2023/04/23(日) - 17:30
本日4月23日(日)、春のクラシックを締めくくるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュが開催される。アルデンヌクラシック完全制覇のかかるポガチャルと、前年覇者のエヴェネプールが激突する注目の「最古参レース」をプレビュー。
初開催が1892年というその歴史から「La Doyenne(ラ・ドワイエンヌ=最古参)」の愛称で親しまれるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(UCIワールドツアー)。ベルギー南部のワロン地域を代表するレースは、「モニュメント」と呼ばれる世界5大クラシック(サンレモ、ロンド、パリ〜ルーベ、リエージュ、ロンバルディア)の1つに数えられ、格式の点ではアルデンヌクラシック3連戦の中で際立って高い。
コースはその名の通りリエージュから南方のバストーニュを目指し、昨年から1つ増えた(戻った)11箇所に及ぶ丘を越えてリエージュに帰ってくる258.1km。洪水被害の影響で除外された最後から2番目の丘「コート・ド・フォルジュ(距離1.3km/平均7.8%)」が復活したため、例年通りのレイアウトに戻った形となる。
リエージュが他のアルデンヌ2戦と違う点は、登り一つ一つの距離が長いこと。アムステルとフレーシュが「丘のレース」ならリエージュは「山のレース」と言うように、ほとんどの登りは距離2km以上と長く、獲得標高差は4,191mにも達する。
毎年レースが大きく動くのは、残り35.9kmから始まるコート・ド・ラ・ルドゥット(距離2km/平均8.9%)と残り14.6kmのラ・ロッシュ・オ・フォーコン(1.3km地点/平均11%)という2つの丘。昨年はコート・ド・ラ・ルドゥットでレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が矢のような加速からライバルを振り切り、劇的な独走勝利を飾った。
この春無敵のポガチャルにエヴェネプールはどう挑む
スプリント力が鍵を握るアムステルや激坂に特化した爆発力が求められるフレーシュとは違い、リエージュを有利にするのは登坂力。その証拠に歴代優勝者にはグランツールで総合優勝を争うオールラウンダー&クライマーたちが並んでいる。
そして今大会の優勝候補筆頭は、アルデンヌ初戦のアムステルを28kmの独走で制し、フレーシュの「ユイの壁」を悠々と駆け上がったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だ。2021年大会の覇者はロンド・ファン・フラーンデレンから土付かずの3連勝と、キャリアハイとなる春を更新中。
ツール・ド・フランス2連覇で証明済みの登坂力に加え、得意のタイムトライアル能力で見せる独走力。そこにスプリント力を兼ね備える、現役最強のポガチャルを誰が止められるのだろうか。それが今レース最大の注目点となっている。
対抗となるのはディフェンディング王者として臨むエヴェネプール。ジロ・デ・イタリアを見据え約1ヶ月に及ぶ高地トレーニングから戻ってきた世界王者は、「標準を定めているのあくまでもジロ。リエージュはその大きなテストという位置づけだ」と言いながらも「5〜6時間のリエージュにも適応できるようなエンデュランストレーニングを積んできた」と自信を覗かせる。
エヴェネプールがポガチャルを上回っている点があるとすれば、チームメイトであるジュリアン・アラフィリップ(フランス)の存在だろうか。昨年大会では落車により大怪我を負い、直近では膝の負傷により予定していたアムステルとフレーシュを欠場したアラフィリップ。万全の状態から程遠いながらもエヴェネプールを全力でサポートする。
この2人の戦いに長い距離への対応に苦戦するトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や、2戦連続で落車の不運に見舞われているニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が割って入ることができるか。またアムステルで2位と躍進中のベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)やエンリク・マス(スペイン、モビスター)の登坂力にも注目だ。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は2017年以来6年振りの出場し、チームはミケル・ランダ(スペイン)をエースに据える。ちなみにミラノ〜サンレモとロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベの優勝者がつけていたゼッケン番号21はユンボ・ヴィスマのティシュ・ベノート (ベルギー)がつけ、春のクラシックを締めくくる。
