルーテンの低迷がグランツールに向けた調整だとすれば、昨年の輝きが再現されるかもしれない。
その対抗となるのはアルデンヌクラシック3連戦全勝を達成したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)。本人は「目標はあくまでも7月のツール・ド・フランス・ファム」と言っているものの、春のクラシックでフォレリングの登坂力に敵う選手はいなかった。春に大活躍したマーレン・ローセル(スイス)と共に、昨年の総合3位を更新すべく本気で総合優勝を狙ってくるのであれば、ファンフルーテンを凌ぐ存在となる。
春のクラシックで積極的なレース運びをしながらも、終盤の失速が目立ったカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)はその悔しさを晴らせるか。また昨年のジロ・ドンネで区間1勝を挙げ、ツール・ファムでは総合4位と表彰台に迫ったジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM)は豊富なチームスタッフと分析力を武器に優勝を目指す。
チーム力ではU23シクロクロス世界王者のシリン・ファンアンローイ(オランダ)や第2子出産から復帰したエリザベス・ダイグナン(イギリス)を揃えるトレック・セガフレードが頭一つ出ているか。その総合エースは35歳のベテラン、アマンダ・スプラット(オーストラリア)が担う予定で、また昨年大会で区間優勝を挙げたシルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ)も注目のクライマーだ。
スプリンターでは、2月のUAEツアーで世界最速と称されるロレーナ・ウィーベス(オランダ、SDワークス)に競り勝ったシャーロッテ・コール(オランダ、チームDSM)に注目。そしてマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)も今季怪我による出遅れを挽回すべく出場を決めている。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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