アルケア・サムシックが本拠地とするフランス、ブルターニュ地方を舞台としたワンデーレース「ルート・アデリ・ド・ヴィトレ」が開催。残り5kmで飛び出したフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)がプロ初勝利を飾った。



アルケア・サムシックの拠点があるブルターニュ地方で行われたルート・アデリ・ド・ヴィトレ photo:Team Arkéa Samsic

クラシックに参戦する数多くの選手たちが4月2日開催のロンド・ファン・フラーンデレンに照準を定めるなか、軽量クライマーやピュアスプリンターたちは来るグランツールに向けて準備を進める。フランス・ブルターニュ地方のヴィトレを舞台としたルート・アデリ・ド・ヴィトレ(UCI1.1)もまた、本格化するステージレースに向けた脚慣らしの意味合いが強いワンデーレースだ。

コースはヴィトレを発着点に大小2つの周回コースを巡る197.8km。長い登りはないものの、常に細かいアップダウンを繰り返すため、総獲得標高差は2,500mを超える。スタート地点であるヴィトレには4つのフランス籍ワールドチーム(コフィディス、AG2Rシトロエン、グルパマFDJ、アルケア・サムシック)とアンテルマルシェ・サーカス・ワンティを含む計19チームが顔を揃えた。

序盤からアルケア・サムシックが集団をコントロールした photo:Team Arkéa Samsic

2009年大会にはBboxブイグテレコムに所属時代の新城幸也や、増田成幸のいたEQA・梅丹本舗・グラファイトデザインが出場した本レース。ブルターニュ地方を拠点とするアルケアがコントロールする集団から、若手フランス人選手たちとオドネ・ホルテル(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)が5名の逃げグループを作った。

21.1kmの大周回を終え計8周する8.9km小周回に突入すると、直線で目視できる距離まで縮まった逃げ集団に対し、プロトンからケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・サムシック)がブリッジをかける。これに2016年に優勝経験のあるブライアン・コカール(フランス、コフィディス)とフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム)が追従した。

要所で集団先頭に上がり、戦略的な走りを見せたウノエックス・プロサイクリングチーム photo:Uno-X Pro Cycling Team

独走でプロ初勝利を手に入れたフレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) photo:La Route Adélie de Vitré

人数の増えた先頭集団から、フィニッシュ手前5.4kmでドゥヴァーシュネスがアタック。この動きに序盤から逃げていた選手と、新たに加わったヴォークランとコカールらの協調が取れず、フィニッシュまで一定のペースで踏み続けたドゥヴァーシュネスが独走で勝利を飾った。

「チームメイトによる素晴らしい走りに、こうやって勝利で報いることができた。本当に嬉しい」と、プロ初勝利を飾ったドゥヴァーシュネスは喜ぶ。2021年にガスプロム・ルスヴェロでプロデビューを果たし、昨年からウノエックスに加入したドゥヴァーシュネスは26歳のクライマー。遅咲きではあるが、北欧からまた一人優秀な選手が現れた。

ルート・アデリ・ド・ヴィトレ2023表彰台:2位ヴォークラン、1位ドゥヴァーシュネス、3位バレ photo:La Route Adélie de Vitré

終盤に抜け出したヴォークランが2位に入り、メイン集団の合流を許した後続集団はルイ・バレ(フランス、アルケア・サムシック)が先着して3位。地元ブルターニュでアルケアは優勝こそ逃したものの、表彰台に2人を送り込む活躍を見せた。
ルート・アデリ・ド・ヴィトレ2023結果
1位 フレドリク・ドゥヴァーシュネス(ノルウェー、ウノエックス・プロサイクリングチーム) 4:44:56
2位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・サムシック) +0:05
3位 ルイ・バレ(フランス、アルケア・サムシック) +0:43
4位 ニコラ・ドゥボーマルシェ(フランス、サンミッシェル・マヴィック・オーベル93)
5位 ブライアン・コカール(フランス、コフィディス)
text:Sotaro.Arakawa