text:Sotaro.Arakawa
初開催が1892年というその歴史から「La Doyenne(ラ・ドワイエンヌ=最古参)」の愛称で親しまれるリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(UCIワールドツアー)。ベルギー南部のワロン地域を代表するレースは、「モニュメント」と呼ばれる世界5大クラシック(サンレモ、ロンド、パリ〜ルーベ、リエージュ、ロンバルディア)の1つに数えられ、格式の点ではアルデンヌクラシック3連戦の中で際立って高い。
コースはその名の通りリエージュから南方のバストーニュを目指し、昨年から1つ増えた(戻った)11箇所に及ぶ丘を越えてリエージュに帰ってくる258.1km。洪水被害の影響で除外された最後から2番目の丘「コート・ド・フォルジュ(距離1.3km/平均7.8%)」が復活したため、例年通りのレイアウトに戻った形となる。
リエージュが他のアルデンヌ2戦と違う点は、登り一つ一つの距離が長いこと。アムステルとフレーシュが「丘のレース」ならリエージュは「山のレース」と言うように、ほとんどの登りは距離2km以上と長く、獲得標高差は4,191mにも達する。
毎年レースが大きく動くのは、残り35.9kmから始まるコート・ド・ラ・ルドゥット(距離2km/平均8.9%)と残り14.6kmのラ・ロッシュ・オ・フォーコン(1.3km地点/平均11%)という2つの丘。昨年はコート・ド・ラ・ルドゥットでレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)が矢のような加速からライバルを振り切り、劇的な独走勝利を飾った。
この春無敵のポガチャルにエヴェネプールはどう挑む
スプリント力が鍵を握るアムステルや激坂に特化した爆発力が求められるフレーシュとは違い、リエージュを有利にするのは登坂力。その証拠に歴代優勝者にはグランツールで総合優勝を争うオールラウンダー&クライマーたちが並んでいる。
そして今大会の優勝候補筆頭は、アルデンヌ初戦のアムステルを28kmの独走で制し、フレーシュの「ユイの壁」を悠々と駆け上がったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)だ。2021年大会の覇者はロンド・ファン・フラーンデレンから土付かずの3連勝と、キャリアハイとなる春を更新中。
ツール・ド・フランス2連覇で証明済みの登坂力に加え、得意のタイムトライアル能力で見せる独走力。そこにスプリント力を兼ね備える、現役最強のポガチャルを誰が止められるのだろうか。それが今レース最大の注目点となっている。
対抗となるのはディフェンディング王者として臨むエヴェネプール。ジロ・デ・イタリアを見据え約1ヶ月に及ぶ高地トレーニングから戻ってきた世界王者は、「標準を定めているのあくまでもジロ。リエージュはその大きなテストという位置づけだ」と言いながらも「5〜6時間のリエージュにも適応できるようなエンデュランストレーニングを積んできた」と自信を覗かせる。
エヴェネプールがポガチャルを上回っている点があるとすれば、チームメイトであるジュリアン・アラフィリップ(フランス)の存在だろうか。昨年大会では落車により大怪我を負い、直近では膝の負傷により予定していたアムステルとフレーシュを欠場したアラフィリップ。万全の状態から程遠いながらもエヴェネプールを全力でサポートする。
この2人の戦いに長い距離への対応に苦戦するトーマス・ピドコック(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)や、2戦連続で落車の不運に見舞われているニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)が割って入ることができるか。またアムステルで2位と躍進中のベン・ヒーリー(アイルランド、EFエデュケーション・イージーポスト)やエンリク・マス(スペイン、モビスター)の登坂力にも注目だ。
新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)は2017年以来6年振りの出場し、チームはミケル・ランダ(スペイン)をエースに据える。ちなみにミラノ〜サンレモとロンド・ファン・フラーンデレン、パリ〜ルーベの優勝者がつけていたゼッケン番号21はユンボ・ヴィスマのティシュ・ベノート (ベルギー)がつけ、春のクラシックを締めくくる。
text:Sotaro.Arakawa
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