2023/04/17(月) - 13:15
アムステルゴールドレース女子でSDワークスが再びそのチーム力を誇示。残り2kmで加速したデミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)が悲願の初優勝を飾り、ロッタ・コペッキー(ベルギー)が2位でワンツーフィニッシュを決めた。
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が勝利を飾った男子レースに先立ち、同じ4月16日(日)にアムステルゴールドレース・レディース・エディションが行われた。石畳が終わりアルデンヌクラシックに突入したのは女子も同様で、本大会からラ・フレーシュ・ワロンヌ(4月19日)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(4月23日)と起伏の激しい3連戦が続いていく。
マーストリヒトを出発してファルケンブルフに到着するレースは、昨年から30km近く距離が延長された155.8km。設定された登りは21箇所で、レース後半は「グールヘンメルベルグ」と「ベメレルベルグ」、「カウベルグ」を含む18kmコースを4周する。
昨年のツール・ド・フランス・ファムでの落車以降、調子の上がらない前回覇者マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJ・スエズ)がゼッケン1をつけて並ぶスタート地点には、2年連続2位という不名誉な記録を払拭したいデミ・フォレリング(オランダ)とロッタ・コペッキー(ベルギー)、ロレーナ・ウィーベス(オランダ)というSDワークスのビッグスリーが揃い踏み。また世界王者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)や與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も出場した。
スタート後、約50km過ぎで形成されたのはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)といった優勝候補を含む9名の選手たち。しかし登りでファンフルーテンとフォレリングがブリッジを掛けたことによりメイン集団が追いつき、レースは再び振り出しに戻った。
ここまでパリ〜ルーベ・ファムを除き主要クラシックを総なめにするSDワークスをどう止めるか。今春の女子レースの軸となりつつある展開に抗おうと、ブラントが地元オランダ出身のサブリーナ・ストゥルティーンス(リブレーシング・エクストラ)と共に再度アタック。ファルケンブルフの周回コースに突入した2人は、ウィーベスが牽引を担うプロトンに2分のリードを奪った。
同じく周回コースを走るメイン集団ではソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム)などが登坂で積極的に動く。周回を重ねるごとにスピードの上がっていくプロトンでは残り29km地点で地元オランダ王者リーアンヌ・マルクス(ユンボ・ヴィスマ)がメカトラに見舞われ、脚を使いながらも無事に集団復帰を果たしている。
残り23kmで先頭2人を捉えたプロトンでは、この日4度目のカウベルグでウィーベスがフィニッシュスプリントと見紛うスピードでアタック。常に先手を取るSDワークスのペーシングに集団の人数は減っていき、チーム新加入のウィーベスはクリステン・フォークナー(アメリカ、ジェイコ・アルウラー)の独走も潰し、エース2人のためにチームプレーを完璧にこなした。
最終周回では今季まだコンディションの上がらないファンフルーテンの仕掛けは決まらない一方で、パラディンによる2度目のアタックが成功。そこにグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJ・スエズ)が合流を果たして先頭集団を作る。しかしここにリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)の牽引する先鋭集団が追いつき、残り2kmのカウベルグの頂上で、ここまで沈黙していたフォレリングが飛び出した。
ブラケットを握り、シッティングのまま淡々と高出力で踏み続けるフォレリング。それをリッパートやマルクス、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)らが追いかけるものの、スプリントに長けたコペッキーがいるため上手くローテーションが回らない。そしてまたもや圧倒的なチーム力を見せつけ、勝ちパターンに持ち込んだSDワークスのフォレリングが独走でフィニッシュラインを通過した。
そして2位争いをコペッキーが制し、SDワークスがワンツーフィニッシュを達成。3位にはプロトンから追いついた現シクロクロスU23世界王者のシリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード)が入り、21歳にしてビッグレースの表彰台に上がっている。
母国オランダ最大のワンデーレースを制したフォレリング。「信じられない。事前に立てた作戦を完璧に実行し、掴み取った勝利。本当はカウベルグの登りで仕掛ける予定が、他の選手たちがアタックを繰り返していたので頂上に達してから飛び出した。それからはフィニッシュまでは苦しみが続いた。だから後ろを振り向くことなく、一心不乱にペダルを踏み込んだ」とレースを振り返る。
フィニッシュ直後にコペッキーと抱き合い、ストラーデビアンケ以来噂されていた不和説を一蹴したフォレリング。「仮に私が追いつかれたとしても、後方集団にはロッタ(コペッキー)がいた。大事なのはチームとしての勝利。私が掴まったとしても彼女が勝ってくれると信じていた」と2年連続で2位に甘んじていたフォレリングは、悲願の大会初制覇をそう喜んだ。
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)が勝利を飾った男子レースに先立ち、同じ4月16日(日)にアムステルゴールドレース・レディース・エディションが行われた。石畳が終わりアルデンヌクラシックに突入したのは女子も同様で、本大会からラ・フレーシュ・ワロンヌ(4月19日)、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(4月23日)と起伏の激しい3連戦が続いていく。
マーストリヒトを出発してファルケンブルフに到着するレースは、昨年から30km近く距離が延長された155.8km。設定された登りは21箇所で、レース後半は「グールヘンメルベルグ」と「ベメレルベルグ」、「カウベルグ」を含む18kmコースを4周する。
昨年のツール・ド・フランス・ファムでの落車以降、調子の上がらない前回覇者マルタ・カヴァッリ(イタリア、FDJ・スエズ)がゼッケン1をつけて並ぶスタート地点には、2年連続2位という不名誉な記録を払拭したいデミ・フォレリング(オランダ)とロッタ・コペッキー(ベルギー)、ロレーナ・ウィーベス(オランダ)というSDワークスのビッグスリーが揃い踏み。また世界王者アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)や與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も出場した。
スタート後、約50km過ぎで形成されたのはマリアンヌ・フォス(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)やルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)といった優勝候補を含む9名の選手たち。しかし登りでファンフルーテンとフォレリングがブリッジを掛けたことによりメイン集団が追いつき、レースは再び振り出しに戻った。
ここまでパリ〜ルーベ・ファムを除き主要クラシックを総なめにするSDワークスをどう止めるか。今春の女子レースの軸となりつつある展開に抗おうと、ブラントが地元オランダ出身のサブリーナ・ストゥルティーンス(リブレーシング・エクストラ)と共に再度アタック。ファルケンブルフの周回コースに突入した2人は、ウィーベスが牽引を担うプロトンに2分のリードを奪った。
同じく周回コースを走るメイン集団ではソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム)などが登坂で積極的に動く。周回を重ねるごとにスピードの上がっていくプロトンでは残り29km地点で地元オランダ王者リーアンヌ・マルクス(ユンボ・ヴィスマ)がメカトラに見舞われ、脚を使いながらも無事に集団復帰を果たしている。
残り23kmで先頭2人を捉えたプロトンでは、この日4度目のカウベルグでウィーベスがフィニッシュスプリントと見紛うスピードでアタック。常に先手を取るSDワークスのペーシングに集団の人数は減っていき、チーム新加入のウィーベスはクリステン・フォークナー(アメリカ、ジェイコ・アルウラー)の独走も潰し、エース2人のためにチームプレーを完璧にこなした。
最終周回では今季まだコンディションの上がらないファンフルーテンの仕掛けは決まらない一方で、パラディンによる2度目のアタックが成功。そこにグレース・ブラウン(オーストラリア、FDJ・スエズ)が合流を果たして先頭集団を作る。しかしここにリアヌ・リッパート(ドイツ、モビスター)の牽引する先鋭集団が追いつき、残り2kmのカウベルグの頂上で、ここまで沈黙していたフォレリングが飛び出した。
ブラケットを握り、シッティングのまま淡々と高出力で踏み続けるフォレリング。それをリッパートやマルクス、カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)らが追いかけるものの、スプリントに長けたコペッキーがいるため上手くローテーションが回らない。そしてまたもや圧倒的なチーム力を見せつけ、勝ちパターンに持ち込んだSDワークスのフォレリングが独走でフィニッシュラインを通過した。
そして2位争いをコペッキーが制し、SDワークスがワンツーフィニッシュを達成。3位にはプロトンから追いついた現シクロクロスU23世界王者のシリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード)が入り、21歳にしてビッグレースの表彰台に上がっている。
母国オランダ最大のワンデーレースを制したフォレリング。「信じられない。事前に立てた作戦を完璧に実行し、掴み取った勝利。本当はカウベルグの登りで仕掛ける予定が、他の選手たちがアタックを繰り返していたので頂上に達してから飛び出した。それからはフィニッシュまでは苦しみが続いた。だから後ろを振り向くことなく、一心不乱にペダルを踏み込んだ」とレースを振り返る。
フィニッシュ直後にコペッキーと抱き合い、ストラーデビアンケ以来噂されていた不和説を一蹴したフォレリング。「仮に私が追いつかれたとしても、後方集団にはロッタ(コペッキー)がいた。大事なのはチームとしての勝利。私が掴まったとしても彼女が勝ってくれると信じていた」と2年連続で2位に甘んじていたフォレリングは、悲願の大会初制覇をそう喜んだ。
アムステルゴールドレース2023女子結果
1位 | デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) | 4:06:54 |
2位 | ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス) | +0:08 |
3位 | シリン・ファンアンローイ(オランダ、トレック・セガフレード) | |
4位 | カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) | |
5位 | ソラヤ・パラディン(イタリア、キャニオン・スラム) | |
6位 | グレース・ブラウン(オーストラリア、FDJ・スエズ) | |
7位 | ファイファー・ジョルジ(イギリス、チームDSM) | |
8位 | アシュリー・モールマン(南アフリカ、AGインシュランス・スーダル・クイックステップ) | |
9位 | シルヴィア・ペルシコ(イタリア、UAEチームADQ) | |
10位 | セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJ・スエズ) | |
11位 | アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) |
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
photo:CorVos
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